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憧れの高校生活

俺は誠華と雫と一緒に学校に向かっている。


「なぁ、学校もののアニメとかでさ教室に入った時に挨拶するのあるじゃん」

「あるな」

「あるね」

「あれを実際にやってる人っていないと思うんだよな」

「そりゃそうだろうな」

「まさか実際にやってみようと思うとかって言わないよね?」


エスパーかよ。


「その顔は...図星なんだね」

「実際にやったら人気者になれると思うんだ」

「そういうもんか?」


そういうもんだと思いたい。


「やるのはいいが私達から離れてやってくれよ」

「私達まで厨二病とは思われたくないからね」


俺が厨二病な訳ないだろ。

勘違いもいい所だ。


「竜はれっきとした厨二病だからね」


さっきからエスパーかよ。

俺の心がバレバレじゃないか。


「今、俺の心がバレバレじゃないかって思ったよね?」

「普通にどうやって心読んでんの?」

「簡単だよ。そう思うような言葉を言って後は表情から読み取るだけ。簡単でしょ?」


難しいだろそれ。


「竜は今、そんな事が出来るなんて雫ちゃんすごい!って思ったでしょ」

「大ハズレだ」


雫はかなり驚いた表情をする。


「まぁ後1つ加えるとするならその人の事をよく知る事かな。主に性格とかね」


それならまぁいけそうだ。


「じゃあ雫、私と1回話そうか」

「いいよ」


早いな誠華。

頑張れよ。


「昨日雫の家がどっかの誰かさんのせいで爆発されてたな」

「うん、それがどうしたの?」

「今、竜のせいだったやつかって思っただろ」

「すごい。誠華、大当たりだよ」


そう言うと雫は俺の方を見る。


「いや、ごめんって。普通に事故だろあれは」

「帰りにプリンを買ったら許そう」

「所持金がゼロな事知ってるだろ」

「そういえばバイト先は決まったのか?」

「決まった決まった。最近できた焼肉屋に応募してみることにした」

「竜が私もって誘ってきたんだよ」


誠華が俺の方を見る。

誠華はすごく引いた顔をする。


「違ぇからな?普通に一緒に働いた方が楽しそうだっからだからな」

「ならいいや」

「待ってどういう事?」


誠華は雫と目を合わせないようにしている。


「今日は金曜日か」

「オールだな」

「高校生になったんだからもっと高校生らしいことがしたい!」

「竜、私達陰キャはね。青春なんて出来ないの」

「その夢だけは応援できない。すまないな」


酷すぎるだろ。


「じゃあ今日帰る時にマグトナルトに寄るぞ。ちょっとは青春っぽいだろ、下校中に寄り道は」

「仕方ないな」

「そんなに青春したいなら部活に入ればいいのに」


部活はなんか入りたくないんだよな。

めんどくさそう。



俺達は教室の近くまで来ていた。


「じゃあ竜、お前は前の方から入ってくれよ。私達はここから入るから」


誠華は教室の後ろの方のドアを指さしながら言う。


「え?もしかして本当にしないといけないのか?」

「有言実行だよ。ここでしなかったらもう切腹ものだね」


嘘だろ。


「いや、そのなんというか。まぁ本当にやるとは言ってない」

「切腹しろ。それか焼き土下座」

「そんな事しなくてもいいだろうが」


俺達は教室に入り自分の席に着く。


「いやいや、しなきゃダメだよ。嘘をついたことになるんだから」

「証拠出せよ、証拠!」

「ガキかよ」


雫には言われたくない。


「今日の1時間目は体育だよな?」

「そうだったはず」

「体育は初めてだね」


体育か。

