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フェイター  作者: 知咲
13/20

一人

二人に別れた日から姿を見せない奈々を心配に思い校門で待つ智。そこに奈々が現れるが・・・。

「ブホッ。え!?奈々ちゃんが二人なったぁ!?」

 呑気にコーヒーを飲んでいた茜音先生はあまりの驚きにコーヒーを吹き出した。

「はい、昨日のモンスターとの戦闘の後、いきなり苦しみだしたと思ったら体が光り始めて、そしたら二人になってたの。はいどうぞ」

 昨日起きたことを説明しながらティッシュを渡した。

「ゴホッ、ゴホッ、ありがとうね」

 お礼を言いながら渡したティッシュで口周りを拭いた。

「それで、奈々さんの方は大丈夫そうなの?」

「それが、あれから全く喋ってない・・・。というか、部屋から出てないそうなの」

 そう言いながら私は少し俯いた。

「そう・・・なのね。その様子だと何か知ってそうね」

「はい、でもこっちからは何もできなくて・・・」

「分かったわ。私の方からも奈々ちゃんに会えるようにこっちでも動いてみるわ。智ちゃんもよろしくね」

「はい。それじゃあ、よろしくお願いします」

 私はペコッと頭を下げて秘密基地を後にした。

「まさか二人になるなんてねぇ」

 彼女は1枚の写真を取り出した。そこには笑顔の奈々とお姉ちゃんか写っていた。


 コンコン。

 深夜にベランダから窓を叩く音で奈々は目を覚ました。

「ふぁぁぁ。ん?誰ですか・・・」

 あくびをしながらベランダの扉を開けた。 

「やっほー。こんばんは」

 そこにはお姉ちゃんだった。

「!?」

 慌てて変身しようとしたが彼女に止められた。

「別にあんたと戦う為に来たわけじゃないわ。話をしにきただけよ」

「は、話ってなんですか」

 それでもいつでも戦えるように気を張っていた。 

「特に大したことじゃないよ。それより、まさかこんなことになるとは思わなかったよ」

「私もです。なんでシノお姉ちゃんの姿になったんですか」

「多分だけど、私の意識が長い間お姉ちゃんの体にいたからかな」

「じゃあ、貴女はシノお姉ちゃんじゃないんですよね」

「ええ、私は西山奈々よ」

 さっきまでのおちゃらけた雰囲気から一気に変わった。

「だから、貴女みたいな偽物は必要ないの」

「何を言っているんですか。私は本物の西山奈々です」

「そう。じゃあ貴女の記憶っていつからある?」

 彼女は不敵に笑う。

「それは・・・」

 思い出すのは普通の町並み。普通の生活だった。1つを除いて。

「そう、貴女は普通の生活しか思い出せない。お姉ちゃんのあれを見ているのに」

「それで、何が言いたいんですか」

「貴女は昔。魔術師の国に住んでいたのよ」

「なっ!?」菜々は絶句した。

「そんなことあり得ない。とか思ってると思うけど実際、お姉ちゃんは使えるのを見たことあるでしょ」

「そ、それは」

「答えは簡単よ」 

 一歩、また一歩と私に近づいてくる。私も一歩、また一歩と下がっていくが足にものが当たって倒れた。

「貴女は造られたのよ。10年前にね」

 

