友達
学校に入学して時間は経ち少し慣れてきた頃、友達がとあるイベントをする事になるのだった。
この世界に来て一週間が経ちモンスターとの戦いなどドタバタの生活も少し慣れてきた。特訓の為にモンスターを倒した後、奈々に訓練を受けている。いつもはおとなしい奈々だが変身すると少し過激になって練習も激しくなりその結果・・・
「イテテテテ・・・」
俺の体はボロボロになっていた。
「すみません。ついやりすぎてしまって・・・」
そう言いながら奈々は僕の体を支えてくれた。
変身すればどんなに怪我をしても服がボロボロになっても元の世界に戻れば全て変身前の姿に戻るが、特訓で動きまわる反動が全身をおそっていたのだ。
「まあ、お陰であの姿になって動き回れるようになったから良いけど・・・。魔法使いが動きまわる必要あるのか?」
「はい。私みたいに剣で戦う場合も動きまわる必要はあるけど、魔法使いも動かないと狙われるんですから」
奈々は釘を刺すように言った。
「そうなんだ。もしかして西山さんは魔法使いだったりするの?」
「い、いえ。そんなこと無いですよ。ただの普通の人です。ただ、小説とかに書いてあっただけですから」
奈々は頭を横に振り、あたふたしながら否定した。
「そうか・・・。普通の人なんだ・・・」
それを聞いて俺は少しだけ寂しくなった。
「どうかしましたか?なんか悲しそうな顔して」
「ううん。大丈夫、大丈夫」
「?・・・ならいいんですけど」
「そういや初めての会った時おれの事誰か別の人と勘違いしてたけどその人ももしかしてフェイターなのか?」
「多分フェイターだと思います。でも、私がモンスターの所に着く前に倒してしまって姿を見た事がないんです。茜音先生に聞いても教えてもらえてし。お礼をしたいんですけどね」
はぁー。と奈々は溜め息をついた。
「まあ、そのうち会えると思うから心配事しなくても大丈夫だよ」
「そうですね。いつか会えますよね・・・」
そんな感じで話をしているうちに俺の家の前について家に入るまで奈々に肩をかりた。
「では、私は失礼しますね。ゆっくり休んでください」
「わかった。ありがとう西山さん」
ペコッと頭を下げると奈々は帰っていた。
「ふぅ、疲れたぁー」
奈々が居ないのを確認して俺は玄関に寝そべった。
「おうおう、今日も派手にやられたな」
キーホルダーから元の姿に戻ったクロは俺の姿を見てニヤニヤしていた。
「まあ、良い練習になったからけど・・・」
「けど?」
「西山さんの方が経験豊富で強いのは当たり前だと思うの。でも戦いが終わった後、いつも西山さんに肩借りて家まで送ってもらうのはちょっとくやしいくて・・・」
俺は顔を赤らめながら最後の方はゴニョゴニョ言った。そんな姿をみたクロは呆然としていた。
「お前は乙女か!!
「な!?男にきまってんだろ」
「そうだけど・・・?たまに乙女っぽくなるんだよお前」
「ふざけるな。どうみても男だろ!!」
「そうだけど・・・、なんなぁ・・・」
なぜか踏ん切りが悪くクロは首をかしげていた。
「やめてくれぇ。本当に俺は男なんだよぉ」
だだてさえ男のプライドが折れかけているのにクロに追い討ちをされた俺は拗ねて寝室のベットに飛び込んだのだった。
「はぁー。俺はどうすれば・・・」
昨日のクロに言われて事が引っ掛かり、学校に来たがまだ気分がのらなかった。
「どうした友?今日はいつもに増して元気ないぞ」
すると後ろからおちゃらけた声が聞こえた。
「いいだろ。別に俺の勝手だろ」
「元気がないと女にモテないぞ」
「うるせぇ翔大。別にモテなくてもいいし」
呆れた質問に俺は溜め息をついた。
「まあ、そういうなよ」
といいつつもそいつは俺の肩をバシバシ叩いた。
彼は三井翔大、同級生の男子生徒だ。知り合いって訳ではないがなぜか意気投合して仲良くしている。でも、なぜか喋っているとどこか懐かしい感じがした。
「それで?悩みはなんだ。この何でも屋の俺が解決してやるよ」
腕を組み自信満々に俺に言ってきた。
「そうかぁ、なら1ついいか?」
「おうとも」
「男らしくなるにはどうすれば良いと思う?」
俺は翔大のいる方を振り替えって真剣な顔でたずねた。
