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先生?

俺達はお昼ご飯を食べ満腹感で今にも寝そうになる。


「次の授業寝ようかな」

「次の授業は…地学だな」

「あの樹田(きみた)先生か。じゃあ寝れるな」


あの人の授業よく分かんないし寝てても内職してても注意されないもんな。

大体のやつがスマホいじったりして時間を潰すような授業だ。


「やべ、お腹痛い」

「流石に食べすぎたんじゃない? オムライスにカレーにスパムおにぎり、爆弾おにぎり、――」

「そんな食べとらんわ。てか、お米が多すぎる」


俺がツッコミをし終わるとお腹が更に痛くなる。


「うっ、ちょっとトイレに行ってくる」

「いてらー」


俺はお腹を抑えながらトイレへと向かう。

鏡の前で前髪をいじってるやつがいないのは奇跡だな。

俺はそのままトイレの個室のドアを開ける。


「あっ」


そこには便所飯してる樹田先生がいた。

…??

俺は一瞬頭が混乱してお腹の痛みなんか忘れていた。


「あのぉ」

「あ、ごめん。一回出て行くね」

「あ、はい」


俺はトイレの個室に入りやっとお腹の痛みを思い出す。



俺はトイレを流し外にでる。


「お待たせしました?」

「じゃあね」


俺は何もなかったようにトイレの手洗い場で手を洗う。

手についた水を服で拭いていると急に理解することができた。

そして、振り返ると俺が入ってたトイレの個室にもう1回入ろうとしている先生の姿があった。


「いや、ちょっと待ってください」

「ん? あ、大丈夫。匂いとか気にしないから」

「そこじゃねぇよ。なんでここでご飯を食べようとしてるんですか」

「いやだって、職員室は仲のいい先生同士が楽しく話し合ってるのが聞こえてきて辛いし教室は生徒達の明るい話し声が辛いし準備室はあんまり掃除してないからホコリとかで汚いし」


生徒がボッチだからここで食べようとしてるのは分かる。

でも、なんで先生がここで食べようとしているんだ。


「なんで俺、教師になったんだろ」

「本当にそう思いますよ」


この先生の授業が分かりにくかったのはこういう性格だったからなのかもしれないな。


「あ、そうか。親にゲーム会社に就職したいって言ったらそんなオタクが多そうなとこ行ったらママがバカにされるでしょ。そんな恥ずかしい所行かないでって言われて他にしたいことなんかなくて地学が得意教科だったからか」


すっごく闇を感じる。


「ご、ごめんね。こんな話に付き合わせちゃって。高野君だよね? 確か、藤原さんと南根さんと仲良いんでしょ。早く帰って遊んできな」

「なんか、先生のことが心配になってきたんで出来ないですよ」


先生が俺をキラキラした目で見てくる。

ていうか、俺達の名前覚えてるんだ。

この学校、全校生徒合わせて1000人ぐらいいるんだけどな。


「そ、それなら天文地球部に入ってこない?」

「部活はちょっと無理ですね」

「楽しいよ。学校に泊まったり合宿があったりするんだ。君だって男だろ? 女の子と1つ屋根の下で寝たいと思うだろ?」


こいつ、なんで教師になれたんだ。

生徒にこんなこと言ってくるやつ教師になれねぇだろ。

こういうやつの方が好きだけど。


「まぁ、思いますけど女の子と1つ屋根の下で寝たことありますけどあんまりいいものじゃなかったですよ」


雫は寝相悪いし星奏は体大きいからちょっと邪魔だし。


「え、君隠れ陽キャだったの?」

「ちょっと何言ってるか分かんないっす」


樹田先生がまた落ち込む。


「天文地球部に新入部員が入っても顧問が嫌だからって抜けていく人が多くて、今は部員数ゼロで」


可哀想すぎる。


「生徒からの授業アンケートっていうのがこの学校あるんだけどそこでの評価がいつも低くて今年も例年通り評価が2未満だったらクビだってさ。……なんで泣いてるの?」

「先生も苦労じでだんでずね。俺だげは絶対評価5おじまずがら」


俺が泣いていると先生も泣き始める。

そこでチャイムが鳴る。

先生はそれを聞いて泣き止む。


「準備してきなさい。もうすぐ始まるだろ」


俺も泣き止んでトイレから出る。

いつもなら人通りが多いのだが今はなぜか人通りがない。


「あれ、人少ないな」

「そうですね」


俺が廊下にある時計を見るともう授業が始まる時間だった。

いつ予鈴なったんだ。


「高野君は急いで教室に行け。俺は授業の用意を取ってくる」

「はいっ」


俺は急いで教室に戻る。


「お、遅かったな」

「樹田先生はまだ来てないよ。良かったね」


俺は自分の席に着く。


「 ていうか、顔赤いな。泣いたのか?」

「ちょっとな。トイレで色々あったんだ」

「何があったの?」

「ここでは話せないすごいお話さ」


2人が頭にハテナを浮かべるが俺は気にせず地学の教科書を机の上に出す。

樹田先生が息を切らしながら教室に入ってくる。


「えー、では授業を始めます。起立、礼」

「「「「「お願いします」」」」」

「着席」


先生、いつもより声が大きくなってる。

俺に色々と言ったからかな。

他の生徒達も先生の方を見ている。

頑張れ。


「え、えぇっと教科書の16ページ開いてください」


先生、なんでちょっとだけ目線下げるんだ。

そこはずっと前向けよ。


「昔は地球は平面であると信じられてきました。ですが、今となっては地球は球体であると証明されました。そうです、今の平面論者はバカしかいないってことです!」


教室が静まり返る。

なんで平面論者はバカのとこだけ無理に声を大きくするんだ。

変にボケようとしなくていいから。

確かにボケてくれる先生の方が好きだけど。


「あ、教科書18ページ開けてください」


声が段々と小さくなっていく。

俺は先生の方じっと見る。

先生も俺に気付いたのか覚悟を決めたように前を向く。


「平面論者はバカです!」


なんでやねん。

もうええやろ、そのネタは。

普段でない関西弁が出ちまった。

教室はまた一段と静かになる。

先生は涙目だがまだ前を向けている。


「えぇっと、地球平面論以外にも昔には地球天動説というのがありました。地球を中心に太陽などが回っているという考え方ですね」


先生がまだメンタルを壊していない。

大丈夫、俺は絶対に先生の授業見てるから。


「ですが、今は地動説が正しいとなっています。理由が分かる人、手を挙げてください」


誰も手を挙げないな。

しょうがないここは俺が答えるか。

俺はサッと手を挙げる。


「あ、高野君」

「天動説じゃ説明できない動きをする星があったからです」

「そうですね。つまり、天動説を唱えてるやつはバカです!」


先生……なんで人をバカにするタイプのネタしかできないんだ。

あ、先生が下を向き始めた。


「高野君が言ってくれたことを天動説が正しいとされていた時代で言ったら牢獄に閉じ込められるんでタイムマシンで過去に行くって人は注意してくださいね」


良かった、変にボケなくて。


「あの時代は宗教に熱心な人が多くてですね。地球が中心なんだと宗教上の理由で言い続けるって人が後を絶ちませんでした」


よし、いいぞ。

先生なんだからちょっとした豆知識みたいなのを教えてれば結構生徒からの好感度は高くなるんだ。


「宗教が理由で正しい主張や科学の進歩を止めるっていうのがこの時代では普通だったりします。そうですね、宗教熱心なやつはバ――」

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