体育祭
「「「「「ふれー、ふれー、赤組!」」」」
「「「「負けるな青組!」」」」
「「「「黄色もいけー!」」」」
「「「「勝て!みどりぃ!」」」」
今日は皆(陽キャ)が楽しみにしてた体育祭だ。
「暑い、うるさい、帰りたい」
「文句言ってないで応援してるフリだけでもしとけ」
「カテー」
もちろん俺達は体育祭を適当に過ごしている。
これは決して皆が真面目にしてる中で不真面目な俺かっけぇをしてる訳ではない。
運動が不得意なやつが炙り出されるのが嫌なだけだ。
「誠華はいいよな。運動できて」
「毎日の習慣として運動してるからな」
普段からちょっとだけでも運動しとくべきだったな。
負けた時にヘイトが向かなくなるし。
「でも、こういう体育祭って普段目立たないあいつが意外とっていう展開を作れるのがいいよね」
「それできるの2次元の中だけだろ。誠華は体育の時に目立ちまくってるからそれできないし。俺と雫は元がダメだから」
でもそういう展開嫌いじゃないんだよな。
主人公の凄さが周りに認められていくのは興奮する。
でも、大体がその後に面白くなくなるんだよな。
上手く終わらせるっていうのも難しいもんなんだろうね。
「あ、もう借り物競争だ。雫、行くぞ」
「陰キャガチ勢のお2人さん頑張ってらっしゃい」
「運動できるだけの根暗が何か言ってるよ」
「文系相手に一般相対性理論の話をしてキモがられとけ」
雫と一緒に誠華に向かって言いまくる。
言いまくりスッキリしたのでまた入場ゲートの所にまで行く。
「私も文系なんだけど」
「え?マジ?」
〈借り物競争の人は入場ゲートに来てください〉
「え、その話本当?」
「そんな事はどうでもいいから早く行け」
どうでもよくないだろ。
俺はモヤモヤしながら入場ゲートへ向かう。
「とりあえず、ここ頑張れば後はクラス対抗リレー」
「こっちには誠華がいるしなんとかなるよね。それに私はそれ出ないし」
なんか男子は強制参加っていう男尊女卑もいいとこだろみたいなルールだったもんな。
〈選手、入場〉
体育祭特有の音楽と共にグランドに入る。
俺は最初の走者なので指定された場所に立つ。
〈位置について、よーいドン〉
雷管の音が鳴ると同時にお題が書かれてある紙がある箱に向かって走り出す。
皆、結構早いな。
最下位だったらなんか言われそうだし頑張れないと。
俺は箱に辿り着くとすぐさま箱から1枚の紙を取り出す。
えぇっと何が書かれてあるのかなぁ。
フェルマーの最終定理解いた人か、うんうん。
ここにはいねぇよそんなやつ。
確か、外国人だろ?
次。
俺はもう1枚紙を取る。
CICADA3301を解いた人か。
インターネットの最大の謎じゃねぇか。
確か、それも外国人だろ?
ここにはいねぇよ。
周りのやつらはどうしてるんだ?
