一人
二人に別れた日から姿を見せない奈々を心配に思い校門で待つ智。そこに奈々が現れるが・・・。
「ブホッ。え!?奈々ちゃんが二人なったぁ!?」
呑気にコーヒーを飲んでいた茜音先生はあまりの驚きにコーヒーを吹き出した。
「はい、昨日のモンスターとの戦闘の後、いきなり苦しみだしたと思ったら体が光り始めて、そしたら二人になってたの。はいどうぞ」
昨日起きたことを説明しながらティッシュを渡した。
「ゴホッ、ゴホッ、ありがとうね」
お礼を言いながら渡したティッシュで口周りを拭いた。
「それで、奈々さんの方は大丈夫そうなの?」
「それが、あれから全く喋ってない・・・。というか、部屋から出てないそうなの」
そう言いながら私は少し俯いた。
「そう・・・なのね。その様子だと何か知ってそうね」
「はい、でもこっちからは何もできなくて・・・」
「分かったわ。私の方からも奈々ちゃんに会えるようにこっちでも動いてみるわ。智ちゃんもよろしくね」
「はい。それじゃあ、よろしくお願いします」
私はペコッと頭を下げて秘密基地を後にした。
「まさか二人になるなんてねぇ」
彼女は1枚の写真を取り出した。そこには笑顔の奈々とお姉ちゃんか写っていた。
コンコン。
深夜にベランダから窓を叩く音で奈々は目を覚ました。
「ふぁぁぁ。ん?誰ですか・・・」
あくびをしながらベランダの扉を開けた。
「やっほー。こんばんは」
そこにはお姉ちゃんだった。
「!?」
慌てて変身しようとしたが彼女に止められた。
「別にあんたと戦う為に来たわけじゃないわ。話をしにきただけよ」
「は、話ってなんですか」
それでもいつでも戦えるように気を張っていた。
「特に大したことじゃないよ。それより、まさかこんなことになるとは思わなかったよ」
「私もです。なんでシノお姉ちゃんの姿になったんですか」
「多分だけど、私の意識が長い間お姉ちゃんの体にいたからかな」
「じゃあ、貴女はシノお姉ちゃんじゃないんですよね」
「ええ、私は西山奈々よ」
さっきまでのおちゃらけた雰囲気から一気に変わった。
「だから、貴女みたいな偽物は必要ないの」
「何を言っているんですか。私は本物の西山奈々です」
「そう。じゃあ貴女の記憶っていつからある?」
彼女は不敵に笑う。
「それは・・・」
思い出すのは普通の町並み。普通の生活だった。1つを除いて。
「そう、貴女は普通の生活しか思い出せない。お姉ちゃんのあれを見ているのに」
「それで、何が言いたいんですか」
「貴女は昔。魔術師の国に住んでいたのよ」
「なっ!?」菜々は絶句した。
「そんなことあり得ない。とか思ってると思うけど実際、お姉ちゃんは使えるのを見たことあるでしょ」
「そ、それは」
「答えは簡単よ」
一歩、また一歩と私に近づいてくる。私も一歩、また一歩と下がっていくが足にものが当たって倒れた。
「貴女は造られたのよ。10年前にね」
「がはぁ!!」
奈々は布団から飛び起きた。
「どうしたんですか奈々さん。何か悪い夢でも見たんですか?」
「心配しててくれてありがとう。ちょっと悪い夢を見ただけ」
「ならいいんですが」
しばらくの間二人に沈黙がながれた。
「今日は学校休んでいいですか」
先に話したのは奈々だった。
「別にいいですが・・・。もしかして、昨日の事考えているんですか」
「はい。でもまだ頭の整理がちゃんとできてなくて」
「そうですか・・・。分かりました。でも、ちゃんと整理できたら学校いってくださいね」
「はい。分かりました」
本当は頭の整理はできていた。でも学校にいきたくなかった。行ったら彼女の話をしなくてはいけないから。
昼になりどうしようか迷っているとき、1本の電話がかかってきた。
「はぁい、菜々ちゃん元気にしてる?」
