普段のモーニングルーティーン2
俺は今お昼ご飯を食べている。
「親父って休みの日多いよな」
「まぁお父さんの会社はホワイト企業だしな」
「ふーんそうなんだ。窓際社員かと思ってた」
「酷くないか?」
「お父さん、竜も思春期ってやつなのよ。そっと観察しておこ」
「観察すんな」
ったくこれだからお姉ちゃんは。
「ご馳走様」
「ちゃんと水につけておいてね」
「わかってるよそれぐらい」
俺は食器を流しに置き水をつける。
「それじゃ」
「なんか竜って引きこもりみたいだね」
「うるせえ。そこらの引きこもりと違ってリアルに友達はいるから」
俺は自分の部屋へと戻る。
するとタイミングよくグループ電話が始まる。
<はいよ来てやったぞ>
<編集は終わった?>
<終わった終わった。誠華はまだか?>
<まだ編集が終わってないみたい>
なんで友達間で見せ合う程度の動画で編集をしなければならないのか。
面白かったからいいけど。
俺達が雑談をしてると誠華がやってくる。
<すまん遅れた>
<罰としてデジタルタトゥーの刑な>
<地味にやばいのやめろ>
<はい、という事で今から黒歴史製造大会を始めます。優勝者にはなんとかの有名ななんでも券を発券します。使用には使う相手によって限度がございますのでお気をつけください>
<質問いいですか>
<はい、なんでしょうか?>
<エッな事は――>
<個人によって違うので分かりませんが少なくとも私はダメです>
<私もダメだ>
<俺はいいです>
多分あいつら俺の事をヤバいやつを見る目でみてるんだろうな。
容易に想像できる。
<ではまず竜さんからお願いします>
<なんか敬語で話されたら調子来るな>
<司会者役なんだんもん。仕方ないじゃん>
そうなんだろうけどさ。
俺は動画を見せ終わる。
<では評価の程をさせていただきますね>
<そうですね。最初のボケようとして踏みとどまってる所、ダサい名前にした所、変にオシャレな朝ごはんにしたこと、朝シャンみたいなオシャレな事をしてること、その後が適当な事を考えて>
雫の部屋からも電話からもドラムロールの音がする。
大音量で流すもんじゃねぇだろ。
<8点>
<7点>
<計15点ですね>
<…俺なんか言わなきゃダメ?>
<とりあえずなんか言って>
<お母さん大好き>
<はい次行きます。次は私こと南根雫が行かせて貰いますね>
ちょっと楽しみ。
《はいどうもードロップチャンネルのドロップです》
まじかぁ。
自分で○○チャンネルって言っちゃうのか。
結構キツイな。
《今日はモーニングルーティーンをやっていこうと思うよ。とりあえず6時に起床するよ》
結構早いんだな。
一緒に夜更かしした時は起きる時間が遅いだろうけど。
《今から朝ごはんを食べていくよ。朝ごはんはヨーグルトとバナナだよ》
少食アピみてぇ。
そんなんだから身長伸びないんじゃないのか?
