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フェイター  作者: 知咲
11/20

奈々

助けを求めることもできず苦しむ奈々。そこに1人の女子(?)が現れる。

 智が転校してきて一週間ぐらい経って少しずつだがクラスにも慣れてきていた。

 一方、奈々は何故か人気のない教室に呼ばれていた。

「なんであんたみたいなのが永瀬さんの友達なわけ?」

 奈央は思いきり奈々を突き飛ばした。明らかに怒っている。

「キャ!!」

 奈々は尻餅をついて倒れた。

「そうそう!てか、永瀬さんもどうしてかあんたといるとき楽しそうにしてるのかしら」

「ほんとウザッ。このッ!」

 一人の女子生徒が思いきり足を蹴飛ばそうとした。奈央は目をつぶった。しかし、蹴りをとんでこなかった。恐る恐る目を開けると奈央が足を止めていた。

「手は出しちゃダメよ。いくら、彼女が臆病で先生に言わなくとも、怪我でもしてたらばれるでしょ」

「そ、そうだった。ごめんごめん」

 彼女は止められた足を地面につけた。

「ついでに、別にあなたが誰かにそれを伝えたところで誰もあなたを助けないと思うけど。きっと、永瀬さんも見捨てるだろうけど」

 三人は奈々を嘲笑いながら教室を出ていった。

 奈々の目には涙が浮かんでいた。分かっていた、彼女が言っていることは正しい。きっと、彼女達が私を傷つけていると言っても誰も信じてくれない。信じてくれても誰も助けない。それでも・・・