その陽気な声は茜音先生だった。
「はい、一応は元気です」
「そう、それならよかった。みんな心配してたんだよ」
「その・・・すみません」
奈々はもうしわけなくなった。
「それは、私に言う事じゃないでしょ」
はっ。と奈々は息を飲んだ。
「智さん・・・」
当たり前のことだ。あんな態度だったら心配するに違いない。なのに私は自分の事で精一杯で気付かなかった。
「分かってるならいいわ。それに、1人で悩むよりもみんなで悩みましょ。それが仲間なんだからね」
「分かりました。色々ありがとうございます」
「お礼は結構よ。それじゃあ、学校で待ってるよ」
そう言うと茜音先生からの電話が切れた。
「私、本当にバカでしたね」
奈々は小さく呟いた。
「シロ」
私は慌てて身支度をはじめた。
「ようやく、学校に行く気になったんですね」
「はい、お騒がせしました。ついてきてくれますか」
「もちろんですよ」
そう言うと白はキーホルダーに変身した。
「心配してるみんなの為に早くいかなきゃ」
小走りで学校に向かう菜々。ふと忘れ物は無いか立ち止まり鞄の中を覗いた。すると、なにかが顔の掠めるていった。
「ガッシャーン」
大きな音がした方を見ると地面に割れた植木鉢があった。
「ウワァー、ソラカラウエキバチッテフッテクルンデスネ」
「しっかりしてください菜々さん」
「・・・はっ!そうでした。ありがとう、シロ」
シロの呼び掛けで奈々はなんとか正気に戻った。
「今回はたまたまなんですから。そう何度も危ない目に遭うなんて」
「ドカーン」「ガスが爆発したぁ」「マンホールが吹っ飛んだぁ」
後ろから不吉な声が聞こえた。
「・・・・・・・」
菜々は一心不乱に逃げだした。
「落ち着いてください。そんなに慌ててたら」
しかし、シロの声は菜々には聞こえなかった。
「奈々ちゃんが昼休み頃に来るから出迎えてあげて」
昼休みに茜音先生に頼まれて私は校門で奈々を待っていた。
「でも、どうして午前中に来なかったのかなぁ」
「まあ、なんか理由があったんだろ。察してやれよ」
「そりゃそうだな。なら・・・」
「ドカーン」
二人が話している途中でいきなり大きな爆発音がした。
「な、何!?」
周囲を見回して見ると遠くで煙があがっていた。
「なんだ?ガス爆発か。物騒だなぁーおい」
「って言っても遠くだから大丈夫だっ・・・」
「ドーン」
今度はさっきより近くから音がした。
「おい、お前のさっきの発言、完全にフラグだからな」
「そそそ、そんなわけ無いでしょ!」
そう言いつつも爆発音が近づいていた。
「ジーーーーーーー」
クロは疑いの目で私の方を見た。
「いやいやいや!私何もしてな・・・あ!」
爆発がする方を見ると奈々が見えた。
「おーい奈々さーん。大丈夫・・・」
私は目を疑った。奈々は全身ボロボロにながらも校門付近まで来たがそこで倒れた。。なんとか私は地面に倒れる前に抱え込んだ。
「奈々!しっかりして、どうしたの!!」
「こ、こんちは智さん。心配させてしまいすみませんで・・・し・・・」
言い終わる前に奈々は気を失った。
「本当、運だけはいいのね。主人公でもないのにね」
堀から誰かの声がした。見上げると少女が座っていた。
「貴女は誰なの?」
「誰って・・・。私は西山奈々だけど?」
そこにはあの日いなくなったもう1人のだった。
「名乗ったしそこをどいてくれる?彼女に用があるの」
そう言いながら目線は私ではなく奈々の方にあった。
「つまり、お前がやったのか」
「ええ、殺ろうとしたわ」
「なんで、なんで奈々を殺そとしたんだ!!」
私の声は怒りで震えていた。
「なんでって、本物が偽物を消す。当たり前のことじゃない」
当たり前のように彼女は言った。
「ふざけるな!お前が本物だってどこに根拠があるんだ」
