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プロローグ = 謎の男

考えた物語を文章にするのはこれが初めてです。

細部を煮詰めていない見切り発車ではございますが温かく見守って頂けると幸いです。

 


 ……「ハングアップ完了。俺たちは、ついに地上を取り戻す…!!」


 開く筈のなかった堅牢なハッチが開かれて、中から2人の青年が外に出る。


「うひょー!俺が一番乗りだ!!って寒っ!!!」

「…おいダウンズ!はしゃぐな、まだ安全は確保出来ていないんだぞ。」


 場所は荒野。地面に直接据え付けられたハッチ以外、見渡す限り何もない。


「…しかし暗いな、何も見えない。セルと地上とでは時間が違っているのか…?」


 頑丈そうな防護服を着た黒髪の青年が口にした疑問などどこ吹く風、ダウンズと呼ばれた黒髪に白髪のメッシュが入った青年は興奮を抑えられずうろちょろとしている。


「この吸い込まれるような天井が空で!、このたくさん光っている点が星か…!!」

 周りを見渡しながらクルクルと回る青年を尻目に、防護服を着た青年は周囲の観察を行う。

「…宇宙線が強いな…長時間いるのは危険か。ハイヴ内の光源気体が気温差で漏れ出しているな。光量が2割程落ちたか。

 …おい!一旦戻ろう。一度態勢を立て直してから出直すぞ。」

「ほいっと了解!」



 元来たハッチから地下に戻る2人。

 そこは畳3畳程の照明もないのに明るい空間で、壁には目視では数え切れない程多くのパイプが付いている。


「見たか?俺が最初に地上に戻った人間になったぜ!!ははっ!夢みたいだ!」

「…興奮するにはまだ早いだろ。お前にとっては偉大な一歩でも、人類にとってはちっぽけな最初の一歩に過ぎないのだから。」


 少年のような青年、ダウンズはハッチを閉じながら嬉しそうに笑う。

「へへっ!まだこれからだよな。

 で、出直すのは何時間後だ?明るくなったらすぐか!?そんなに待つのは嫌だぜ!」


 はしゃぐ男、しかし、返って来た言葉はその期待を裏切るものであった。

「…いや。一度セルまで戻ろう。高い宇宙線が観測された。俺は大丈夫だが、お前や他の皆は専用の防護服が要るだろう。危険はそれだけとも限らないから、装備と情報を整理してから全員で探索するのが得策だろう。」


 直ぐに再開出来ると思っていたのか、露骨に落胆する。

「えぇ〜……。マジかー…。…まあ防寒着は欲しいところだったが…。あぁ〜……ずっとこの時を楽しみにしていたんだぜ……。」


 防護服の青年は、落ち込むダウンズをたしなめる。

「…今更数日伸びたところで関係ないだろう。それにしっかりとした準備をした方が、探索の質は上がるぞ。」

「ハァ〜…了解。」




 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 世界が終わる筈だった日。人類は神に救われ、地底人となった。


 神は人々を救ったのち、忽然(こつぜん)と姿を消した。


 それから数千年、我々は神の残した地下施設『セル』の中で生き永らえてきた。



 ……本当の世界を知らぬまま。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 …………ここはセルの隅、人気の少ない場末に3人の子供が歩いていた。


