表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強ギルドを追放された《植物王》、実は世界樹に選ばれていたので植物の力で無双します  作者: こはるんるん
最終章。エルフ絶滅計画

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/67

59話。王座の間での最終決戦

「ふん、世迷い言を……それでは、ごきげんよう。次期、国王陛下。王座の間で、お待ちしておりますわ」


「ご主人様!」


 ディアドラは優雅に一礼すると、コレットと共に消えた。空間転移をしたのだ。

 わざわざ行き先を告げてくれるとはありがたいが。十中八九、罠が仕掛けられているだろう。


「あるじ様、すぐに行こう、リルに乗って!」


「おうっ!」


 俺は神獣フェンリルの背中に飛び乗る。

 ゼノスを弔ってやりたいが、すべてを終えてからだ。

 それに弟の最期の言葉は、こんなクソ女ごときに負けんじゃねぇぞ、だったからな。そのエールに応えるためにも、ディアドラの復讐をなんとしても阻止しなくてはならない。


「世界樹のマスター殿、どうか、どうか、我が娘を……!」


 エルフ王が声を詰まらせて、俺を仰ぎ見た。


「コレットは必ず助け出します。でも、ディアドラについてはお許しください。手加減をして勝てる相手ではないです」


「それは無論っ! ただ、ワシはディアドラとやり直したかったのです。あの娘を殺すように強要した王妃は亡くなり……ワシは償いをしたかった。それがこんな悲劇を生むとは……」


 エルフ王は、その場に泣き崩れた。

 ディアドラを王宮に入れてしまったばかりに、国を滅亡寸前まで追い込むことになった。


「ワシは愚かな王であり、親としても失格です。だが、コレットには罪は無い。どうか世界樹のマスター殿、コレットとこの国をお頼みします!」


「国王陛下、懺悔は後にして、とにかく森の消火活動にかかってください。残ったエルフたちは、あなたの言葉なら聞くハズです」


「はっ!」


 エルフ王は片膝をついて承諾した。まるで君主に対するような態度が気になるが……

 今は、それどころではない。


「リル、行くぞ! これが最後の戦いだ!」


「うん! あるじ様!」


 リルは火に侵食されつつある森を疾風となって駆ける。

 やがて、大樹が絡みついた神秘的な石の城が見えてきた。自然との調和を何よりも重視するエルフの王宮だ。

 はっとするほどの美しさだが、あいにくと見惚れている時間はない。


「リル、コレットの匂いがわかるか?」


「うん、あるじ様、この城からするよ!」


 やはり、コレットはここに連れ去られたようだ。

 神獣フェンリルの巨体では、王宮の中に入れない。リルには獣人少女の姿になってもらった。

 すぐさま白花の鎧を生み出して、リルに纏わせる。


「突入するぞ! 敵が近くにいたら、教えてくれ!」


「うん!」


 リルと一緒に王宮内に踏み込む。

 コレットの匂いをたどって走れば、迷わず王座の間に着けるハズだ。

 意外というか、案の定というべきか王宮内は人の気配がまったくなかった。戦に出るか、避難しているのだろう。

 時間が経てば、この城も火に飲まれるのは確実だった。


「誰の許しを得てここに立ち入ったか、下等種族……!」


 突然、廊下に並んだ戦士像が声を発して動き出した。その手には大剣が握られている。


「魔法によって動くゴーレム兵か!?」


「あるじ様は、リルが守る!」


 リルが突進して、ゴーレム兵たちを殴りつけた。彼らは一瞬で砕かれて、床に散らばる。


「どうやら城の侵入者迎撃システムみたいだな。下等種族って、俺のことか……?」


 コレットには人間に対する差別意識は見られなかったが、これが大多数のエルフの価値観だとすると、ゾッとするな。

 ……ハーフエルフが嫌われる訳だ。


 エルフ王の不義の娘であるディアドラは、想像もできないような地獄を味わったに違いない。

 だが、同情するつもりは無い。多分、アイツは死ぬまでエルフに対する復讐をやめないだろう。

 自らが破滅するか、エルフを破滅させるか。ディアドラにあるのは、このいずれかの道だけだ。

 ここで悲劇の幕を閉じなければならない。


「こいつら、匂いがしなかった。ごめん、あるじ様……」


 リルは犬耳をペタンとさせて、しょんぼりしている。

 事前に敵の存在を知覚できなかったことに、責任を感じているようだ。


「気にするな。この程度の敵なら、問題ない」


 俺はリルの頭を撫でてやった。


「うん!」


 リルは安心して頷く。

 俺たちは再び、廊下を走った。

 途中、何度かゴーレム兵に襲われたが、難なく突破する。他に魔物などは待ち伏せしていないようだ。

 

「あるじ様、ここだよ! ここにコレットがいる!」


 荘厳な門が俺たちの前に現れた。神々の精緻なレリーフが刻まれた石門だ。

 ここが王座の間か?

 突入前に息を整えようとしたところ、門が自動的に開いた。

ブックマーク、高評価をいただけると、執筆の励みとなります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓こちらもオススメ! 同じ作者の新作です!

魔王少女の勘違い無双伝~中二病をこじらせて、配下の人間も守る誇り高き悪のカリスマムーブを楽しんでいたら、いつの間にか最強魔王軍が誕生していた件

▼コミカライズ版が発売されています! 2024年11月24日『comic スピラ』より刊行。
『最強ギルドを追放された《植物王》、実は世界樹に選ばれていたので植物の力で無双します』
ぜひお手に取っていただけるとありがたいです!
516FlG0WWrL._SY445_SX342_.jpg
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