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エピソード17 = 終わりの始まり

「失礼しますっ!」

 行方不明者事件の犯人と思わしき男と次の被害者となる可能性の高い人物を2人っきりにする訳にはいかない。

 そう思った私は、命令を無視している事に気付きながらも収監所の中に入る。

 2人は口論……というよりかは上司が一方的に強い口調で質問をしているようで、幸いまだ2人とも私が戻ったことに気付いてはおらず、話しを続けている。


「お前は何者だ?!!アイツとグルなのか?!」

 アイツ…グル…?上司は犯人を知っているのか…?

 上司の言葉に気になるところがあった私は、物陰に隠れて聞き耳をたてる。


「何を聞かれてもそもそも俺は無関係だぜ。」

「そんな筈はない…!!………だがどうせ関係ないな!!アイツが俺を襲いに来たら返り討ちにして、そしてお前を真犯人として処刑する…!それだけの話だ。」

 上司は相当頭に血が上っているようだ。

「鉄屑に寄生している死に損ないが!そこで寂しく死を待つといい…!!」

 罵詈雑言を吐き捨てて、上司が戻ってくる。


 マズイ…!どうにか隠れないと…!

 隠れようと周りを見渡すが何もない。

 そのまま間に合わず、上司と曲がり角で鉢合わせしてしまった。

 上司は私をギロリと睨んで口を開く。

「キミ、私が良いと言うまで出て行けと言ったのが聞こえなかったのか…?」

「…す、すみませんっ!大事なものを忘れてしまって、取りに…。」

 まだ言い訳をしている途中だったが、上司は言葉を挟む。

「私達の話を聞いていたかね?」

 上司の瞳が険しくなる。

「い、いえ…ただ…あんまり差別的な発言はよした方がいいんじゃ………。」

「それだけか…?ご苦労。」

 やや疑った目を私に向けながら上司は通り過ぎる。

「あ、はいお疲れ様です。」

 上司は力強く叩きつけるように扉を開けて去っていった。



「良いのか?ああいうのが管理職で?」

 独房の前に戻ると、ライズという男はさっきの話を気にも止めていないようで軽い雰囲気で話しかけてくる。

「仕事は真面目にする人ですよ…。私生活は知りませんが、メンデッドが関わらない仕事場での働きぶりは尊敬できるものです。」

 男はそれを聞いて、興味なさそうに欠伸をする。


 それをみた私は、また退屈な時間を覚悟して椅子に座る。


「この事件の被害者は、だいたいどの時間帯あたりに行方を眩ましてるんだ?」

 容疑者が聞くことかと思いつつ、暇つぶしと思って答える。

「だいたいは暗くなってから…夜のうちだと言われていますよ。」

 それを聞いた男は、上司の話を聞いたときとうってかわって真面目な表情で考え込んでいた。


 ……ああ。ラジオがわりを黙らせてしまったな。

 少し残念ではあったが、私はそのまま退屈に身を任せることにした。




 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 夜になって、光源気体の光が消え、セルは闇に包まれる。

 光源気体に頼り切った生活を送るせいでさほど発達していない発光技術が僅かばかりの光を灯す中、セルを音もなく歩く者がいた。


 その者は夜目が効くのか正確に空間を把握しているようで、巨体ながらも狭い道でも大きな音を立てないようにスルリと通り抜ける。


 一際明るい場所の側まで来たその男は近くの影に身を潜める。

 そこには誰かを守るような厳重な警備が敷かれており、男は嬉しそうに体を震わす。



「………やっとキミの仇全員に謝らせる事ができるよ。…待っていてね…ライラ。」


 その身体は、異形な機械に侵食されているようであった。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「うわぁっ?!」


 突然部屋が眩しく光り、眠ろうとウトウトしていたオレは飛び起きる。

 外を見ると、夜のはずなのに真昼間のような明るさで混乱する。

 こんな事は生まれて12年一度もなかった。


「ランド?!大丈夫?」「何事なんだ?!これは」

 同じく飛び起きて来た両親に無事を伝えつつ、ソラとアルカのことが心配になる。


 テレビをつけたが何も映らない。

 明らかな異常事態の中、外から聞き覚えのある耳障りな音が聞こえた。


「ギ!ギィィギィィ!ギ!ギギィィギ!ギィィギィィギ!ギ!ギィィギ!ギィィギギィィギ!ギィィギギィィギィィ!」


 耳をつんざくそれはハイヴの中で聞いたものとは音量が段違いで、空気が振るえるのを体で感じる程であった。

 遺神体?!セルの中に本当に入ってきたのか?!



 ドゴン!と大きな音が響く。

 もう一度窓から外を見たオレは、この世の終わりを見た。


「………なんだよ…?…これ?!!!」


 ハイヴからあのとき見た大ムカデが生えていた。

 …いや、大ムカデがセルに侵入してきていた。


 想像していたの中で最も悪いケースを遥かに超える現実に言葉が出なかった。

忙しいせいで日課のエッセイが書ききれなかった今週。

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