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フェイター  作者: 知咲
10/20

転校生

 まだ着なれていない制服を着て私は学校へ向かう。女子としての学校生活を送るために・・・

「制服よし。寝癖よし。カバンよし。準備完了!」

 私は姿見で朝のチェックをしていた。

「おい、とも!呑気にしてていいのか?もう時間がヤバくないのか」

「わっ!もうこんな時間なの!?やっぱり、女子の準備ってめんどくないなぁ」 

 私は慌てて残りの支度を終わらしてカバンをもって家を飛び出した。もちろんカバンには黒猫のキーホルダーをつけて。


 家を出た頃はまだ人が少なくなんともなかったが、学校に近づくにつれ、学生が増えてきた。学生達は私の方を見て何かコソコソ話していた。

「お、なんだ!?登校初日から大注目とは大したものだな」

 クロは周りには聞こえない声で私を茶化していた。

「うるせぇ、私だってこんなに目立つとは思わなかったよ。トホホ・・・」

 なぜこんなに注目されているかというと言うまでもなく、前に咲夜と戦った後に奈々が倒れて、焦った俺が変身を解かずに女の姿のままで天使の所に向かったことにより数名に姿を見られてしまい、そこから校内で謎の女子生徒の噂が広まってしまったからだ。


 その後も誰かから見られている感覚が続き、逃げるように茜音先生のいる職員室に助けを求めた。しかし、大した回答はもらえずとりあえず秘密基地に逃げ込んだ。

「やっぱり来たわね」

 そこには咲夜がイスに座ってコーヒーを飲んでいた。

「大変だったんだからな!歩いているだけなのに皆私をチラチラ見てきて気が休まらなかったのよ!」

「それはとんだ災難だったわね。でも、本当にありがとう。おかげで厄介なことが起きなくて済みそうよ」

「まあ、自分がまいた種だからね。それに、まさか会長からお礼を言ってもらえるなんてね」

「お礼だけじゃダメ?なら、ありがとうのキスでもしてあげようかしら」

「キ、キ、キス!?いやいやいや、大丈夫、必要ないから」

 ともは恥ずかしくて顔を真っ赤にして後退りをした。

「別にいいでしょ。減るものじゃないのだから」

 咲夜は逆に私の方にジリジリ近づいてくる。

「わ、私茜音先生に呼ばれてたんだ」

 こらえきれなかったともは部屋を抜け出した。

「あら、逃げちゃった。フフッ」

 咲夜は少し笑って席に戻って残りのコーヒーを飲み始めた。


 私と茜音先生はいつもの教室のドアの前で立っていた。ホームルームのチャイムも後少しで鳴ろうとしている。

「さあ、ここまで来たらもう後戻り出来ないけど大丈夫?」

「大丈夫。もう覚悟は決めてるので」

「それじゃあ、頑張ってね」

 そう言うと同時にチャイムが鳴って茜音先生はドアを開けた。

「皆。おはよう」

「「おはようございます」」

 先生の挨拶の後に生徒たちの挨拶が聞こえてきた。

「ホームルームを始める前に皆さんにお知らせがあります。今日このクラスに転校生が来ています。では、入ってきてください」

「はい」

 私は大きく深呼吸すると教室のドアを開けて教室に入った。


「皆さん、はじめまして。永瀬・・・」 

 流石に同じように名前じゃまずいと私は止めた。

「・・・智と言います。よろしくお願いします」

 苦し紛れで私は永瀬智と名乗った。

「珍しいな。こんな時期に転校生なんて」

「彼女、とっても可愛くない!?」

「もしかして、最近話題になってた噂の女子生徒って・・・」

 そんな憶測が飛び交っていた。無理もない。今の私の姿はどうみても噂の女子生徒なのだから。

「それじゃ、後ろに空いてる席があるからそこに座ってね」

「はい」

 私は後ろの空いている席についた。

「あれ?そこ友久の席じゃ・・・」

「あっっ!ま、間違えました」

 つい癖でいつもの席に座ってしまった。私は恥ずかしくて顔を真っ赤にして一つ後ろの席に座った。

 と、特に問題なく午前中は終わった。席を間違えるアクシデントもあったが流石にあれで私が友久だと気づく人はいないだろう。あとは、少しずつクラスに慣れていって・・・。平穏に学校生活を送るつもりだった。


 昼休みになっていつものように奈々と弁当箱食べようと席を離れようとした時、いきなり女子生徒達囲まれた。

(え?なんだなんだ。もしかして、何かやらかした・・・)