「…ねえ…。こんなとこに来たら怒られちゃうよ…帰ろうよ…ランド……アルカ…。」

 涙目の内気そうな少年が2人を止めようとしている。


「なーに言ってんだソラ!秘密基地を作るんだろ!だったら大人も寄らない場所が一番じゃないか!」

 ランドと呼ばれた活発な少年は聞く耳を持っていない。


「そうよ。…いっそハイヴの中とかに作れたらいいのに…ねえ?」

「え”っ…いやそこまでは…。」

 アルカと呼ばれた少女の発言に、流石に若干引いた様子のランド。


 ランド、アルカ、ソラ、この3人は、この近所では有名な手のつけられないイタズラ好きであった。

 実際にはイタズラ好き2人と振り回される者1人ではあるのだが、大人たちから見れば大差はない。

 今日も、危険だから近づいてはいけない、と言われている『ハイヴ』の近くに無断で遊びに来ていた。


「流石にハイヴに入るのはやだよ!あそこには人殺しの怪物がたくさんいるんだぜ…。」

「そうだよ…!それに最近よく人が居なくなってる…、化け物に攫われたんだって言ってる人もいたよ…!それに、あそこは昼間でもすごく暗いんだよ…」

 ランドが嫌がり、すかさずそこに援護をいれるソラ。そんな2人の様子に呆れ、アルカはそれを小馬鹿にする。

「なによ!臆病者!!化け物なんているわけないじゃない!あんなものは大人の作り話よ。それに、もし居たとしても鉄格子があるから入れないでしょう!」



 ハイヴとはセルの壁に空いた直径5メートル程の通気口である。

 底の見えぬ暗闇と、扉のついた鉄格子、さらに怪物がいるという噂もあり、気味悪がってその付近に住む者は少ない。



「とにかく!秘密基地はあそこの近くにある空き家にしようぜ!たくさんあるからどうせバレねーって!」

 勢いで話をそらすランド。

「僕は秘密基地自体…賛成してないのに…。いつもこうだ…。」

 ソラは何か悟りかけている。


 そんなとき、アルカが何か異変に気づく。



「……ちょっと待って?…人が…倒れてる…!?」



 丁度ハイヴの近くの路地裏に、ぼろぼろの白髪の男が倒れていた。




 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「…どうしたんだよ!!?おじさん!大丈夫?」

 やっぱりハイヴの近くに来るんじゃなかったなぁ、言い出しっぺながらにそんな事を思った矢先、掠れた声で男が怒鳴った。


「…だ〜れがおじさんだッ…?! ゴホッ……俺はまだピッチピチの21のお兄…さん…だ…………。」

 正に竜頭蛇尾。その一瞬だけ発揮された剣幕は、すぐさま摩耗し塵と消えた。

 再びガクッと力尽き、掠れた呼吸を繰り返す。

「大丈夫ですか…?何があったんです?助けを呼びましょうか?…えっと、えっとあとはどうしよう…?……」

 落ち着いているようで非常に取り乱しているソラ。さながら機関銃のように混乱した的を得ない言葉を続ける。

 どうしよう…?オレは何が出来る…?人が目の前で死にかけている。始めての体験に混乱し、次の言葉が出せない。


「ちょっと黙って!。」

 ソラを遮るアルカ。

「あなたには、今何が必要ですか?」

 アルカの質問に対して、死に体の男は今にも途切れそうな声で答える。


「……水、と食…べられるものを……長く…何も食っ…てない……怒鳴っ…て…ごめんな……。」

 今にも死にそうだ、と思った。生まれて初めて、本当の恐怖を覚えた。


「わかりました。 水と食べ物ですね。

 ランド!あんたは残って。私とソラが水と食べ物を持ってくるから、それまで見張ってて。ソラ、あんたは荷物持ち!」

「ちょ、ちょっと待ってよー!アルカ〜…!。」

 2人が去っていく。






 ……………()()()()()()()()1()()()()()()






 背筋が凍る。…ハイヴから流入する涼しげな風が、襲いかかる悪寒の後押しをする。



 この人が死んでしまったらどうしよう……?


 怪物が襲ってきたらどうしよう……?



 二つの恐怖が複雑に絡み合い、胸に閉塞感が訪れる。

 普段から強気でいた分のツケがまわってきたのか、震える体が(おさま)らない。




 ……………怖い……………。



「大丈夫…か?……あまり…怖がらなく…て…いいぜ…。

 自己…紹介が…まだだっ…たな……。……………俺は…ライズ。ライ…ズ ピュアウォー…ター……。

 …君…は?」


「オレはランドッ!!ランド マイン!!」

 自分の方が苦しいだろうに…オレを気遣ってくれたその言葉に、力の限りで答える。今は、それしか出来なかった。


「……そうか…ランドか…聞き…覚えが……あぁ…さっきの女の子が…呼んでたっ…け?…………大分朦朧(もうろう)として…きたな……。」



 男が音もなく眼を閉じた。





 ………ぁあ……………何も、出来なかった……。

粗筋が盛大に初っ端のネタバレとなってしまう事が気がかりではありますがどうぞ宜しく御願い致します。


…しかし一話書くだけで結構大変ですね……。百話二百話と投稿している作者様方には頭が上がりません。



ここまで読んで下さり、ありがとう御座いました。

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