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最強ギルドを追放された《植物王》、実は世界樹に選ばれていたので植物の力で無双します  作者: こはるんるん
6章。外れスキルで闘神を超えます

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38話。アルフヘイム。アッシュの策で崩壊する

エルフ王国アルフヘイムの王宮──


「ディアドラ!? ディアドラはどこだ!?」


 キースは血眼になってディアドラを探していた。

 すぐに相談したいことがあったが、ディアドラは姿が見えなくなっていた。

 ディアドラによるユースティルア攻略作戦が失敗し、いよいよキースは追い詰められていた。


 王座の間に足を踏み入れると、探し求めた美女は、優雅に玉座に腰掛けていた。

 まるで女王でもあるかのような貫禄である。

 その姿に、一瞬、キースは先王の姿を重ね見た。


「あらあら、そんなに慌てふためいて、どうされたのです? 王者たるお方は、もっとどっしり構えておられなくてはいけませんわ」


 悠然と声をかけられて、キースは怒りにかられた。

 敗北の責任をまるで感じていない態度も癪に障ったが……なにより、ディアドラが主君で、自分がその臣下であるかのような錯覚に囚われたのだ。


「貴様っ! ハーフエルフごときが、戯れに玉座に腰掛けるとは……!?」


「これは申し訳ありませんわ。至尊の座はキース様のものでしたわね」


 ディアドラは、皮肉げな笑みを浮かべて立ち上がる。

 一瞬、激怒しかけたが、今はディアドラの力を借りねばならない時だ。


「くっ……すでに耳に入っているだろうが、アルフヘイムのあちこちで、アッシュを王に迎えるべしと叫ぶ者たちの暴動が起きている! ヤツがグリフォン獣魔師団を手懐けて贈ってきた小麦のせいだ!」


「まあっ、それは大変ですわね」


 ディアドラは冷静というより、まるでおもしろがっているような口調だった。


「落ち着いている場合か!? これでは、アルフヘイムは内部崩壊だぞ!」


 アルフヘイムの食料難は深刻で、すでに餓死者が出ている程だった。

 故にグリフォン獣魔師団がもたらした大量の小麦はとんでもない事態を引き起こした。


「ユースティルア攻略戦で勝っていたのならともかく、負けてしまったのですから、キース様から民心が離れるのは致し方ありませんわ。それにしても、闘神の息子は戦上手でありますこと。あちらの計略に見事にしてやられましたわね」


 キースの怒りは頂点に達した。

 グリフォン獣魔師団は、運び込んだ大量の小麦はアッシュがスキル【植物王ドルイドキング】で生み出したモノであること。アッシュは【世界樹の剣】のマスターであり、次期、エルフ王にふさわしいと声高に叫んだ。


 そのためキースを排して、アッシュを王にすべきだと主張する者の数が、爆発的に増えてしまったのだ。

 これがすべてアッシュの計画通りだとしたら末恐ろしい軍略家である。戦わずして勝つことこそ、兵法の極意だ。


「【神喰らう蛇】まで動かしておきながら敗れたのは、貴様の落ち度だろう!? このままでは俺だけでなく、貴様まで死刑台に登るはめになるぞ! わかっているのか!?」


 王位を簒奪しようとして失敗したのなら、死刑が順当だ。

 ディアドラはそのリスクをまったく理解してないように思えた。


「あら? 空間転移の魔法が使えるこの私を捕らえることができる者がいるとでも? 残念ですが、死刑台へのエスコートはお断りいたしますわ」


 ディアドラが涼しい口調で告げる。キースは愕然となった。


「なに……っ!? 貴様は俺に王位を取らせて、権勢を振るうのが目的ではなかったのか? まさか途中で降りようとでも言うのか!?」


 ここでディアドラに去られたら、いよいよキースは進退窮まる。エルフ王を幽閉した謀反の成功も、ディアドラあってのことだ。


「ご安心を、途中で降りることはございませんわ。そのために、闘神ガインと話をつけてきたところです。ガイン自らが出陣してくれるそうですわ」


 それを聞いてキースは安堵の息を吐いた。

 ディアドラの余裕の正体はこれだったのか。


「おおっ! それなら逆転できるな。ディアドラ、大儀であったぞ」


「ただ、申し訳ございませんが、闘神ガインは追放したアッシュにギルドの跡目を継がせることに決めたそうですわ。

 【世界樹の剣】の奪還も神獣フェンリルの討伐も断られてしまいましたわ。それらは、貴重な戦力として【神喰らう蛇】が接収するとのこと……取り付く島もありませんでしたわ」


 ディアドラは肩を竦める。


「なっ……!? バカな、それでは何の意味も無いではないか!?」


 キースは再び天国から地獄に突き落とされた。その反応を楽しむかのようにディアドラがほほ笑む。


「その代わり、『コレット王女を討ち取る』との依頼内容を承諾していただきましたわ。アッシュが【世界樹の剣】のマスターであっても、コレット王女と婚姻しないのであれば、多くのエルフは人間である彼を王とは認めないでしょう。

 王女抜きでは、即位の儀も行えませんしね。あとは、キース様の手腕でアルフヘイムをまとめていただくしかありませんわ」


 キースはうめいた。

 【世界樹の剣】こそエルフ王の証。それを【神喰らう蛇】に取られてしまっては、キースの王位の正統性を主張することが難しくなる。


 国内が荒れて統制が取れなくなっている現状、コレット王女を討ち取ったとしても、状況がすぐさま好転する訳ではない。

 だが……


「……最善ではなくとも、次善の策であるということか。それにアッシュが闘神の後釜となるのであれば、ヤツがエルフ王に名乗りを上げる心配も無くなる」


「ええっ。それにこれでエルフ王家を根絶やしにできますわ。コレット王女の死が確認できたら、エルフ王も公開処刑に致しましょう。我らに逆らったら、こうなるとの見せしめにするのです。ああっ、楽しくなって参りましたわ!」


 ディアドラは、愉快そうな笑い声を上げた。キースにはその姿がひどく邪悪に見えた。

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