《朝ごはんを食べ終わったら歯磨きと洗顔をするよ。今の時刻は大体6時半》
俺はまだ寝てるな。
それはもう快眠だな。
《朝の支度が終わったので今から暇つぶしをしていくよ》
絶対もう映すことがないからサボってるだけじゃん。
あ、カットした。
《今の時刻は大体8時半ぐらいで少し暇なんで友達にちょっかいをかけたいと思うよ》
この時間は丁度雫が窓を開けてきた時だ。
《やぁやぁ竜。元気してるかい?》
《あ、ドロップちゃんが話しかけてくれた。かわゆすかわゆす》
あ、こいつ編集で事実無根な事を言わせてやがる。
《そんなはいつもの事だよ。そんな事よりさ竜は何してたの?》
《え?ちょっとドロップちゃんの事考えながら恋愛漫画見てた》
《そうなんだ》
雫の中で俺はどんな扱いにされてるのだろうか。
まぁ完全に俺の声になってないから誠華には大丈夫そうだな。
《じゃあ私もそうするよ。じゃあね》
《じゃあねドロップちゃん》
ていうか友達に送る程度の動画でネットネームを使うなよ。
本名でいいだろ。
《この後はお昼ご飯までゴロゴロしてるだけなんでそれでは》
適当だな。
そんな終わり方するなんてまだまだだ。
<どうでしょうか。点数をおつけくださいませ>
<うーん、6点。全体的に普通って印象が強かったかな>
<9点。ちょっとキモイ所とか可愛こぶってる所が点数高いかな。もっとわざとらしい体の強調…はいいとして>
<胸の話はやめてもらおうか>
<胸とか以前に体が小さいから無理だろ>
<そうだなぁ。子供で金を稼いでる親みたいな動画だったら10点いってたな>
どうゆう判断基準なんだ?
意味不明すぎる。
<なるほど、まだ成長の余地はあるんですね>
<もっと頑張ってくれたまえ。では今回はご縁がなかったということで>
<なんで面接みたいになってるの?>
知らん。
<では一言、子供は稼げる>
<ダメダメ。多分どっかのお偉いさんに怒られるから>
<ごほん、では次に参りたいと思います>
何事も無かったかのように進めるな。
<次はこの私。藤原誠華でございます>
<では藤原誠華さん、お願いします>
《私の起床はいつも早い》
真っ暗な画面から誠華の声が聞こえてくると誠華が起き上がっている映像に切り替わる。
《毎朝6時には起きパッパっと着替えをすます》
後ろの時計の時刻は10時になっている。
《洗顔や歯磨きなどもサッとすませ寝起きのランニングに行きたいと思います》
そこから誠華がただひたすら走る映像に切り替わる。
これ、もし動画サイトに上げたら広告収入まぁまぁ入って来そうだな。
<俺達は何を見せられているのだろうか>
<竜、上映中はお静かに>
ここは映画館じゃねぇよ。
《1時間程度走ったら少し休憩しちゅうしょ…朝食を取りたいと思います》
これ見てて思ったんだがなんで字幕がついてるんだ。
そこまで凝る必要ないだろ。
《今日の朝食はこれ。ササミを焼いただけと…》
お嬢様にしては質素ですな。
《後はシェフが作ってくれる完璧な栄養バランスの食事です》
うわぁ名前知らないけど高級そうなのがいっぱいだァ。
量が少なかったら高級そうに見えるって本当なんだな。
《うーん…特に感想は湧かないですね。友達のご飯の方が何倍も美味しいです。お母さんのご飯が2番目、友達と食べるご飯が3番目、でこれが4番目ぐらいですかね》
シェフの人涙目になってるよ。
《いつも作ってくれてありがとう。またよろしく》
《…はい》
なんか可哀想なんだけど。
素人と比べられて劣っていると言われてるとか一生の恥だろ。
《もっと頑張ります》
《頑張ってください》
誠華はハンカチで口周りをふく。
《それでは今日はここまでさよならー》
<…どうですか?>
<うーん、9点。お嬢様っぽいからそういう系として見れるところ、少し上から目線な所、とりあえず努力はしてます感を出してるところ、そして広告収入を入れるために無駄に時間を伸ばしている所を合わせて9点>
<そうだね。10点かな。私を褒めてくれたし>
判断基準あっま。
虫歯できるわ。
<…なぁ思ったこと言っていいか?>
<なんだ言ってみろ>
<いやな、俺達は一体何をしてるんだ?>
<…ゲーセンでも行く?>
<お金ないんじゃなかったか?>
<…私の家誰も居ないんだ>
<よし行こう>
<雫、安心しろ私もついてる>
<それなら良かった>
<俺がなんかすると思ってんのか?>
<思ってる>
酷い。