「マッドサイエンティストの方はいませんか? マッドサイエンティスト方はいませんか?」
「秘密結社のお偉いさんの方はいませんか? 地球を支配しようとしてるような悪い方の秘密結社です」
「恐竜飼ってる方はいませんか? できれば白亜紀辺りの恐竜がいいです」
他も大概だな。
次だ、次。
えぇっと、恋人か。
あいつら使えば簡単に行けそうだな。
でも、なんか癪だからパス。
次。
お、これとかいけそうだな。
「年収1億超の人! 年収1億超の人はいませんか?」
普通はいないって思うだろ。
だがこっちにはボンボンの誠華がいる。
誠華のお父さんは年収1億なんて簡単に超してる。
お父さんなら見に来るだろ。
それにここは私立だからな。
金持ちは多いはずだ。
「はーい!」
お、いた。
手を挙げてる。
俺は手を挙げてる人に向かって走る。
「我が弟よ。早く私を連れて行け」
お姉ちゃんだったか。
通りで聞き覚えのある声だと――
「...?」
「なに止まってるんだい?」
「あのお題聞こえてた? 年収1億以上の人だぞ?」
「うん、だから私じゃん」
マジかよ。
なんか特許取ってそれの使用料で稼いでるって言ってたけどそんなに稼いでるのかよ。
なんか買ってもらお。
「まぁ、分かった。じゃあ行くぞ」
「お姫様抱っこで」
「重い、無理」
「酷い」
俺はお姉ちゃんを連れてゴールの所まで走る。
3番か、1番下じゃないだけマシだな。
俺の走順の人達が全員終わる。
次は雫の番だ。
せいぜい頑張れ。
〈位置について、よーいドン〉
雫が走り始めた。
分かっていたけどクソ遅いな。
まぁあいつは運動出来る方じゃないから仕方ないとは思うが。
雫が箱に到着する。
雫は紙を1枚取ってお題を確認するとすぐ俺の所にやってくる。
「竜、来て」
「はいはい」
俺は雫の後ろを走ってまたまたゴールする。
「お題はなんだったんだ?」
「1番下に見てる人」
後でドロップキックを決めてやる。
俺は真の男女平等主義だからな。
男だから女に手を出すなと言われてもすました顔で殴れるんだ。
それにしても雫が1位か。
これは誠華にバカにされる未来が見える。
「竜、3位とかダッサァ」
雫に馬鹿にされてるしな。
「たまたまそのお題だったからだろ。俺なんて酷いもんだった。フェルマーの最終定理解いた人とかCICADA3301解いた人とか、恋人とかだったんだ。酷いだろ」
「1番大事なのは結果だから。過程や...!方法なぞ...!どうでもいいのだぁ!」
「はいはい、バルスバルス」
「目がァァ」
ここだけ平成初期みたいなボケしてるな。
今は令和なんだが。
借り物競争が終わり観客席の方に戻る。
「お前、雫でも1位取ってるのに3位とかダッ――」
俺は誠華の口を手で塞ぐ。
何言われるかなんて分かりきっているんだ。
このままにしておこう。
「レロレロレロレロ」
「汚ったな!」
誠華は俺の手を舐める。
「おやおや、酷いですね」
「空間ごと焼かれてたくなかったらその口を閉じるんだな」
「んなぁ」
誠華がしょんぼりした顔をする。
「ほら、次は誠華の番でしょ」
「あ、100m走か。行ってくる」
「頑張れよ」
誠華は入場ゲートに走っていく。
「さてと」
「こっちも準備しますか」
俺達は財布を持って購買の方に向かう。
「いけぇ!2組の田中! させ!」
「あぁくっそ、2位か。複勝にしとくべきだったな」
俺達は体育祭の時にのみ現れるという闇の購買に行きレースの結果を予想するという賭けをしている。
これは決して競馬じゃねぇ。
馬じゃないからな、だから未成年でも賭けれるって訳だ。
※良い子も辞めましょう
「うーん、裏ルートで仕入れた選手の体力測定の結果があるから単勝で当てれると思ったんだが」
「本番と練習じゃ違うってことだね」
もうちょっとそこを見極めれるようになるか。
次は誠華の番か。
誠華は単勝で余裕だろ。
「藤原さんよ。皆、応援して!」
「「「「「ゴーゴー藤原、ゴーゴー藤原、レッツゴー藤原、ファイト誠華ちゃーん!」」」」」
誠華は女子達の応援に手を振る。
「キャー!藤原さんに手を振って貰えた」
「ずるい!」
「私にも!」
誠華、いつの間にハーレム作ってたんだ。
あ、これ夢だ。
そうだ夢だ。
なんであんなふざけたおだいを出してるんだ?
なんで体育祭にこんな競馬みたいなのがあるんだ?
なんで誠華がハーレムを作ってるんだ?
夢だからだ。
俺は雫の頬をつねる。
「痛い、何すんの?」
「夢じゃねぇのか?」
「自分のでやれ」
雫は俺の頬をつねってくる。
しっかりと痛い。
「.....俺達何やってんだろうな」
「私も今思ったよ。何してんだろ」
俺達は虚無感で胸がいっぱいになる。