ラノベなら最初の体力測定で世界記録を難なく更新してキャーキャー言われるやつだな。


「多分体力測定だよね?嫌だなぁ」

「まぁお前らは私の圧倒的な記録に恐れおののくがいい」

「誠華はもう柔道とかしてなかったよな。体力落ちてるんじゃないのか?」

「失敬な。毎日ランニングマシンを使ってるぞ」


金持ちはいいよな。

そんなのを簡単に買えてしまって。


「お年玉を貯めたかいがあった」

「なんかごめん」

「急にどうした?」


親の力にほとんど頼ってなかった。


「まぁそういう事だからさ。キャーキャー言われる役は私のものだ。女の子を惚れさせてやる」

「ありがとうございます」

「百合厨は黙ってて」


百合はいいぞぉ。

かわいい女の子達がキャッキャウフフで


「ぐへへへへへへへへ」

「急にどうしたの?キモイんだけど」

「塩まいとけ」

憑依(ひょうい)された訳じゃねぇからな」


おっと百合厨なのが周りにバレてしまう。

ていうか周りの視線が少し俺に集まってる気がする。


「とりあえず、見守ってやるか」

「そだねぇ」



俺達は体育館に集まっている。


「俺は島草士郎だ。お前らの弱った根性をビシバシ叩き直してやるから覚悟しとけよ」


体育教師は俺達の担任の島草天郎先生に似ているというより同じである。

見分けがつかないレベルで。


(先生達、一卵性双生児らしいぜ)

(え?マジ?だからこんなに似てるのか)

「おいそこ!何話している!」

「「す、すいません」」


一卵性双生児ってこんなに似るものなのか。


「とりあえず今日はシャトルランをするからな」


まじか...


「さっさと並べ!」


怖すぎるだろ。

今の時代でよく教師になれたものだ。


「う、うわぁ!」


俺達が整列しようとしていると1人の生徒が転げ足首を抑える。


「大丈夫か!?」


士郎先生は転けた生徒に近づき生徒の足首を見る。


「これは捻挫だな。保健室にいって冷たいタオルで足首に巻いてもらえれば大丈夫だ。俺が連れて行ってやるから俺の背中に乗れ」


先生はそう言って生徒をおんぶする。


「お前らは2人1組作っておけ、いいな」


先生はそう言うと保健室に向かって走り出す。


「ていうか2人1組?」

「誠華、一緒に組もうよ」

「いいぞ」

「あっ」


でも大丈夫だ。

ここには偶数人の生徒がいる。

俺が余ることなんて...なんて...


「生徒1人、保健室に行っちゃったな」

「竜は先生と組むんだよ」


誠華と雫は俺の肩に手を置きニヤニヤしながら話す。


「まじか...」


周りの人達は段々と2人1組を使っている。


「うそーん」



「よし、お前ら準備はいいか?高野!俺と組んだんだからこん中で1番取れよ!」

「ひゃ、ひゃい!」


結果、俺は先生と組む羽目になりました。


「よし行くぞ!よーい」


先生はホイッスルを鳴らす。

それと同時にドレミファソラシドの最初のドの音が鳴る。


(竜、一緒に走ろうよ)

(なんで始まった瞬間に話しかけるんだよ)


俺は雫と一緒に走っている。


(そりゃもちろん竜に1番を取らせないため)

(俺が取れると?)

(念の為だよ)


意地悪すぎるだろ。


(俺はとりあえず頑張ってる感だけ出すから話しかけるなよ)

(じゃあ私が今から話すのは独り言ね)


喋るのは喋るんだな。

まぁいいや。独り言なら無視すれば。


(誠華は昔女の子からチョコを貰ったことがあって...)

(その話詳しく)

(百合厨ってみんなそうなの?)


人によるだろ。

俺は百合ならなんでもいい。

年の差があろうと身長差があろうと身分差があろうと俺は気にしない。


(で、続きは?)