「誰か・・・助けて・・・」

 その声は誰にも聞こえることはなかった。

『なんで、あなた一人で解決しようとしないの?』

 どこからともなく声が聞こえた。

「誰?」

『やろうと思えば変身出来るでしょ。だから、』

「誰なの!」

『・・・ほんと、話を聞かないのね。私は』

 何か視線を感じて後ろを振り返る。そこには、

『私は「本当の」西山奈々よ』

 お姉ちゃんが立っていた。


「一目見た時から好きでした。自分と付き合って下さい!!」

 体育館の裏で男子が後輩の女子に告白をしていた。

「そ、その。ごめんなさい」

 女子は頭を下げて謝ってその場を後にした。残された男子は呆然として少しの間動けなかった。

 こんなやり取りをこの学校にきてから私はもう、5回も繰り返していた。

「なんでこんなことになるのぉ」

「仕方ないですよ。長瀬さん可愛いですから。それに大きいし・・」

 奈々は不満そうに智の一部を見ていた。

「も~。他人事に言わないでよ。こっちは大変なんだから」

「そういえば、長瀬さんについての色々噂が出てるの知ってますか?」

「・・・うん」

 ズーンという効果音が聞こえるぐらい智は項垂れた。

「もしかしたら男がもういるとか、ほんとは女子が好きとかでしょ」

「あ、知ってたんですね」

「知ってるよ!てか、聞かれたよ!告白をふっただけでこうなるのかよぉ」

「この一週間で5回も振ってるんですから仕方ないですよ」

「だからといって告白にokだしたら、男同士で・・・グフッ」

 今度は血反吐をはいた。

「え?あ!だ、大丈夫ですか。これ使ってください」

 そういいながらポケットにあるハンカチを渡してくれた。

「だ、大丈夫」

 渡してもらったハンカチで口元を拭いた。そして、拭いてから気づいた。

「ごめん。汚しちゃった」

「大丈夫ですよ。まだハンカチは持ってますし。洗えば使えますし」

「いや、流石に汚しちゃったから今度別の新しいハンカチを渡すから」

「そこまでしなくても大丈夫ですよ」

「いや、汚しちゃったんだから。友達には迷惑かけれないよ」

「友達・・・。分かりました。じゃあ、私に似合うハンカチをお願いします」

 奈々はクスッと笑いながら智のほうを見た。

「ま、任しておいて。努力はするから・・・」

「本当に大丈夫か」

 智の様子が気になったのかクロが猫の姿になってあたまに乗っていた。

「大丈夫!てか、頭に乗らないで。重いでしょ」

 そう言いながら私はクロを下ろした。

「そういや、シロはどうした?最近見ないけど」

「シロですか。なんか最近調子が悪いそうで家で休んでるんです」

「まじか・・・。あの真面目を絵に描いたような奴が体調崩すなんなぁ」

「まあ、ちょっとすればまた元気になるって言ってましたし」

「そうたったんだ。西山さんも気を付けてね。何か困ったことがあったら言ってくれれば協力するから」

「あ・・・うん。ありがとう」

 奈々は何かを言おうとしたが言うのを止めた。


「ただいま」

 今日も彼女達と遊んでいた為家に帰るのが遅くなっていた。

「おかえりです。奈々さん」  

 玄関にはシロが待っていた。

「今日も遅いですね」

「はい。友達と遊んでいたので」

 奈々は申し訳なさそうに答えた。

「別にそれはいいんです。それよりもですね、どうして最近私を連れていってくれないんですか?」

「それはすみません。最近朝が忙しくて速めに学校にいかないといけないからシロを起こすのも悪いかなって思って。それに一応シロがいなくても変身はできますし・・・」

「そうですが・・・。奈々さん顔色悪そうですが大丈夫なんですか?」

「はい。多分友達と遊んで疲れただけですよ」

 そう言いながらまっすぐ自分の部屋に向かってベットに倒れこんだ。

「今日は疲れたんでもう寝ます」

「そえですか。明日はちゃんと連れていって下さいよ」

「Zzzzzzz」

 奈々はもう寝たのか寝息をたてていた。

「何かあったら私に相談してくださいね。それでは、おやすみなさい奈々さん」

 そういうと、部屋の電気を消してシロも寝た。

 しかし次の日も奈々はシロを連れていかなかった。


「と、ここ最近奈々さんの様子が少し変なので相談しにきたんです」

 シロは真実を確かめるために友久の家来ていた。

「そうだったんだ。じゃあ、前にシロが体調が悪いっていうのは」