 私はどっと変な汗がではじめた。

「ねえ、永瀬さんってもしかしてこの学校に来たことある!?」

「え、あ、うん。来たことあるけど・・・」

「じゃあじゃあ、もしかして、男子の制服着てた女子って」

「・・・・・・。わ、私です」

「「キャー。やっぱり」」

 ガシッと一人の女子生徒が私の手を握った。

「実は私、その日校内にいたんです。そしたら、男子の制服を来た美しい女性が誰かを担いで走って行くのをみたんです。まさか、永瀬さんだったんですね」

「う、うん。ちょっと学校覗きたいから親戚に制服を借りてきてたの」

「そうだったんですね。でも、とても似合っていました!!」

「そ、そうかなぁ。えへへへ」

「それで、1つ頼みたい事があるんですが・・・」

「ん?私に出来ることならいいけど」

 私がそう答えると彼女は後ろを向くとカバンを漁りはじめた。そして、

「これ!着てくれませんか!」

 目の前に出されたのは男子用の制服だった。


「ひ、ひぃ、し、死ぬ。笑い死ぬ、あはははははは」

 キーホルダーから猫の姿に戻ったクロは笑い転げていた。

「くそ!こっちは大変だったんだぞ!」

「まあまあ、落ち着いて下さい。多分彼女達もここには来ませんから」

 私は今屋上にいた。もちろんそこには奈々も居る。

「まさか、あれほどの人気があったんですね」

 奈々は一枚の写真を取り出した。

「あ、な、なんで持ってるの!」

 慌てて私はその写真を奪い取った。そこには男子用の制服を着た智が写っていた。

「男装した友久さん、似合ってますよ」

「やめてくれー!なんでだよ!」

 そういいながら写真をビリビリ破った。

「どうしてだよ!男の時には『キャー!カッコイイ』なんて言われたことないのに。男っぽくないって言われてたのに!女になったら言われるんだよ!」

「あ、あれですよ。そう、男装してるからカッコイイって言われてるだけですから」

「じゃあ、私が男の時もカッコイイ?」

「・・・・カッコイイデスヨ」

「おい!なんだその間に棒読み!?くそ!私は男として生まれるんじゃなかったのかよ」

 智はあまりのショックに大号泣しはじめた。

「そ、そんなことないですよ。別にそういう意味じゃないですよ。だから、落ちついて下さいー!」


「もう、さんざんだよ」

 私はクタクタになりながら学校を後にしていた。

「まあ、お疲れさん。昼休み明けも大変だったしな」

「やめて、これ以上思い出させないで。今にも倒れそうなんだから」

「そうか。なら、家でたっぷり聞こうかな」

「この悪魔が」

 周りの人気も減ってクロと喋べりながら家に帰っていると、曲がり角から声と人影が現れた。

「ぐほっ」

 慌てて私はクロをカバンに押し込んだ。変な声が聞こえたが気のせいと思っておいた。

 だいたい四人の声が聞こえてきた一人だけ聞き覚えのある声が聞こえたと思っていたら、現れたのは奈々と三人の女子だった。

「あ、西山さん」

「智さん!?どうしてここに・・・」

「ん?知り合いなの?」

「待って、もしかして、彼女!最近噂になっていた女子生徒・・・」

「は、はい。多分噂の女子生徒が私です」

「そーなんだぁ!!」私は奈央って言うのよろしくね」

「よ、よろしく。奈央さん」

 と残りの二人も自己紹介をしてくれた。

「それで、智ちゃんと奈々はどういう関係なの?」

「べ、別に変な関係じゃないよ。友達だよ。友達」

「そうなんだ!!私も奈々と友達なの。ね?奈々」

「は、はい・・・。友達です」

 奈々はなぜかビクッと肩を震わせて小さな声で答えた。

「せっかく会ったし。これから四人で遊びに行くけど智ちゃんも来る」

 奈央は私を誘った。一瞬奈々の顔が明るくなる。しかし、

「ごめんね。今日は用事があって早く帰らないといけないの」

 疲れている私にはそんな余裕もなく誘いを断った。

「それなら仕方ないね。じゃあ、今度一緒に遊ぼうよ」

「分かった。じゃあ、またね」

「あ」

 一瞬奈々の手が何かを掴もうと前に出たがすぐにその手は元の位置に戻った。

 この時、疲れはてていなければ、もしかしたら気づいていたのかもしれなかった。

「ほら、行くよ奈々。あんたが奢ってくれるんでしょ」

「・・・はい」

(誰か・・・助けて)

 奈々の思いは智に届くことはなかった。


 皆さんこんにちは聖です。いつものガバガバな小説を見てくれてありがとうございます。

 今まで、主人公の名前を誤字っていたのでそれを含めて今まで出てきた主な登場人物の名前を下にまとめておきます。 

 これからも拙い小説ですが、よろしくお願いいたします。


登場人物

長瀬友久(ながせともひさ)=永瀬智(ながせとも)

クロ

西山奈々(にしやまなな)

シロ

如月咲夜(きさらぎさくや)

天使・茜音先生(あかねせんせい)

横松雪(よこまつゆき)

浅山梨央(あさやまりお)

三井翔大(みついしょうた)

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