「じゃあ、君が抱えている彼女が本物だって証拠はあるの・・・」
「そ、それは・・・・」
「どうせ、先に現れたのが彼女だから本物だって言うんでしょ。私は全てを知っている。だから、彼女が人形だって知ってるのよ。分かったならそこをどいて」
「うるせぇなぁ」
俺の怒りは頂点に達し、俯いた。
「ん?どうしたの」
「さっきから聞いていれば、俺の仲間をやれ偽者だ人形だぁ!?黙りやがれ!!」
俺は彼女を睨み付けて能力を発動した。が、
「何かしたの?」
全く効果が無かった。
「な、なんで効かないの!?」
私は驚いた。さっきの能力は前回とは比べ物にならないぐらい力を込めている。なのに、まったく効いていなかった。
「ああ君、能力について完全に理解してないんだ。その能力は『存在する』ものを書き換えるの。だから、元から存在しないものには全く効かないの。ついでに、君の事を認めない者にも効かないよ」
空いた口がふさがらなかった。彼女は私の能力を知っていた。それどころか私が知らない事まで知っていた。
「・・・はぁぁ、分かった。今回は君の熱意に免じて彼女を見逃してあげるわ」
彼女はそう言うと立ち上がり後ろを向いた。
「本当に君は優しいのね」
「え?今何か言わなかった?」
一言、ボソッと何かを言ったが智には聞こえなかった。
「いいえ、何も無いわよ。・・・さっきどうして彼女を殺ろうとしたのか、ちゃんと説明してなかったね。彼女は私から全てを奪っていったのよ!」
一瞬こっちを見て姿を消した。彼女は目に涙を浮かべていた。
目を開けると私は何故か保健室のベッドで寝ていた。
「あれ?私、さっきまで校門に居たはずじゃ・・・」
「奈々さん!良かったぁぁ。目が覚めてくれて」
智はペタンとその場所に座り込んだ。
「奈々さん!!大丈夫ですか!どこか痛い所はありますか?」
胸元にシロが心配そうに座っていた。
「大丈夫ですよ。強いて言えば、胸が少し痛いぐらいですかね」
「す、すみません。すぐに退きますから」
シロは胸元から降りて私は上半身を起こした。
「そういえば彼女は」
「ああ、一応今日の所は引いてくれたから安心して」
「そうですか・・・」
「ねぇ、奈々さん聞きたいことがあるの」
「はい」
「彼女は誰なの」
「私も正直な所、誰なのか分かりません。でも、あの姿は間違いなくお姉ちゃんです」
「いいの?私も一緒に奈々さんの過去を聞いても?」
「はい。智さんは私にできた初めての仲間です。仲間に隠し事はしたくないんです。それに、私は智さんの知られてほしく無かった過去を聞いたんですから」
「でも、本当に彼女と奈々さんの過去は関係あるのか?」
「はい、それは間違いないです」
二人は茜音先生のいる秘密基地に向かっていた。ふと、奈々の手を見ると震えていた。
私は何も言わずに手を握った。
「すみません。ありがとうございます」
「やっぱり彼女を連れてきたのね」
「はい」
菜々と私は天使のところにいた。
「本当にいいの?今から話すのは貴女の過去よ」
「いいんです。私も智さんの過去を聞きましたし。それに、智さん仲間ですから」
「そう・・・分かった。覚悟はいいわね」
菜々の手がぎゅっと強く私の手を握って離さなかった。
「あら?まさか貴女が来るなんて想定外ね」
もう一人の菜々は目の前に現れた咲夜を見て驚いていた。
「たまたま、貴女を見つけたのよ」
「それで、貴女も私を許さないの?」
そう言いながらいつでも戦えるように構えていた。しかし、
「なんのことかしら?私はただ真実を知りたいのよ」
咲夜は首をかしげた。その姿をみて彼女も剣を納めた。
「それを教えたら私に協力してくれるの?」
「内容によるわ」
「そう、なら教えてあげる
天才の姉と天災の妹の話を」




