パラレル世界とアナザー妹 その4
「へー、それでそれで、美味しかった?」
自分の部屋に返ってきた僕は、当然のように待ち構えていた妹神に色々と聞かれていた。
「うん、美味しかったよ」
「いいなー、美味しいごはんー、私も食べたーい」
「神様なら何とかできたりしないの?」
「いやー、食事にまつわる神ならともかく、私はあくまで妹の神でしかないからねー」
「そういうものなんだ」
「そういうものなのー」
一応はあちらから提案してきた相談会のはずなのに、なんというか他愛もない会話のようにしかも思えない。
最初にあちらであったことやしたことを報告して、色々と質問をしていたのだが、色々と話しているうちに彼女の言葉が雑談的なものへ変わっていき今に至った。
すっかり雑談となってしまっているし、そろそろ軌道修正をしなきゃいけないかな、というかしないと無限に会話していそうだし。
「あの、それでなんだけど」
「うん、なになに?」
「これからどうしたらいいとかそういうアドバイスとかは?」
「え、あー、そっか、そうだね、これ相談だもんね」
どうやらあちら側にはもう相談されているという意識はなかったらしい。地味に困ったものである。というか、言いだしっぺなのだし忘れないでほしいんだけど。
「あのねー、えっとねー……」
言いよどんで瞳を閉じると、数秒の沈黙する妹神。しばらくしてから大きくうなずき、目を見開いた彼女は「うん、保留!」と大きな声で言った。
「ほ、保留?」
「そう、保留。とりあえずはお兄ちゃんの思うまま動いてみてよ。大きな動きがあったりなにしたらいいか分からなくなったら言ってね、それじゃ、ばいばーい」
早口でそういうと、彼女は逃げるようにすっと消えて行った。
やっぱり光らなくても行き来できるらしい。それと、こちらとしてはどうすればいいか分からないから相談しているつもりだったのだが、どうやらあちらには伝わらなかったらしい。結局『救う』ってなんなのかよく分かっていないし、その辺りも教えてほしかったんだけど。
逃げるようにすっと消えたように見えたけど、あれは本当に逃げただけなのかも……。
「なんだか、微妙に頼っていいのかどうかわからない神様だな……すごいのは分かるんだけど……」
あと神として関わっている範囲のものしか好きかって出来ないなら、やっぱり妹というのは結構範囲が狭いんじゃないかという気がしてきた。
リモコンを使った世界の移動も移動先の座標が妹の部屋で、妹が存在しないと使えないものだし、彼女が何かするには妹関係の何かが必要なのかな。
彼女が望んで『妹』を担当することになったのかどうかは分からないけど、もしも位が高い神から命じられてそこを担当しているとするならば随分と難儀なものかもしれない。でも、彼女の事だからきっと自ら『妹』を担当したんだろうなぁ……なんとなくだけどそう思う。
「馬鹿なこと考えてないで、お風呂入って、明日の準備して寝よう」
この時間までずっとあっちにいたから、お風呂掃除をまだしていないことを思いだす。
こういったことは後になればなるほど面倒臭く感じるものだ。既に大分面倒臭く思えるけどさっさと済ませて、入浴して就寝しよう。
次に響香に会ったらどうするかを考えながら風呂場まで足を運んだ。




