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エピソード12 = 待ち伏せ

「…ここから、あれが通っていない路。」

 見るからに荒れた他より一回り狭い道にオレ達は不安を覚える。

 確かにあの大ムカデではここを通る事は出来ないだろうが、こんな場所、遺神体から逃げるのも一苦労じゃ…。


「…私の通ってきた路にはいない筈だから…。他を当たればいい…。近くの分岐はここ一つしかなかった。」

 無感情そうな声音とは裏腹にずんずんと中に進んでいくリンを慌てて追いかける。

 ライズさんはかさばるからか武器をスルリと収納していた。



 気づいた…とうとうここまで来てしまった…。

 ここにアルカがいなければ、アルカはもう……あのムカデに巻き込まれるアルカを想像して体が震える。

「きっと大丈夫…。」

 隣でソラが自分に言い聞かせるように言っていた。

 そういえばソラは、どんなときもオレとアルカを止めようとしてくれていたんだったな…。

 それでも突っ走っていった自分を責めながら、路を進んでいく。


「何故、遺神体がいない…?セル付近はさておき、このあたりならば普通に遺神体が巡回していていい筈だ。ましてやこの荒れよう、デカブツを避けて路に入ったメンテナー達が大忙しで補修を行いそうなもんなんだが。」

 ライズさんの疑問に答えるものはおらず、虚しく木霊する。

 本当だったら、ライズさんに助けてもらった時のようにうじゃうじゃと湧いて出るのだろうか…あまり考えたくはなかった。

 路の荒れ方は何というか、死体があった穴付近と同じく遺神体が暴れた後のようだった。


 突然曲がり角の先を見たリンが呟く。

「いた…!」

 …何が?!と質問するまもなく先へ飛び込むリン。

「ギッ!ギキィィギ!ギキィィギ…キィキィキィ…ギ…………」

 早すぎて何が起こったのか分からなかったが、曲がり角の先から金属のひしゃげる音と遺神体の断末魔が聞こえた。


「何だ?!」

 殿を務めていたライズさんがオレ達を押しのけて前に進み、オレ達もそれに続いた。



 …真っ先に目に入ったものは、大量の壊れた遺神体と倒れているアルカだった。

 その光景に少しだけ違和感を覚える。


「「アルカ?!!!」」

 オレとソラは、遺神体の残骸を避けながら倒れたアルカの方へ駆け寄る。

 そこは、他と比べて少しだけ広い空間で、天井に円形の何かがあった。


「…大丈夫…!気絶してるだけ。」

 リンがアルカの体を確認して答える。


 やった…!良かった……!!

 最悪の事態にはならなかった。

 安心したせいか、足の力が抜けて座りこんでしまう。

「良かった…アルカァ…!」

 ソラも同じ気持ちのようで静かに泣き出している。

 そしてオレは気付いた、違和感の正体に。


 周りの壊れた遺神体の目が全て光っている…?!!

 小さいながらもギイギイと鳴くそれらはとても不気味であった。



「まともに動いていた遺神体はソイツだけだったのか?」

 ライズさんの言葉に頷くリン。

「…これだけ…他は最初からこうなっていた。」

 周囲の遺神体は足の付け根と攻撃用のアームを的確に破壊され転がっている。


 大量の壊れた遺神体と、動ける一つの遺神体。

 その事実が表すことは………。


「遺神体がアルカを守っていた…?」

 すんなりと出た言葉に驚いたのは、オレ自身だけではなかった。


 特にライズさんは、酷く取り乱していた。

「まさか?!…いや!それなら…。」

 リンが蹴潰した遺神体に駆け寄ったライズさんが、大声で叫ぶ。



「ハイド!!お前なのか…?!!!聞こえているなら何か言ってくれ!おい!俺d」ゴッ!


 リンがライズさんの頭を叩く。

 手加減はしていたようだったが、なかなかにいい音がした。

「…うるさい…。危ないからやめて。」

 ハッとしたライズさんが口元を押さえて謝罪をする。

「悪りぃ……。」

 そしてばつが悪そうに言った。

「とにかくアルカも見つかったから、早くセルに戻ろう…。原因が言うのもアレだが、こりゃ遺神体が集まってくるな………。」



 リンは片腕がなく子供のオレ達もとても無理なので、ライズさんがアルカを背負う。

 案の定ムカデの通った跡まで戻ってきたら、待ち伏せをされていた。

「…わたしがやる。」

 リンが遺神体の群れに襲いかかる。

 その様は小さな子供が蟻を踏み殺す様子を思い描くものだった。

 リンに次々と蹴り潰されていく遺神体を脇目に元来た路を辿る。


 …この調子なら、大丈夫そうだ。

 たくさん怒られるんだろうな…。

 その帰路はとても順調なようで、帰ってからのことを少しだけ考えてしまった。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 もう少しで帰れる。もとの安全な生活に戻れる。

 そう思いながらセルのすぐ近く、最初の分岐点まで戻ってきたときに、ヤツは再び姿を現した。


 …待ち伏せをしていたのは小型の遺神体だけではなかった。

 真正面から対峙したそれは、何というか、ミキサーの刃の部分を思い出す、攻撃的な形相であった。

サブタイトルが思いつかない問題…。

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