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エピソード18 = 襲撃

 …突然、鈍く光る銀色の何かが視野を抜ける。

「来たぞ!撃てぇぇ!!!」

 ハッとして仲間に続き射撃をしようと視界に捉えたそれは。


 人から機械が生えたような異形の怪物であった。


 ダダダダダダダダッ!!!

 怪物めがけて銃を撃つ。


 しかし、その弾丸は一発たりとも命中しない。

「嘘だろ…?速すぎる……!?」

 明らかに人間離れした3次元的な軌道で撃っても撃っても回避される。

 自分達が平和ボケをした部隊である事は認めるが、動く的に偏差射撃を行う訓練など最早ルーチンワークのように毎日行っていた。


「ぎゃあぁぁぁぁ!………。」

 怪物は甲殻類のような脚でシャカシャカと高速移動し、鋭利な刃のついたアームで仲間の頭を串刺す。


「ひぃ!なんだよコイツ!」

「怯むな、射撃を続けろぉ!!」

 同士討ちに気を付けながら陣形を作り撃ち続ける。

 しかし、俺たちの努力も虚しく銃弾は空を切り、1人、また1人と斬り倒されてゆく。


 そして…最後に俺1人が残った。

 地べたに座りこんで、惨めに後ずさる。

 既に戦意などかけらもなく、ただただ生にしがみつきたい一心だった。

 そんな俺に怪物はゆっくりと近づいて初めて言葉を話す。


「アイツに雇われた以上、キミも同罪だ。」


 ゆっくりと近づくおかげで怪物の全貌がはっきりと理解できた。

 手足の無い人間の身体、メンデッド化の痕跡のある脚の付け根から生える甲殻類のような見たことのない機械の多脚、千切れたかのような両腕に、その傷口に直接刺さっているアーム数本、いずれもその選択には鈍く光る刃が付いている。

 容姿は傷だらけで醜く歪み、胴体は肋骨が浮き出るほどに痩せこけていた。

 ここまで近づいたからか、機械油と腐敗臭……壊死しているであろう胴体からする死臭が臭う。


「苦しまないように殺すよ。…怨んでくれて構わない。時間がないんだ。」

 感情のこもっていない声でそう告げて、怪物はアームを振り上げる。

 いやだ!まだ死にたくない!!


 そのとき、俺は右手に触れるものに気が付いて信管を抜き、投げる。

 咄嗟の行動が読めなかったのか、怪物は俺の投げたもの……手榴弾の爆破をモロに食らって吹き飛ばされた。


「…やった!?…とにかく逃げないと!」

 幸運にも活路が見えた俺は、立ち上がろうとするも腰が抜けたようで立つことができない。

 仕方がないので、抜けた腰を庇いながら這うように地面を移動する。


 あれだけ生身が剥き出しだったんだ。あの距離での爆破で生きてる訳がない。

 そう自分に言い聞かせながら地面の溝に指を掛けて確実にその場から離脱する。

 確認する勇気はなかった。

 この世のものとは思えないあの怪物に常識が通用するとも思えないし、見に行って殺されたんじゃあたまったもんじゃない。


 あと少しで行きに利用した軍用車両の元へ届く、と思ったときだった。




「ギッ!ギキィィギ!ギキィィギ!キィキィキィ!ギキィィギ!!!」

 金属の擦れ合うような耳障りな音が響き渡る。



 直感でマズイと思ったとき、前からコツンと金属の高い音が聞こえて来た。


 恐る恐る顔を見上げると、そこには………さっきの怪物の機械部分とよく似た色の楕円形の胴体から脚が生えた蜘蛛やダニのような機械がいた。


 それは俺を見るや否や三つの青く光っていた目のような部分を赤く光らせ、胴体をパネルを開くように割って、怪物の腕に付いていたものと同じあのアームをスルリと伸ばした。



 ………………あぁ…。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 想定外だった。まさかあの距離で手榴弾を投げて来るとは。

 さっきの男が座りこんでいた場所に目をやると、そこは既にものけのからだった。


 …まあいいか。

 余計なものに構っているような余裕はない。

 至近距離での爆破から反射的に攻撃用アームと脚で身体を庇った為に、左腕側は肘まで残っていた部位が肩までなくなり、脚側も肉体に被害こそないものの全ての脚が仕様外の方向へひん曲がって使いものにならない。


 無事な右腕側の発声機関から、遺神体を呼び寄せる音を発する。

「ギッ!ギキィィギ!ギキィィギ!キィキィキィ!ギキィィギ!!!」

 数十秒と待たずに小さな遺神体が現れる。

 仲間の異常に駆けつけたそれは、音声を出した俺が仲間でない事に気付いて敵対行動をとろうとするが、待ち伏せていた此方が一手早くアームを動かし破壊する。


 その遺神体から削いだ脚と攻撃用アームを自分に移植して動くかを確認する。


 …………十分だ。これなら問題はない。

 後に続いて現れた遺神体を試し切りしては、予備の手足を確保する。


 ズキリ!と、神経に直接繋いだアーム側が鈍く痛む。

 壊死していた場所がそのまま吹き飛んだその傷口からは滲むように出血して止まらない。

 既に末端の感覚はなくなっている。

 今はまだ神経が生きているから、遺神体から奪ったパーツを動かす事が出来ているが、いつ動かなくなるかもわからない。


「アイツで最後なんだ…。あと少し、保ってくれよ。」

 厳重に警備を敷いていた建物の扉を切り裂いて侵入する。




 ………………あぁ、やっと。



「見つけた………!」

見切り発車時点では設定もなにもなかった彼が立派になって……。


主観がコロコロ変わるせいで分かりづらくなっている気がしないでもない。

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