「そんなことないですよ。というか、いちおう私達はネコ姿をしてますが実際はネコではないので病気とかにはなりませんし」

「成程、じゃあなんでそんな嘘をつくんだ?」

「何か隠したい事とかあるんじゃねぇか?それこそ、誰にも知られたくない事とか」

「「うーーーーーん」」

 一人と2匹は頭を悩ましていた。しかし、何も思い付かなかった。

「そういえば、友達と遊んでいるって言ってたんですか何か関係があるんてすかね」

「ああ、多分奈央さん達の事だと思う。仲も良さそうだしこの前も4人で遊びに行ってたよ」

「それなら関係は無さそうですね・・・。じゃあ、何が原因でしょうか?」

「・・・まさかな」

 クロは何か思い付いたのか目を見開いた。

「ん?どうしたクロ何か思い当たる節があるのか?」

「いや、確証の無いだだの俺の妄想だから今は言えない。確証を持てたら話す」

「あ、ああ」

「とりあえず、一度学校の様子を見てから考えようぜ」

「そうですね。友久さん私も学校に連れていってくれませんか?」

「分かった。それじゃあ俺も準備してくる」

 友久の指輪が光りはじめて智に変身した。

「なんといいますか。こなれていますね」

「今はそうだが少し前までは・・・」

「うるさい!クロ」

 智はおもいっきりクロにげんこつをかました。そのままのびてキーホルダーになったクロをカバンに入れた。

「それじゃ、行こっかシロ」

「わ、分かりました」

 シロは抵抗することなくキーホルダーになった。


 奈々は私とは別のクラスでたまにお昼を屋上で食べているだけで普段はどんな学校生活を送っているかは知らなかった。だから少しだけ興味があった。

 ひょこっと奈々の居るクラスを覗いた。そこには、自分の席で本を読んでいる姿が見えた。

「普通だね」

「普通だな」

 二人はあまりにも普通すぎて素直な声が出てしまった。

「二人は一体どんな事を考えていたんですか?」

「まあ、西山さんは真面目だからね。それじゃ」

 私は覗くのを止めて教室のドアを開けた。

「失礼しまーす」

「え!長瀬さん!」

 突然私が入ってきて驚いたのか、驚きの声と黄色い悲鳴がおきた。

それでも奈々は読書に集中していた。

 私は教室に入ると奈々の机の所まで進んで肩を叩いた。

「奈ー々さん」

「誰です・・・。って智さん!どうしてここに?」

「どうしてって、この前頼まれていたことあったでしょ。はいこれ」

 私は綺麗にラッピングされた物を奈々に渡した。

「こ、これってもしかしてハンカチですか?」

「そうだよ。頑張って選んでみたの。見てみて」

 奈々は丁寧にラッピングをとっていくとそこには鈴蘭の刺繍がされたハンカチがあった。

「うわぁー!とっても綺麗です」

「鈴蘭の花言葉には『幸せが訪れる』っていうのがあるの。贈り物にはちょうどいいかなってね」

「ありがとうございます。大切にしますね!」

 奈々は嬉しそうに何度もお礼を言った。

「それじゃ、私戻るね」

 渡す物も渡し終えたし様子も確認できたし長居する理由は無かったので私は教室に戻ろうとした。

「ほら、大丈夫だったでしょ」

「そうですね・・・。じゃあ、何が原因なんでしょうか」

「・・・」

 その時、

「す、すみません!!今ちょっといいですか?」

 一人の女子が話しかけていた。手にはカメラを持っていた。

「あ、あのぉ。もし、もしですよ。この後特に用事がなければですよ。わ、私と一緒に写真を撮ってもいいですか?」

 彼女は不安そうに私に尋ねてきた。

「別にいいよ」

「本当ですか!!ありがとうございます」

 二人で教室を出ようとしてふと、奈々の方を見た。そこには奈央さん達三人が嬉しそうにしていた。

 やっぱり大丈夫だったとほっとした。

「か、返して下さい」

 とても小さな奈々の声が聞こえた。不思議に思い振り返るとさっき渡したハンカチを奈央さんが持っていた。

「・・・・もったいな・・・しがもらっ・・・わよ。あ・・・はひつ・・・・・じゃないでしょ」

 他の雑音で奈央が何を喋っているのか分からなかった。

「長瀬さん??」

 彼女が動かなくなった私を不安そうに見ていた。それには一切気を止めず私は奈央さんの声に集中していた。

「しつこいのよ。こんなのもあんたにはもったいないから私が貰ってあげるって言ってるでしょ。どうせ、今なんだけなんだから。長瀬さんは地味なあんたのことなんてきっと見捨てるんだから」

