遭遇
「それにしても藤堂隊長、今の凄いですね。どういう仕組みですか?」
先ほどの武器について悠馬が質問をする。
「仕組みか?それは俺も良くは分からないが空気熱を利用した武装だと聞いているぞ」
「空気熱って大気中にあるってあれですか?どうやったらそんな威力になるんだ」
狗神の武装について二人が話していると暇をもてあました加藤兄弟が話しかけてくる。
「隊長! そろそろ行きましょうぜ、目的地は目の前ですから」
「新人ちゃんは大人しく後ろで待機な」
加藤兄弟の提案で部隊は再び隊列を組み目的地に移動を開始した。
目的地には数分ほどでたどり着いた。
辺りには瓦礫が散乱し恐らくここで激しい戦闘があったであろう事が想像できた。
「隊長、どうやら信号はこの付近からでてるみたいだぜ」
隊員たちは辺りを確認するが捜索対象の姿を確認する事は出来なかった。
藤堂は暫く考える素振りをするとその後、隊員に新たな指示を出した。
「もう少し本格的に捜索するぞ。俺と悠馬は付近の探索を続ける。加藤兄弟は更に先まで進み何か痕跡が無いか探してくれ」
「「了解!」」
加藤兄弟は返事をすると迅速に行動した。
「よう、アニキ。今回の件どう思う?」
「どうと言うと?」
「失踪についてだよ。分かってるのにイチイチ聞き返す癖はよくねぇぞ」
「そうか? お前はもう少し相手に敬意をはらう癖をつけるべきではないか?」
「二人だけになると急に丁寧な口調になるのも気にくわねぇ」
「お前は俺に何を求めてんだよ……」
「おっと、アニキ。前方からお客さんだぜ」
「そのようだな」
軽口をたたきながらも二人の表情には余裕が無かった。
彼らの前に現れた客人とは想定を遥かに越えたものだったからだ。
前方に現れたのは間違いなくTMI01たった。
しかし、そのボディは銀色に輝きを放ち明らかな敵意を剥き出しにしていた。
「なんだ、ありゃぁ……」
聡が言葉を漏らすと同時にそれは手に持ったアサルトライフルで攻撃をしける。
ズガガガガガガ!!
回避は成功したが、その回避位置に今度は銀色の散弾が飛んできた。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
標的にされた聡は間一髪攻撃を回避したが体勢を崩し片膝をつく。
そこに銀のディーの拳が炸裂し聡は派手に吹き飛び瓦礫の山の中に突っ込んだ。
「ア……アニキ……気をつけろ。そいつは普通の性能じゃねぇ……」
銀のディーは止めを刺すために聡に銃口を向けて射撃を開始した。
その銃弾は狙いを違わず聡に向かい破壊された瓦礫で煙が巻き起こりその姿を隠す。
数分の後、霧が晴れた其処には聡の無残な姿は無く。
変わりにボロボロになった昌の姿があった。
「馬鹿野朗! 何してんだ! 俺より弱いんだから逃げろよ……」
聡の悲痛な叫びを聞いた昌は余裕の表情で答える。
「何、大した事じゃ無い。弟のピンチを助けるのは兄貴の矜持ってもんだ」