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フェイター  作者: 知咲
12/20

二人

 あの事件があってから奈々は悩み、それを智に打ち明ける。その悩みを払拭しようと二人はモンスターとの戦い向かう。そこで予想外の事が起きる。

「貴女にはフェイターになって世界を救ってもらいたいの」

 天使は奈々にフェイターの誘いをしていた。

「わ、私ですか!?無理です。きっとお姉ちゃんの方がいいです!」

「そう思うのも仕方がないと思います。しかし、フェイターの才能は貴女のほうが上なのです」

 と、言われたが私にも全く実感が湧かない。

「そう・・・ですか。分かりました。私でよければフェイターになります」

 そうして、私はフェイターになった。


「あら、貴女は気づいていたのね」

「あの時明らかに戦い方が変わったからね」

 奈々(?)と咲夜は歪みの世界に居た。

「それで?わざわざ私を呼んで何か用でもあるの?」

「用っていう用は無いわ。ただ、貴女は何者か知りたいだけよ」

「何者もなにも、私は西山奈々よ」

「じゃあ、普段の彼女は何者なの?」

 その質問をした瞬間、奈々(?)の顔は厳しくなった。

「あれは人形なのよ。勝手に人の体を使っている人形なのよ!!」

 その言葉には押さえきれないほどの怒りがあった。

「なるほどね。でも、どうして本来の持ち主の貴女がこの状態なの?」

「どうしてって・・・。フフッ、私はこの世界には存在してはいけないのよ」

 さっきまでの怒りは消え、今度は笑いながら泣いていた。

「あら、もう時間ね」

 急に奈々の体が光だした。奈々(?)はごしごしと目を擦ると笑った。

「ありがと。貴女とは分かりあえそうな気がするわ」

「そうね。私もそう思ったわ」

「だからもし!もしも機会があったら、手伝って欲しいの。人形を消すことを」

 彼女は咲夜の返事を聞く前にその場に倒れた。

「あれ?私一体何を?」

 気がついた彼女は何時もの奈々だった。

「急に倒れたから私もビックリしたわよ。大丈夫?」

 咲夜は手をさしだした。それを掴むと引っ張って奈々を起こしてあげた。

「はい大丈夫です。すみません、稽古中に倒れてしまって」

「いいのよ。今日はここまでにしましょう。ゆっくり休みなさい」

 そう言うと咲夜は変身を解いた。

「今日もありがとうございました」

 奈々はペコッと頭を下げてお礼を言った。

「時間もそろそろだから戻るわよ」

「はい!」

 二人は制限時間の1時間を越える前に歪みの世界を出ていった。


「彼女は一体何者だったんでしょう・・・」

 奈々は教室の中でこの前の事を考えていた。確かに彼女はお姉ちゃんの姿をしていた。しかし、口調も雰囲気も全く違って敵意丸出しだった。それに、

「私が本当の西山奈々ってどういうことなの・・・」

「おはよ。奈々さん」

 いきなり目の前に智の顔が現れた。

「おはようございます。智さん」

「なんか考え事してたの?」 

 そういいながら智は私の後ろの席に座った。

 

 この前の一件後、茜音先生は担任の先生に私の事、彼女達との関係を聞いていた。結果としては彼女達が私にしていた仕打ちを全く知らず、ただ仲の良いグループだと思っていた。無理もないだろう。彼女達は周りにバレないようにしていたのだから。

 その後、茜音先生は私と彼女達を離れさせる目的と何があってもすぐに分かるように私を智さんと同じクラスにした。それでも、彼女達は学校登校しているから不安だと言ったが智さんがそこは心配しなくていいと言っていた。


「どうしたの、なんか元気無さそうだけど?」

「そう見えますか?特にそんなこと無いんですけど・・・」

 すると、智はじっと奈々の目を見ると、大きな溜め息をはいた。

「あのねぇ。この前の件で学ばなかったの?」

「そう、でしたね。本当に恐ろしい能力ですよ」

 彼女には嘘が通じない。それでも、これ以上彼女を心配させたくなくて嘘をついた。

「まあ、別に話したくないなら話さなくていいよ。でも最近、奈々さんの元気が無いのがちょっと心配なだけだったから」

「智さんはズルいです。そんなこと言われて私が話さないと思いますか?」

 なんというか、彼女は恐ろしい力を持っているし、すぐに物事に首を突っ込んでくる。でも、それ以上に優しい。周りの為に人の心を失うほどに。

 

「私、智さん達の役に立っていますか」 

 ここ最近、彼女には迷惑しかかけていない。モンスターとの戦いも最初は慣れていないからアドバイスをしていたが今では一人でも倒せるほど上達しるのに対して、私にはそれほどの力が無い。そう思って会長に特訓の手伝いをしてもらっているがそれでもなかなか成果は出ていなかった。