「がはぁ!!」

 奈々は布団から飛び起きた。

「どうしたんですか奈々さん。何か悪い夢でも見たんですか?」

「心配しててくれてありがとう。ちょっと悪い夢を見ただけ」

「ならいいんですが」

 しばらくの間二人に沈黙がながれた。

「今日は学校休んでいいですか」

 先に話したのは奈々だった。

「別にいいですが・・・。もしかして、昨日の事考えているんですか」

「はい。でもまだ頭の整理がちゃんとできてなくて」

「そうですか・・・。分かりました。でも、ちゃんと整理できたら学校いってくださいね」

「はい。分かりました」

 本当は頭の整理はできていた。でも学校にいきたくなかった。行ったら彼女の話をしなくてはいけないから。



 昼になりどうしようか迷っているとき、1本の電話がかかってきた。

「はぁい、菜々ちゃん元気にしてる?」

 その陽気な声は茜音先生だった。

「はい、一応は元気です」

「そう、それならよかった。みんな心配してたんだよ」

「その・・・すみません」

 奈々はもうしわけなくなった。

「それは、私に言う事じゃないでしょ」 

 はっ。と奈々は息を飲んだ。

「智さん・・・」

 当たり前のことだ。あんな態度だったら心配するに違いない。なのに私は自分の事で精一杯で気付かなかった。

「分かってるならいいわ。それに、1人で悩むよりもみんなで悩みましょ。それが仲間なんだからね」

「分かりました。色々ありがとうございます」

「お礼は結構よ。それじゃあ、学校で待ってるよ」

 そう言うと茜音先生からの電話が切れた。

「私、本当にバカでしたね」

 奈々は小さく呟いた。

「シロ」

 私は慌てて身支度をはじめた。

「ようやく、学校に行く気になったんですね」

「はい、お騒がせしました。ついてきてくれますか」

「もちろんですよ」

 そう言うと白はキーホルダーに変身した。


「心配してるみんなの為に早くいかなきゃ」

 小走りで学校に向かう菜々。ふと忘れ物は無いか立ち止まり鞄の中を覗いた。すると、なにかが顔の掠めるていった。

「ガッシャーン」

 大きな音がした方を見ると地面に割れた植木鉢があった。

「ウワァー、ソラカラウエキバチッテフッテクルンデスネ」

「しっかりしてください菜々さん」

「・・・はっ!そうでした。ありがとう、シロ」

 シロの呼び掛けで奈々はなんとか正気に戻った。

「今回はたまたまなんですから。そう何度も危ない目に遭うなんて」

「ドカーン」「ガスが爆発したぁ」「マンホールが吹っ飛んだぁ」

 後ろから不吉な声が聞こえた。

「・・・・・・・」

 菜々は一心不乱に逃げだした。

「落ち着いてください。そんなに慌ててたら」

 しかし、シロの声は菜々には聞こえなかった。


「奈々ちゃんが昼休み頃に来るから出迎えてあげて」

 昼休みに茜音先生に頼まれて私は校門で奈々を待っていた。

「でも、どうして午前中に来なかったのかなぁ」

「まあ、なんか理由があったんだろ。察してやれよ」

「そりゃそうだな。なら・・・」

「ドカーン」

 二人が話している途中でいきなり大きな爆発音がした。

「な、何!?」 

 周囲を見回して見ると遠くで煙があがっていた。

「なんだ?ガス爆発か。物騒だなぁーおい」

「って言っても遠くだから大丈夫だっ・・・」

「ドーン」

 今度はさっきより近くから音がした。

「おい、お前のさっきの発言、完全にフラグだからな」

「そそそ、そんなわけ無いでしょ!」

 そう言いつつも爆発音が近づいていた。

「ジーーーーーーー」

 クロは疑いの目で私の方を見た。

「いやいやいや!私何もしてな・・・あ!」

 爆発がする方を見ると奈々が見えた。

「おーい奈々さーん。大丈夫・・・」

 私は目を疑った。奈々は全身ボロボロにながらも校門付近まで来たがそこで倒れた。。なんとか私は地面に倒れる前に抱え込んだ。

「奈々!しっかりして、どうしたの!!」

「こ、こんちは智さん。心配させてしまいすみませんで・・・し・・・」 

 言い終わる前に奈々は気を失った。

「本当、運だけはいいのね。主人公でもないのにね」

 堀から誰かの声がした。見上げると少女が座っていた。

「貴女は誰なの?」

「誰って・・・。私は西山奈々だけど?」

 そこにはあの日いなくなったもう1人のだった。

「名乗ったしそこをどいてくれる?彼女に用があるの」