すると、翔大の顔にシワができ右手を顎に当てて考えるそぶりをした。
「男らしくか・・・。まあ、今のお前少し男らしく無いしなぁ」
「そうだよ。どーせ俺なんて男らしくないよーだ」
翔大にも男らしくないと言われて拗ねて机に突っ伏した。
「あーすまんすまん。そこまで気にしてるとは思わなかったんだ」
俺の後ろにいた翔大が俺の前にたって手を前に合わせて出し頭を下げて謝った。
「そうだなぁ・・・。男らしくあるならまずは女子の前でカッコいい姿を見せるのが良いと思うぜ」
「カッコいい姿ねぇ・・・」
確かに女子の前でカッコいい姿を見せれば男らしくなるかもしれないと思った。が今までの西山さんとのやり取りを思い出してさらに落ち込んだ。
「ん~?あ、丁度良かった。おーい」
何か見つけたのか翔大はそっちに向かっていった。
「丁度良かったぁー。ねぇ梨央ちゃん今週の土曜日ひグヘッ」
何故か途中で翔大が潰れたカエルのような声を出した。不思議に思い俺は顔を上げた。
「どうしたしょう・・・」
すると言い終わる前に俺の真横を何か飛んでいって後ろの壁に激突した。
「一体なにがぁ!!」
振り替えって見ると壁に激突したのは頬の辺りが少し膨らんだ翔大だった。
「翔大!おいどうした!何があった!」
慌てて翔大を起こして、頬を叩いた。
「い、いや・・・。いつも・・・の事だ・・・気にする・・・な」
「おい!しっかりしろ」
俺が翔大を看病している間に後ろで声が聞こえた。
「ねぇ、梨央ちゃん大丈夫なの!?彼のびてるけど」
「いいのよ。あいつにはあれぐらいが丁度良いのよ」
パンパンと手を叩いて何もなかったかのように一人の女子は歩き出した。もう一人の女子はオロオロしていたがペコッと頭を下げて後を追っていった。
その頭を下げた女子は何処かで見たことある気がした。
(あの子って確か・・・、横松さんだっけ)
ふと、考え事をして今の状況を思い出し、翔大の看病をした。
そんな感じで何故かドタバタな朝を迎えたのだった。
そして昼休み・・・
「それで、何の用よ?」
呆れた顔で彼女は言った。
「まあまあ、昔からの馴染みで話ぐらい聞いてよ」
ニコニコしながら翔大は彼女に話しかけた。
「って、翔大彼女とはどういう関係なんだ?」
「そうだった、そうだった。彼女は浅山梨央。小学校からの幼馴染みなんだよ」
「ただ学校が一緒なだけよ。それであなたは?見たことない顔だけど」
「あ、長瀬友久です。翔大の友達です」
「そう長瀬君ね、よろしく。ほら、あんたも自己紹介しなさい」
彼女は後ろにいる女子の脇腹をつつきながら前に出した。
「あ、あの横松雪と言いますよろしくお願いします」
ペコッと彼女は頭を下げて、ひょこっと梨央の後ろに隠れた。
「雪は私の友達よ。ちょっと人見知りなのよ」
「そうなんだぁ、でも可愛いねぇ。あ、梨央ちゃんも十分可愛・・・」
言い終わる前に翔大は梨央に殴られれ吹っ飛ばされていた。
「それで、私になにか用があるの?」
まるでなにもなかったように俺に話しかけてきた。
「え?いや、俺も分からないんだがぁ・・・」
「そこは俺が説明しよう!!」
殴り飛ばされていた翔大がいつのまにか帰ってきていた。
「今度勉強会があるだろ。それに向けて勉強会をしようと思ってな」
「はぁ!?」
突然の提案に俺は驚いた。
「まあ、来週にテストがあるから丁度いいけど・・・。なんで私達を誘ったの?別に男二人だけでも良いと思うんだけど」
「いやぁー男二人じゃ寂しいし、それに梨央ちゃんが入れば面白いイベントが」
「何か言った?」
梨央は指をパキパキ鳴らしながら翔大に近づいていた。翔大はブンブン頭を横に振った。
その時、梨央の後ろに隠れていた雪が梨央が移動してしまったことにより隠れる場所が無くなってしまった。
「!?!?」
すると、なぜか俺は雪と目が合った。
「!!!!」
雪は顔を真っ赤にして目をそらすと梨央の背中に隠れた。
「ちょっと、どうしたの?そんなに制服を引っ張ったら伸びるでしょ」
「ご、ごめんなさい・・・」
「それに顔を赤くして・・・。なるほどねぇ・・・」
不思議そうに雪を見ていたが何か分かったのかニヤッと笑った。
