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服部ひなさんは、厨二病が、治らないようです。  作者: ねこた まこと
ひなさんと仁くん、放課後異世界でアルバイト始めました。

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4

俺達は、元第二王子だという人物を連れてギルドへ戻ってきた。

ギルドの受付に向かうと、ヴァネッサさんが苦笑して俺らを迎えてくれた。


「 おかえりなさい。ジン、ヒナ。それとトマス、私はギルド(ここ)で待ってるように言った筈なんだけどねぇ。なんでいるかは大体予想つくけどね」

「 ここで待ってても仕方ないでしょう、 叔母上。彼らの実力を確かめろと、おしゃったのは、あなたですよ 」

「 そりゃまあ、そうだが。だけどね」



なんか完全に俺らそっちのけだな。

なんで元第二王子がこんな所にいるのか、そもそもなんでタヌキモドキの駆除を見ていたのか、色々と知りたい事があるのに元第二王子とヴァネッサさん二人だけで話してるし。


「 お前らな、受付で長話してるんじゃねえよ。他の奴らに迷惑だし、仁とひなにも説明しなきゃなんいんだろ?こんなとこ居ねえで、会議室へ行け」


と現れた一人の男性。このギルドでギルドマスターを務める鈴野ヒロさんだ。

名前から分かるように、俺達と同じく日本人だったりする。ただし異世界転生でも勇者召喚でもなく、たまたまこの世界へやって来てしまっただけ。以来、15年近く冒険者としてこの世界で生きてきたらしい。

だけど、ボサボサの黒髪に無精髭。白いワイシャツに黒いジーパンという身なりだからか、冒険者というよりくたびれたサラリーマンに見えるな。

とまあそれはともかく、今はヴァネッサさんと元第二王子を名乗るトマスさんに話を聞かなくてはいけない。

俺とひな。それにヴァネッサさんとトマスさんは、ギルド内の会議室へ向かった。


ギルドの建物は、中世ヨーロッパ風の世界なのに、日本で言う役所なんかに雰囲気が似てる。

一階の受付から二階の会議室へ入ると、真ん中に置かれたテーブルを挟んで、俺とひな。ヴァネッサさんとトマスさんに別れて座る。



「 まずは、ヴァネッサさんとトマスさんは、どういう関係なんです?」


とひなが質問する。


「 叔母と甥さ。私の兄が王家へ婿入りしたんだ。トマスの母親はこの国の女王だ。まあ最も、兄が王家へ婿入りするより前に、私が家を出てたからねぇ。トマスが家出するまでは、会う事もなかったけど」

「 はあ、んでトマスさんはなんで、冒険者なんかやってるんですか?」


ひなが少々呆れ気味に訊いてる。


「 別に。城で貴族連中相手にする位なら市井で暮らした方がいいと思ったからね。冒険者なのは叔母上が、冒険者だったからかな。まあ僕が居なくとも、十人も兄弟姉妹がいるんだ。跡取りの心配はないだろうし」


そんな理由で家出したんかい! 俺は、そうツッコミたい気分だ。恐らくひなも同じような気持ちかも知れない。

現に、破天荒なひなが呆れ返った顔をしてるんだもんな。


「 じゃ、タヌキモドキの駆除の現場に居た理由は、なんです?」

「 理由は二つ。魔法が存在しない世界で生まれ育った人間が、魔法をどこまで駆使して戦えるか見たかった。もうひとつは、この素材を扱うだけの魔力があるか確かめかたったんだ」


とトマスさんが取りだしたのは、ビロードのような漆黒の布だった。


「 この素材は、君たちがこの前駆使した『クロヤミカラス』より上のランクというか、『クロヤミカラス』が最終的に進化した魔物『 キングクロヤミカラス』の羽毛から作られた布だ。この布を使えば、「擬態化の魔法(ミラージュ)」を施しても、破れない」

「 そうなんですか」


ひなの目は食い入るように、『キングクロヤミカラス』の羽毛から作られた布を見つめてる。「擬態化の魔法(ミラージュ)」は、高濃度かつ大量の魔力を注ぐ為、普通の素材。というか地球上に存在する素材では魔力に耐えきれない。

あえて言うなれば、細い糸に大きな鉄の玉を乗せてるようなもんだ。


擬態化の魔法(ミラージュ)に耐えきれる布を扱うには、布に大量の魔力を注げるだけの魔力がないと、いけないからね。君たちは、あのタヌキモドキ相手に大量の魔力を使っても、平気な顔してたから大丈夫そうだね。普通ならあんなバカデカイタヌキモドキ相手だと、倒すのに苦労するし、どうしても大技使うから疲れるはずだよ。E級なら尚更だ」


とトマスさんは、呆れてる。ヴァネッサさんは俺らから、目を反らしてるし。

もしかして。


「 今回のタヌキモドキは、B級が相手するのが妥当だったんだ。子供のタヌキモドキなら、E級、D級でも楽勝なんだけど、大人のタヌキモドキはC級以上じゃないと相手出来ないのさ」


ハハハと笑ってごまかしてるけど、ヴァネッサさん、場合によっちゃ死んでたんですけど。


なんだかんだ言って、ミカンのリボンの新たな素材は貰えたけど、なんか騙された気分だと、俺もひなも思ったのだった。






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