 三人は嘲笑いながら奈々を囲んでいた。奈々の目には涙が浮かんでいた。

 それだけで。それだけで何が起きているのか分かった。

「ごめん。急用ができちゃった。また後でいい?」

「え、はい。別に・・・」

 彼女が言い終わる前に私は奈々達の方に向かっていた。


 奈々は涙をこぼしながらうつむいていた。

「奈々ちゃん。どうしたの?具合悪いの?」

 私はあえて尋ねてきた。真実を確かめるために。

「・・・・・・」

「はい、実は急に体調が崩したそうなんです。でしょ。奈々ちゃん」

 喋らない奈々の代わりに奈央が答えた。顔を少しの上げてコクッ頷いた。一瞬奈々と目があった。その目は嘘をついていた。

「だから、私達がはこ・・・」

「いいわ、私が運ぶ」

 三人に止められる前に私は奈々の腕を肩にのせた。

「ごめんね。少しだけ目をつぶっててね」

「はい」

 小さい、か弱い声で奈々は答えると目を瞑った。

 私は奈々が目を瞑るのを確認して三人を睨んだ。

 その瞬間、智達と奈央達を除く全てが時間が止まったかのように動きを止めた。

 奈々は身も凍りつくような感覚が全身を襲った。


「お前ら、奈々をいじめてただろ」

 私の質問は直球だった。

「な、何を言っての?私達は奈々ちゃんの友達だよ。そんなことするわけ無いよ」

 奈央の答えにうんうんと残りの2人も頷いた。

「私ね。相手の目を見ただけで嘘ついてるか分かるの。後は分かるよね」

「・・・・・・」

 奈央は何も答えなかった。それが答えだ。

「だって、彼女ウザイのよ。いつもよそよそししくて私達とは関わらないの。そのくせ、長瀬さんとは態度が別で。そうよ!あの子媚びを売ってるのよ。長瀬さんも優しすぎるのよ。あんな地味な奴さっさと見捨てて私達と・・・」

「もういい、黙れ」

「!!」

 その声を聞いた瞬間、奈央達の口は開かなくなった。

「さっき、優しすぎるって言ったよね。そんなわけ無いないじゃない。あれは友達に対してなんだ。敵に優しくすると思ってんの?」 

 私はじりじりと三人に近づいていく。逃げようにも三人は体が動かなくて恐怖に顔を浮かべていた。

「お前達は奈々を傷つけた。二度と私達の視界に入ってくんなよ。もし、次お前達を見かけたら◯◯◯◯◯」

 三人は涙を浮かべうんうんと頷いていた。

「あ、ついでに言っといてあげるけど。この事話したらわかってるよね。といっても、フフッ。どーせ、話したところで信用されないと思うけどね」

 そして、彼女達は氷のように動かなくなった。それとは逆に周りの人達は動き始めた。

「さあ、行こっか奈々」

 私はさっきまでの事は無かったように優しく奈々を運んだ。

 その後、奈央達は名前を呼ばれるまで全く動かなかった。


「ごめんな、もっと早くから気づいてたら」

「いいんです。智さんは私をたすけてくれたんですから」

と菜々は抱きついて泣きながら言った。

 奈々は本当に体調が悪いわけではないので保健室に連れて行くわけにもいかず一応秘密基地に連れてきていた。

「おい、智」

 一体奈々が落ち着いたところでクロが私に話しかけてきた。

「なんだ」

「さっきのはなんだ」

「・・・・見たのか」

「ああ、お前の目を見た瞬間体が動かなくなったんだ。どういうことか説明しろ」

 本当は見せたくなかった。しかし、見られたらのなら説明しないといけない。

「あれも俺の力だ。睨んだ奴に恐怖を植え付ける」

さらっと智は言ったが

「??そんなにすごいことなんですか。よく怖い人がやっていること同じじゃないんですか」

 と菜々は尋ねた。

「菜々さんは目を隠されていたので見てなかったのでよかったですね」 

 とシロは言った。

「比喩抜きで言葉通り、本当に体が動かなくなるんだ。ともの目を見ただけでな。もし、睨まれでもしたら・・・」

「ああ、一定の間動けないだろうな。それに私を見るたびに恐怖を思い出す。それでもまだ甘い罰だけどな」

 智はさも当然のように言った。

「そんなのフェイターの力じゃないよな。なあ、お前会長との話の時に目を見ただけで嘘かほんとか分かるって言ってたよな。この際聞くぞ!なんでそんな力持ってんだ!」

「必要だったんだよ。弱者には。それに、フェイターになったおかげで今回はピンポイントで使えた。以前なら多分あの教室に居た人達もクロ達のような恐怖を感じていたはずだからね」

 クロは唖然としていた。そんなのあり得ない力だ。

(そんな力強者か独裁者しかもたねぇよ)

 それしか言葉が浮かばなかった。

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