 そう言いながら目線は私ではなく奈々の方にあった。

「つまり、お前がやったのか」

「ええ、殺ろうとしたわ」

「なんで、なんで奈々を殺そとしたんだ!!」

 私の声は怒りで震えていた。

「なんでって、本物が偽物を消す。当たり前のことじゃない」

 当たり前のように彼女は言った。

「ふざけるな!お前が本物だってどこに根拠があるんだ」

「じゃあ、君が抱えている彼女が本物だって証拠はあるの・・・」

「そ、それは・・・・」

「どうせ、先に現れたのが彼女だから本物だって言うんでしょ。私は全てを知っている。だから、彼女が人形だって知ってるのよ。分かったならそこをどいて」

「うるせぇなぁ」

 俺の怒りは頂点に達し、俯いた。

「ん?どうしたの」

「さっきから聞いていれば、俺の仲間をやれ偽者だ人形だぁ!?黙りやがれ!!」

 俺は彼女を睨み付けて能力を発動した。が、

「何かしたの?」

 全く効果が無かった。

「な、なんで効かないの!?」

 私は驚いた。さっきの能力は前回とは比べ物にならないぐらい力を込めている。なのに、まったく効いていなかった。

「ああ君、能力について完全に理解してないんだ。その能力は『存在する』ものを書き換えるの。だから、元から存在しないものには全く効かないの。ついでに、君の事を認めない者にも効かないよ」

 空いた口がふさがらなかった。彼女は私の能力を知っていた。それどころか私が知らない事まで知っていた。

「・・・はぁぁ、分かった。今回は君の熱意に免じて彼女を見逃してあげるわ」

 彼女はそう言うと立ち上がり後ろを向いた。

「本当に君は優しいのね」

「え?今何か言わなかった?」

 一言、ボソッと何かを言ったが智には聞こえなかった。

「いいえ、何も無いわよ。・・・さっきどうして彼女を殺ろうとしたのか、ちゃんと説明してなかったね。彼女は私から全てを奪っていったのよ!」

 一瞬こっちを見て姿を消した。彼女は目に涙を浮かべていた。


 目を開けると私は何故か保健室のベッドで寝ていた。

「あれ?私、さっきまで校門に居たはずじゃ・・・」

「奈々さん!良かったぁぁ。目が覚めてくれて」

 智はペタンとその場所に座り込んだ。

「奈々さん!!大丈夫ですか!どこか痛い所はありますか?」

 胸元にシロが心配そうに座っていた。

「大丈夫ですよ。強いて言えば、胸が少し痛いぐらいですかね」

「す、すみません。すぐに退きますから」

 シロは胸元から降りて私は上半身を起こした。

「そういえば彼女は」

「ああ、一応今日の所は引いてくれたから安心して」

「そうですか・・・」

「ねぇ、奈々さん聞きたいことがあるの」

「はい」

「彼女は誰なの」

「私も正直な所、誰なのか分かりません。でも、あの姿は間違いなくお姉ちゃんです」


「いいの?私も一緒に奈々さんの過去を聞いても?」

「はい。智さんは私にできた初めての仲間です。仲間に隠し事はしたくないんです。それに、私は智さんの知られてほしく無かった過去を聞いたんですから」

「でも、本当に彼女と奈々さんの過去は関係あるのか?」

「はい、それは間違いないです」

 二人は茜音先生のいる秘密基地に向かっていた。ふと、奈々の手を見ると震えていた。

 私は何も言わずに手を握った。

「すみません。ありがとうございます」


「やっぱり彼女を連れてきたのね」

「はい」

 菜々と私は天使のところにいた。

「本当にいいの?今から話すのは貴女の過去よ」

「いいんです。私も智さんの過去を聞きましたし。それに、智さん仲間ですから」

「そう・・・分かった。覚悟はいいわね」

菜々の手がぎゅっと強く私の手を握って離さなかった。


「あら?まさか貴女が来るなんて想定外ね」

もう一人の菜々は目の前に現れた咲夜を見て驚いていた。

「たまたま、貴女を見つけたのよ」

「それで、貴女も私を許さないの?」

 そう言いながらいつでも戦えるように構えていた。しかし、

「なんのことかしら?私はただ真実を知りたいのよ」

 咲夜は首をかしげた。その姿をみて彼女も剣を納めた。

「それを教えたら私に協力してくれるの?」

「内容によるわ」

「そう、なら教えてあげる

       天才の姉と天災の妹の話を」

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