エピソード31 = 元凶
「ランドか………?」
寝起きで目を擦りながらのそっと立ち上がったライズさんがオレたちの方へ歩み寄る。
「おいっ!ガキに近づくんじゃねぇっ!!オマエらも早く帰れ!」
見張りのソイツは声を荒げる。
「ライズさん!」
オレは牢屋ギリギリのところまで駆け寄る。
「ちょっ!?ソイツは何をしでかすかわからねぇんだって!!」
オレを引き剥がそうとする見張りに必死で抵抗する。
ライズさんに話したい事と聞きたい事がたくさんあるんだ!!
「いい。離れたままで話そう。」
ライズさんは落ち着いた様子で話し始める。
「……外にいたと聞いていたが…大丈夫だったか…?」
その雰囲気はハイヴ近くのボロ屋やハイヴ内で見たときよりも確かに少し弱々しかった。
「オレッ!リンを呼ぼうと思って!ハイヴまで走って………そうだ!!オレやったよ!遺神体を3つもやっつけたんだ!!」
「「えっ!?!!」」
ソラとアルカが驚いた声を上げる。
見るとライズさんも驚愕したようで、眉を歪めて目を丸くしていた。
「嘘でしょ!?アンタがそんなこと出来るわけないじゃない!!」
アルカの信じられないという姿にいい気になったオレは自信満々に語ってしまう。
「本当にオレはやったんだって!うまく誘導すれば子供でも倒せるんだよ!」
だから大丈夫だ、きっと皆で協力すれば乗り越えられると、そう言いたかった。
「すげぇなあ!やるじゃねぇか!!俺は信じるぜ。」
少しだけ元気を取り戻したライズさんに少しホッとする。
「ところで、外やハイヴの様子はどうなっていた…?」
オレは覚えている限りで答えた。
どこのハイヴも鉄格子が破られていた事、統率のとれた遺神体、端から街を破壊している大ムカデ………そのどれもが絶望を体現した様な光景だった。
だから、
_____ライズさん、助けて!
そう言いたかったのだ。
ハイヴで助けてくれたときの様に安心させて欲しかった。
それらを聞いたライズさんは悲しそうな顔をしながら、
「丁度いい。このセルの偉い奴らを集めてくれ。……話す事がある。」
そう言った。
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____人が集まった。
このセルの管理をしている柱央中枢管理所の偉い人やら、街で一目置かれている人、軍部の人………そしてオレたち。
全員が牢屋の前で佇むなか、ライズさんは牢屋の中から出されることもなくそのまま話す事を求められる。
「その3人は残しておいてくれ。ソイツらも知る権利がある。」
「…もし変な動きをしてみろ。お前の頭が汚く飛び散る事になるからな。」
興奮した様子の軍部の人が銃をライズさんに見せて警告する。
要人を一箇所に集めるということで怪しんでか、周囲の人々も警戒を緩めるつもりはないらしい。
しかし、要求に応じて集まったあたり、ライズさんに何かあるという事だけは分かっているのか。
ライズさんは話を始める。
「……このハイヴからの遺神体の襲撃。原因は恐らく俺だ。」
最初から凄まじい爆弾が投下された。
どよめく聴衆_____それはオレ達も例外ではなかった。
誰もそこまでの直球での回答をされるとは思っていなかった。
……そんな…どうして…?
「ふざけるなっ!!!」
____突然響き渡った言葉に自分の口から出たのかと錯覚する。
その言葉の主はさっきの見張りの青年だった。
「いったい何人死んだと思っている!!それなのにのうのうとこのシェルターにまで入って来やがって……。」
民間人の被害が殆どなかったため気付いていなかったが、軍部は多くの犠牲があった様だ。
いや、軍部が尽力したからこそ、民間人が無事なのだろう。
青年は今にも飛びかかりそうな勢いで牢屋を握りしめていた。
「……ああ。本当に申し訳ないと思っている。」
「あぁ?!!」
「俺は生き残るべきではなかった……死にぞこないはそのまま、ここに辿り着く前に死んでいればよかったんだ。」
ライズさんは悲しそうに自分の掌を見つめて話す。
『……俺は言わば世捨て人だ。』…確か始めて会った頃にそう言っていた。
その直前にあったことはあまり語ってはいなかった。
「俺はこことは別のセルからやって来た。」
昨日あんなことを書いた直後でアレですが、多忙さやほぼプロットなしで書く事の辛さから、あと数話程度の微妙に区切りの良い部分を持って不定期更新に変更させて頂きたく存じます。
楽しみにしていた方がいらっしゃいましたら申し訳ありません。(いらっしゃるか分かりませんがと言うと本当にいた場合に失礼になりますが、いると断言するのも傲慢で言葉に迷います…。)
まだ拙い作品ではありますが、これからもアウトデイテッド・セルを宜しくお願い致します!
ここから言い訳です。
もともとこの作品は、自分の頭の中にある自分の好みのプロットを出力できる程度の文章力を得る為に軽い気持ちで書き始めた当て馬の様な物でした。
処女作なので下手で当然、とにかく物語の文法の様なものを掴むこと、それだけを是として今日まで書いておりましたが、だんだんと愛着が湧いてきて真面目に書いていきたいと思うようになりました。
そして、この作品とは別の試験的に考えてみたプロットを試しに1話だけ書いてみると難儀はしたものの此方よりも書いていて楽しい、と思ってしまったことも挙げられます。
自分の中にあった物語をボムの抱え落ちのように無駄にしないため、ストレスを発散する為といった理由で書いていたので、本末転倒に気付いてしまいました。
そんな訳で、セル、煮詰めます。
自分が一番書きたかったプロットは煮詰めすぎて焦げてしまったので今は再生中ですが、この作品はもう少ししっかりとした形にしていきたい。




