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嫌な通学路

俺は目覚ましの音で目が覚めてベッドから降りる。

眠い目を擦りながら階段を降りてリビングに向かう。

ねみー。

学校行きたくない。

学力社会に鉄槌を下してやる。


「おはよう、我が弟よ」

「おはよう」


お姉ちゃんの挨拶に適当に返しながらテーブルに座る。

そういえば昨日、ボスキャラのレアドロ出たな。

あのアイテム俺のジョブじゃ使わないしあいつらに高値で売りつけてやろ。

できることなら俺のジョブのアイテムのレアドロが欲しかったんだけどな。

それでも、一生分の運を全部使い切った気分。


「はい、こちら朝ごはんになります」

「ありがとう」


お姉ちゃん、今日もハイテンションだな。

こいつ、博士課程に進んでるんだぜ。

そう見えねぇよな。

俺はお姉ちゃんが作った朝ごはんを1口食べる。


「シェフを呼んでくれ」

「私です」

「こんな朝ごはんをありがとう」

「どういたしまして」


お姉ちゃんはドヤ顔をきめる。



よし、行くか。

俺は朝の支度を全て終わらせいつも通りの時間に玄関のドアノブを持つ。


「行ってきます」

「行ってら――」

「やべぇ、遅刻する!」


親父が起きてきたな。

ていうか、寝坊するとか社会人としてどうなんだ。

俺は親父に呆れながら外に出る。


「お父さん、今日本社に行くんでしょ。早く支度して」

「起こしてくれよー」


娘に起こしてって言うのどうなんだ。

俺は家の外に出ると2人が待っているのが見えたので2人の所に向かう。


「来たか、行くぞ」

「うーい」

「学歴社会なんて死んでしまえ」


雫、その気持ちはよく分かるぞ。

こんな朝早くに起こされて1時間近くかけて学校に向かうとか馬鹿げてるよな。

俺達はいつものように駅に向かう。


「そういえば俺、あのゴールドアイアンパールドラゴンのレアドロのルビサファロッド手に入れたんよな」

「私のジョブの武器じゃん。頂戴」

「私もできれば欲しかったんだよな」

「誠華にとってはサブジョブの武器でしょ。私にとってはメインジョブの武器だから私にふさわしい」


2人はどっちが持つのにふさわしいのか話し合う。


「何を言い争ってるんだ。こっちはこれ出してくれればなんでもいいから」


俺は手を金のマークにし2人をニヤニヤしながら見下すように見る。


「100万ギロ出すよ」

「私は500万だ」

「プレイヤーが露天で売ってる時は6000万ぐらいしてたよな。そうだな、友達価格で1000万からなら相手してやる」


俺達がオークションみたいな事をしてるとクロネコが俺の前を横切る。

2人は横を向いて話し合ってるから気づかなかったみたいだ。

縁起悪いな。

俺達は駅に着いても値段交渉で話し合ってる。

乗る電車が来ると静かにするために1回値段交渉を中断する。

俺達が電車に乗ろうとすると走って来るような音がする。

せっかくドア側の位置を手に入れたからできれば来て欲しくないな。


「すいません、乗ります!」


俺達の所に無理やり入って来た、……親父が。

やばい、バレないようにし――


「あ、竜か。奇遇だな」


息を切らしながら俺に向かって話しかける。

反抗期が更に加速しそうだ。

俺は2人の方を見て親父の方は見ないようにする。

お前が俺に話しかけてきたせいでこの場にいる人達がめちゃくちゃ俺の見てくるじゃねぇか。

あんな無理やり入ってきて注目集めてたのにその注目が俺にまで向いてくるだろ。


「あ、竜のお父さんだ」

「雫、私達は知らない人のフリをしておこう」


2人が俺から目を逸らしそうだったから止めようとするも親父は俺の事を見ているような気がしていつものように話せない。

なんでだろう、親が近くにいるといつも通りスマホでゲームしながら話そうにもスマホを取り出しずらい。