(え?貰っただけだよ?続きなんてないよ)

(俺は頑張ってる感を出すから話しかけるなよ)

(竜、あんたってやつは)



「よく頑張ったな高野!結果は70回と微妙だったがお前を見てて先生も走りたくなってきた。ちょっと次は走るわ」

「そ、そうですか。良かったです」


雫は40回ぐらいで脱落した。

誠華は今準備体操みたいな事をしている。

士郎先生も準備体操をしている。


「じゃあ雫、ちょっと1番取ってくる」

「頑張ってね誠華」


誠華はスタート位置に着く。


「先生なんかに負けませんからね」

「いい意気込みだな藤原。俺もお前に負けないように行ってやる」


そして先生はホイッスルを鳴らしシャトルランが始まる。


「どっちが勝つに賭ける?」

「すぐそう言う話に持っていくね。嫌いじゃないよ。そうだなぁ。ここは誠華が勝つって言えばいいんだろけどあえて先生かな」

「じゃあ俺、誠華な」

「負けたらどうする?」

「なんでも言うことを聞かすって言うのは?」

「どんなこと言われてもお金がめちゃくちゃかかるもの以外は断ってはいけないよ」

「じゃあ1発やらせろ」

「男の人っていつもそうですよね。私達のことなんだと思っているんですか」


お前がなんでもって言うからだろ。


「エッチな物もなしで」

「チッつまんねぇの」

「舌打ちしない」


エッチな事の一つや二つやらせろよ。

でもまぁ相手が雫だしな。

エッチな事をしたらそれはそれで社会的に殺されそうだ。

なぜか親父は殺されてないが。



「なぁ」

「うん?」

「まだ終わらねぇの?」

「まだまだみたいだね」


誠華と先生は2人揃って100回以降に到達していた。


「あの顔はまだまだ行けそうな顔だね」

「どんな顔だよ」


女子達がキャーキャー言ってるのがよく聞こえてくる。

今走っているのはもう先生と誠華だけだ。


「なんだ?男子はもう俺しかいないのか?皆情けないな」


最近のヤツらは運動しないからな。

俺も含めて。


「余裕ですね、先生」

「生徒に負ける訳にはいかないからな」


なんか2人ともバチバチにやり合ってるな。

後で誠華は運動部から勧誘受けそうだな。

そんな事を考えていると授業のチャイムが鳴る。


「ここじゃ引き分けって所か」

「決着はまた後日...ですね」


2人は不気味に笑い合う。


「お前ら、挨拶はいい。すまないな遅れてしまった。じゃあまた」


授業が終わり皆が被服室に向かおうとしている。


「藤原さん体力すごいね」

「昔なんかのスポーツしてたの?」


女子2人が誠華に話しかける。


「まぁ柔道とかを」

「とかって事は他にもなにかしてたの?」

「すごーい」


俺と雫はちょっと困りながら続々と増えてきた女子達の対応をする誠華を置き去りにし体育館を抜ける。


「おい、お前らー!」

「ねぇ藤原さんってどんな化粧水使ってるの?」

(ひぃ助けて)


困ってる所を見るの楽しい。

俺達が誠華の困ってる様子を見て楽しんでいると1人の男子生徒が横を抜ける。


「今から2年生の授業があるっすよ。それに休み時間が後5分しかないっす。次の授業に送れますっすよ」


あれは...確か委員会紹介の時にいた生徒会長の宮風有輝か。

宮風先輩がそう言うと女子達はすぐに体育館を抜ける。


「あれが誠華の気になってる人」

「それ誠華に違うって否定されてたよな」

「恋愛は嘘だらけだよ」


それは雫が勝手に思ってるだけだと思う。


「ていうか急げ」

「それもそうじゃん」

「待てよお前ら」


お前に追いつかれたら終わりなんだよ。

雫は俺が逃げようとすると足をひっかける。


「竜を身代わりに私は逃走経路を確保した」

「雫!」

「はい、1人確保っと」


俺、どんな目に合わされるんだろうか。

前は東京都1周とかさせられたから次はもっとやばいかも。


「ん?竜?もしかして...いや、流石に違いますっすよね?人違い…っすかね」

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