「な、何?梨央ちゃん怖いんだけど・・・」
「良いわよ。丁度一人で勉強するよりも効率良さそうだしね」
「なら、決まりだな」
と、いつの間にか勉強会が開催されるのが決まっていた。
「でも、どこで勉強会するんだ?」
俺は置いてけぼりにされ続けるのは嫌だったのでなんとか話に割り込んだ。
「そうだなぁ。言い出しっぺが俺だから俺の部屋で・・・」
「嫌よ。あんたの部屋は何があるか分からないだから」
速攻で翔大の案は却下された。
「そうかぁ、じゃあ梨央ちゃんも部屋で」
「嫌よ?なんで自分の部屋に男を入れないといけないのよ。特にあんたを」
また、翔大の案が却下された。
「じゃあ、どこでするんだ?」
「あなたの部屋、四人ぐらい入れるスペースある?」
「まあ、一応な」
何故かそんな質問をされた。
「じゃああなたの部屋でしましょう」
「え?」「ふぇ?」
俺と雪は梨央の提案に驚いた。
「まてまて、なんで俺の部屋なんだ!別に図書館とか学校とかあるじゃ・・・」
「何か文句あるの?」
ギロッと俺は梨央に睨まれた。
「いえ!ありません。大丈夫です」
恐怖のあまり否定できなかった。雪は梨央の後ろで制服をつよく引っ張りブンブン振っていたがそっちも睨まれてシュンとなってしまっていた。
「しゃあ決まり。じゃあ、今週の土曜日の昼に友久の家に集合な」
もう確定らしく日時まで決まっていて俺は大きな溜め息をついた。
「でもさぁ俺の住んでる家、何処にあるのか分かるのか?パッと見普通の家だから多分場所言っても分からないかもしれないぞ」
「そりゃそうだなぁ。お前ん家学校の近くだったよな」
「まあ、言っても歩いて10分ぐらいだけど?」
「なら一回学校に集まってから家に行くってのはどうだ?」
「別にいいけど・・・。二人は?」
「良いわよ。私の家も学校に近いし」
結局、学校に集合して俺の家に行くことになったのだった。
密基地でゆっくりしていると天使がコーヒーの入ったコップをもってきてくれた。
「いやー青春してるね~。友久君」
「まあ、半ば翔大が無理矢理決めたことですし」
と言いながら天使が出してくれたコーヒーに手をのばした。
「それでも楽しんで貰えたらこっちも嬉しいからね」
「そうですか・・・。あのー、1ついいですか?」
「ん?どうしたの」
そう言いながら天使めコーヒーを飲んだ。
「その顔、どうしたんですか?」
天使の顔には何かにひっかかれた後が残っていた。
「ああこれね。彼にやられたのよ」
そう言って、俺の手元付近を見た。
「へ、自業自得だろうが。そもそもお前がおれに情報を何も教えないわ説明丸投げするから悪いんだよ」
そこにはまだ怒り足りてないクロがいた。
「まあまあ、落ち着け。ドウドウ」
俺は仕方なくクロを落ち着かせていた。
「それで、何か困ったことがあるからここに来たのでしょ?」
「あはは、ばれてましたか」
「それで、困ったことは何?私にできることならなんでもできるわよ」
「そうですか。実は・・・」
俺は困っていることを言おうしたが少しだけ恥ずかしくなり俯いてモジモジした。
「あのー。モンスターと闘う時に、フェイターに変身するじゃないか。その時にお、女になるんだが」
「はい、女の子になりますね。もしかして、女の子になりたくないっていう事じゃ・・・」
「いえ、それもそうなんですがそれよりも・・・。服をどうにかしてほしいんです」
俺は首をブンブン横に振った。そして、顔を少し赤くしながら話した。
「服ですか?」
何を言ってるのか分からないのか、天使は首を傾げた。
「ああぁーもう!変身したら体型が変わって男服じゃあ動きにくくなるの。特に・・・」
そう言いながら俺は今は何もない胸を見た。
「成程・・・。あんなに大きなものがついてるんでしたね。それは動きにくくなるはずです」
と理解したのかニヤニヤしながらこっちを見た。
「大変ですね女子になったら」
「そうだよ!大変なんだよ。だからどうにかできないか?」
「分かりました。なんとかできないか試してみますよ。少し時間はかかりますが」
「ありがとう!天使」
ということで少し時間はかかるが服装問題は解決しそうだった。