「おいおい竜のやつ、いつもより大人しくないか?」

「確かにそうだね。これは新感覚だね」


2人はニヤニヤしながら俺の方を見てくる。

乗ってきたのがお姉ちゃんなら別に良かったんだけど親父だとなんかいつものように話そうとすると恥ずかしくなる。


「いたずらしたくなるね」

「スタ連してやろう」


そういえば、スマホをマナーモードにするの忘れてた。

誠華は宣言通りスタ連をしてきたのか俺のスマホの通知が鳴る。

早くマナーモードにしないと、でもあんまりスマホ取り出したくない。

親父にスマホの画面見られそうで嫌だ。

俺が顔を真っ赤にして下を向いてると流石にやりすぎたと思ったのか誠華はスタ連をやめる。


「やりすぎたかも」

「なんか、竜を涙目にさせるのっていいね。可愛く思えてきたよ」

「雫ってドSだったんだな」


今の気分を言葉にするなら授業参観に親が派手な姿でやってきて先生に親と一緒に何かをしましょうと言われた時の気分。

恥ずかしくて、反抗期のせいで気まずい、そんな感じ。


〈次は品川(しながわ)、品川。左側の扉が開きます〉


親父がどこで降りるか分からない。

俺達はあと3駅先で降りるから最低でも6、7分はかかる。

それまで我慢できるかな。

俺の死因は恥ずか死とかなるんだろうなぁ。


〈品川、品川、次は田町(たちょう)、田町〉


俺の精神が死んでいると2人が話しかけてくる。


「竜、大丈夫か?」

「災難だったね」


なんだよ、2人とも。

急に話しかけてくんなよ。

返せないんだ。


「もう、竜のお父さんはどっか行ったよ」

「安心しろよ」


俺は後ろを見ると親父はもういなかった。

この駅で降りたんだ。

良かったぁ。

俺は安心しきっていたのか電車の慣性で転びそうになる。


「ちょっとやりすぎた。すまん」

「大丈夫。今の俺は仏より優しいと思う。なんでも許せるわ」

「前、竜の家に行った時にリビングの上に竜って書いてあったプリン食べちゃった。メンゴー」

「なんでも許すと言ったな」

「あぁ、そうだよ。許して」

「あれは嘘だ」

「なにぃ」


まぁ、嘘だろうしいいや。



俺は息子が俺と一緒にいるのが嫌そうだったから電車から降りて次の電車に乗る。

これが反抗期ってやつか。

しんどいなぁ。

華蓮は反抗期とか来なかったから分からなかったな。

俺は物心を持ってから親元を離れた今もずっと反抗期みたいなものだから本物の反抗期を見たのは竜が初めてだ。

いい親でいられてるのかなぁ。

分かんないな。

こういう時、辰美(たつみ)ならどうするかな。

竜ともっと関わっておけばよかった。

今思えば辰美に任せきりだったな。

その辰美も今はお金を稼ぐために海外にいるからな。

竜と話すために仲介してくれるやつは華蓮ぐらいだけど娘にこんなこと言うのもな。

親って難しいな。

華蓮は簡単すぎたから大丈夫だったけど。

辰美との新婚旅行の帰る日の朝になぜかホテルの部屋で1人で突っ立ってて、訳を聞いたら奴隷として俺に買われたって言ってな。

旅行先と日本で親を探したけどいなかったから俺達の子として育てた数ヶ月後には小学校の中で1番賢くなって、2年後には家事全般こなせるようになって、数年後には全国の模試で1位取って、お姉ちゃんになってってどんだけできすぎてるんだ。

我が娘ながらすっごい出来だ。

俺は嬉しく思いながら電車から降り目的地へと向かう。

もしかしたら、華蓮ができすぎてしまったから調子に乗ってしまったのかもしれないな。



「高野さん、遅刻です」

「はい」

「あなたはかなり真面目な人だと聞いていたのですけど何か理由でもあったのですか?」

「すいません、寝坊しました」

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