「はぁー、何バカな言ってるの奈々さん」

「え?」

「私が今ここにいれるのは奈々さんのおかげなのよ。初めて出会った時、奈々さんが居なかったら私は死んでいた。だから・・・」 

 智は奈々の方を向いた。

「自身持ちなよ。周りの人達は奈々さんが思っている以上に信用してるしてるから!」

「そう、ですかねぇ・・・」

 それでもまだ奈々は納得しきれていなかった。

 その時スマホがなった。天使からモンスターが現れた事を知らせだ。

「最近、ずっと会長と特訓してるんでしょ。その成果を見せる時だよ」

「そ、そうですよね!日頃の成果をみせる時ですね」

「じゃあ、行こ!」

「はい」

 二人はモンスターのいる歪みの世界に向かった。


 着いた先では既に会長が交戦していた。

「ごめん。遅くなっちゃった!」

「いいわよ。あと少し遅かったら私が倒しちゃうところだったけど」

 見たところだいぶモンスターも弱っていた。無理もない、会長は私と奈々二人して撃退がやっとの強さなのだから。

「会長!あとは任せて、私の日頃の成果を見せてあげる!!」

 そう言うと奈々はモンスターに向かって突撃していった。

「待ちなさい!弱っているといえまだ・・・」

 慌てて咲夜が奈々に静止するよう指示したがそれも聞かずに突撃した。

 奈々は剣を抜くと懐に潜り込んだ。モンスターはそれに反応して両手で奈々を捕まえよとしたがスルリと避けた。

「す、すごい!あんな至近距離の攻撃を軽く避けるなんて」

「気をつけて!あいつの腕は2本だけじゃない!」

「!!、奈々避けろ!」

「避けろって?」

 一瞬奈々の意識がこっちに向いた。そのせいで三本目の腕への反応が遅れた。

「きゃー!」 

 モンスターの拳が奈々の体にクリーンヒットした。ガードが遅れ吹き飛ばされた。

「奈々!大丈夫かしっかりして!」

 慌てて私は駆け寄った。奈々はダメージで変身が解けて元の姿になっていた。

「う、ううううん・・・」

 一応意識はあった。私は軽く応急措置をして、その間に咲夜がモンスターにトドメをさしてくれた。


「確かに貴女は強くなったわ。でも、だからといって油断するのはもっての他よ」

 戦闘が終わって奈々の意識が完全に戻った後、咲夜の説教が始まっていた。

「はい、すみません・・・」

 奈々はさっき以上に落ち込んで弱々しい声で反応していた。

「ま、まあ、それぐらいにしとこうよ」

 あまりにも可哀想に思い、私は咲夜と奈々の間に入り仲裁した。

「・・・そうね。今日はここまでよ」

 そう言うと咲夜は変身を解いて、帰ろうとした。

「すみません。私やっぱり・・・」

「別に気にしなくていいよ。私、驚いたんだから。あんな近距離の攻撃を難なくかわふなんて私には出来ないよ」

「ですが・・・」

 奈々が何か言おうとしたのを智は止めた。

「それにね・・・」

 智は笑って何かを言おうとした。が、

『あんたは元から弱いから仕方がないよ』

 誰かの声が遮った。いや、誰かじゃない。お姉ちゃんの声が聞こえた。

「また、貴女なんですね」

 振り返るとそこにはお姉ちゃんの姿があった。

『あんなモンスターに倒されるなんて、呆れてものも言えないのよ』

「そ、それはそうですが・・・。でも」

『だから、いい加減私の体を返しなさい。人形が』

 そう言うと彼女は奈々の片腕をつかんで引っ張った。

「何をするんですか!離してください下さい」

 奈々も必死に抵抗するがそれでも引っ張りこまれる。

『どうせあんたの力じゃその体は使いこなせないの。だから、私に渡しなさい』

「いや、やめて・・・。助けて・・・智さん」

 誰かに助けを乞うように掴まれていない腕を伸ばした。


「それにね、今はまだ特訓の成果が完全に発揮できてないだけで、この先きっと奈々さんは強くなるよ!!」

「・・・」

「・・・奈々さん?」

 俯いたまま反応が無い奈々を心配して肩を叩こうと手を伸ばした。

「何をするんですか!離してください」

 ところが、急に動き出して手をはじかれた。

『どうせあんたの力じゃその体は使いこなせないの』

 奈々の口から奈々以外の声が聞こえる。それを聞いて咲夜は驚き智を後ろに引っ張った。

「いたっ、どうしたの。会長」

 いきなり引っ張ったられて驚いて上手く着地ができずに尻餅をついた。

「準備しなさい。彼女はいま彼女じゃないわ」

 よく見ると咲夜はもう武器を握っていた。

「わ、わかった。でも、一体何が起きてるの?」

 奈々の方を見ると何かに抵抗しながら叫んでいた。

「私も分からない。でも、彼女が暴走したら私だけでは止めれない」

 その一言で前に咲夜と戦った時の事を思い出した。あの時、殺されかけた私を救ったのは奈々は互角かそれ以上の力を持っていた。

「助けて・・・。智さん・・・」

 奈々の方を見ると弱々しい声で腕を伸ばし助けを求めていた。

「奈々さん!しっかりして」

「近づいてはいけない。離れなさい!」

 咲夜の忠告があったがそれを無視して私は奈々が伸ばした腕を掴んだ。

「な!?」

 すると、奈々の体が光り始めた。

「私が、奈々です」

『いいえ!私が奈々よ』

 二人の声がさっきよりハッキリ聞こえてくる。

「私です」

『私よ』

「私が奈々です」『私が奈々よ!』

 奈々の体が更に激しく光り、たまらず私は目を閉じた。


「わ、私は一体・・・」

 奈々はいきなり自分の体が光に包まれて一瞬気を失っていた。

「良かった!奈々さんしっか・・・り・・・」

 嬉しそうに智が近づこうとしたが途中で何かを見て固まった。

「一体。何が起きてるのよ」

 咲夜も驚いている。

「どうしたんですか?」

 二人の目線は奈々の後ろに向かっていた。二人の目線の先にはあったのは・・・

「「え?」」

 お姉ちゃんだった。

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