9話 ~絶体絶命~
本日2本目の投稿になります。よろしくお願いいたします!
血塗れの私は酷く後悔をしていた。すぐに引き返すべきだったのだ。
傷だらけのシロちゃんと意識を失っているユラちゃんを抱きかかえて歩いていた。
なんでこうなった。
〇 ● 〇 ● 〇 ● 〇
熊は二足で立ち上がり涎を垂らしてこちらを見ていた。全長は3メートルはありそうな巨体。硬そうな毛皮に覆われていて一端の人間が倒せそうな相手ではない。
真っ赤な熊さんは涎をまき散らしながら襲ってきた。牙を剝き出しにし、ジグザグに走っている。私はすぐにシロちゃんに指示を出した。
「シロちゃん! 熊の動きを止めて!」
『まかせて~』
シロちゃんは熊の足のあたりに渾身の力で肉球を放った。ゴブリンを倒したときは頭を破裂させるほどの威力があったが、熊は少し怯んだだけだ。どんだけ丈夫なんだよ。熊の毛皮は少し凹んだだけで致命傷になっていない。絶対来る森間違えてるよね!?
私は怯んでいる熊に先ほど変身スキルで作った刀を腹部に一閃。数秒ほどで熊の胴体が斜めにズレた。まき散る臓物と滴る血液が妙に生々しさを感じさせる。ゲームじゃなく現実だからだ。
てってれ~実績を解除しました『格上キラー』(条件自分の戦闘力の100倍以上の相手を殺す)スキルを開放します。私この熊の100分の1以下なんだ……激弱じゃん。
ドサ。
「ユラちゃん!?!」
ユラちゃんはあまりにも惨い光景を見て意識を失ってしまった。子供には刺激が強すぎたのか。ここは早めに撤退するか。
びっくりしてスキル聞けなかった。スキル何だったのかな??
私はユラちゃんを担いだ瞬間何かがこちらへ飛んできた。
「……シロ、ちゃん?」
『ご主人……。いたいよ~。』
飛んできたのは腹部が赤黒く染まったシロちゃんだった。自力で起き上がることが出来ないほど瀕死の重傷だ。チートなシロちゃんが秒殺……?いったい何が?私が振り返ると先ほどの赤い熊が5匹、その熊たちよりも二回りほど大きく、7メートルはある赤色と黒色の熊が腕を振り下ろしたポーズでこちらを見ていた。
その威力は絶大で地面は抉られていた。シロちゃんはあの攻撃に直撃したのか。
7メートルの怪物は死そのものを具現化したかのようなオーラを放っており、一瞬足が竦んでしまった。
シロちゃんが重傷ですぐに手当てをしないと危ない。持ってるのは原料の薬草しかないから町に戻らないといけない。ポーションでも買ってくればよかったのに。シロちゃんが強いから慢心していた。
シロちゃんを傷つけたあの熊。潰すか。
2匹の熊がこちらへ飛び掛かる。ユラちゃんをそっと置いて刀を横に振り抜く。空中で3メートルの巨体は臓物をまき散らしながら地面に崩れ落ちる。
いくら切れ味がいい刀を持っていても、素人が扱うには重すぎた。腕はガクガク、手の平には血が滲んでいた。
仲間が死んで3匹の熊が激高し突進をしてきた。速度は凄まじく地面が揺れて木々をなぎ倒されていく。
これはまずい。直撃したら間違いなく死ぬ。避けたらユラちゃんとシロちゃんに攻撃が当たる。
「二人とも! ごめん!」
シロちゃんとユラちゃんを思いっきり横にぶん投げる。
私は前世で習っていた空手の足さばきと重心移動で、先行して走ってきた1匹の熊を避け、首を切り落とす。残り2匹と親玉。熊たちは飛び掛かったっら空中で切られると理解しいるようで、そのまま2匹は突っ込んできた。私は横に転がり間一髪でかわす。熊はすぐに振り返ろうとしたが急に止まれずに倒れた。そのまま熊の元に走って首を切り落とす。何の抵抗もなく刃が肉を断つ。まるでバターを切っているかのようだ。2匹の熊に止めを刺す。残りはデカいのが1匹。この刀ならいける。
息を切らしながら刀を正面に構え、巨大な熊に向き合う。
『オオオオオオオオオオオ!!!』
熊は叫び、怒りに満ちた表情でこちらへ走ってきた。振り下ろされる腕を私は刀で受け止める。しかし、爪は切り落とせず私の体に凄い重力がかかる。
なんで?なんでも切れる刀のはずだよね!?
私の膝と肘は力に耐えられず、血を噴き出した。
痛い痛い痛い痛いイタイイタイ……。私、死ぬの?
そして、もう片方の腕を熊が振り上げる。
あぁ。終わった。
迫りくる巨大な腕がゆっくり見えた。
「お姉ちゃん!!」
ユラ……ちゃん?ユラちゃんは腰から抜いた黒い短剣を熊の横腹に刺した。
ちゃんと刺さるじゃん。
熊は自分に攻撃をしてきたユラちゃんに振り上げた腕でき飛ばした。
地面に転がる幼い少女。目立った外傷はないが、口元から血が垂れており、ピクリとも動かない。
「ユラちゃん! お前絶対に殺すからな」
スキル発動「変身」
皆重傷を負って大ピンチ。是非みんな生還してほしいです。
スローライフとは!?
やはり元社畜にはスローライフはまだ早かったようです。
社畜の作者が頑張って更新していきます!
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