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ミカンのリボンの素材探しの為に、異世界へ来た俺らは、とある人から「素材ほしけりゃ、まずは働きな 」そう言われて、異世界でアルバイト始めました。
ちなみに、異世界へは行く方法は、俺が所有する先祖の魔法研究書に載ってました。満月の夜に、血で魔法陣を描くという方法だ。
余談だけど、研究書のタイトル『 ダンディーなダンさんの使うと格好いいかも知れない魔法』だったりする。ここに、ひなや朝陽兄さんという変人の片鱗がうかがえるな。
話それたけど、俺らのアルバイトは、主に「 魔物駆除」や「 薬草探し」「 魔物や魔獣を倒して素材を集める事」等々。
手っ取り早く言えば、冒険者稼業だ。
本日は、「 畑を荒らすクロヤミカラスの駆除」だったりする。
だから今、クロヤミカラスと原っぱで、交戦中だ。
「ファイアボール。」
俺が放った火球が、ひなの上をすっ飛んでいく
「 うわっと、仁よう見んさいやー。私を焼き鳥にするつもりー。ったく。出でよハンマー!」
文句を言いつつも得意の武器魔法で巨大なハンマーを出現させ、今回の依頼対象のカラスそっくりな魔物クロヤミカラスに攻撃をしかける。くさむらに隠れて、俺らに攻撃をしていたクロヤミカラスは、ハンマーの打撃を受け魔石や羽毛をドロップして塵のように消えていく。
けれど、クロヤミカラスは、複数残ってる。俺は、空を飛び回っているクロヤミカラスを倒す為、もう一度魔法を発動させた。
「 ファイアボール」
俺の右手から火球が、複数放たれる。
よし、今度は成功だ。空中から突撃する機会を窺っていたクロヤミカラス達は、炎の餌食になり、塵のようにすべて消えた。
「 ミッションコンプリート」
「 こっちも、片付いたよ」
ひなが、俺の元に戻ってきた。そして、猫のようなつり目をさらに吊り上げて、説教を始めた。
「 仁、あんたさあ! どこ狙っとんよ。お陰で、焼き鳥になりかけたし、制服のスカートの裾焦げたじゃろ。」
ひなは、紺色のプリーツスカートの裾の部分を示しながらそう言ってくる。
確かに、裾の部分が焦げてチリヂリになってる。
「 わりぃ、直す。修復」
俺が詠唱をして手かざすと、裾の部分は、光に包まれて元通りに修繕される。
治癒魔法のなんだけど、物の修繕にも使われる魔法だ。
「 ありがとう」
修繕が終わると、ひなは、戦闘中に、ほどけたらしい紺色のセーラーカラーについてる赤いリボンを結びなおしてる。俺は、ため息をつくと、クロヤミカラスがドロップした魔石と退治した証拠にもなる羽毛を拾う。魔石も羽毛も沢山あるから、売ればそれなりのお金になるはず。俺は、メッセンジャーバックにしまう。このメッセンジャーバックは、無限に物を入れておける魔法の鞄で、メッセンジャーバック以外にリュックやトートバッグ、かごバッグ型の物まである。
「やれやれ、ひな。ギルドにいぬるで!(帰るよ。)」
「 うん」
俺らは、町に向かい足を進める。クロヤミカラスと戦った野原は、俺らが所属するギルドがある町の外れにある。
十分近く歩くと、ギルドがある町 アルジェに着く。
アルジェの町は、碁盤の目のように整然と建物が並んでいる。
教会がちょうど中心に建って、教会の左側が、住民の居住区。教会の右側が役場やギルド等町の行政を担う施設や商店街となっている。
教会から少し歩くと、石づくりの建物が見える。ここが、俺らが所属する冒険者ギルドだ。
「 戻りました」
「 おかえりなさい。二人とも!クロヤミカラスの駆除は、上手くいった? 」
笑顔で迎えてくれたのは、このギルドのサブマスターのエミリア・ガーネットさん。金髪に碧眼の美人でメリハリのきいたボディの持ち主。エミリアさんをあり大抵な言葉で表すなら、仕事の出来る女という言葉がぴったりな人だ。
「 上手くいきました。」
「 よかったじゃない。クロヤミカラスの羽毛。リリスが欲しがったよ。クロヤミカラスの羽毛は、守護魔法が付与された服を作るのにもってこいの素材らしいからね」
「 そうなんですか。じゃ、受付の人にそう言っておきますね」
仕事があるエミリアさんと俺らは別れて、ギルドの受付に向かった。
俺とひなは、ギルドカードを受付に提出する。俺は、クロヤミカラスの羽毛をリリスさんが、必要としている事を伝えると 受付の人は、魔石と一緒に買い取りしてくれ、リリスさんに羽毛が届くように手配してくれた。
受付の人は、キャッシュカードにそっくりなギルドカードを手元の端末のカードリーダーに通す。こうする事で、ギルドカードにクエストポイントが付与される。受付の人は、クエストの報酬と素材と魔石売上金を手渡してくれる。
「 はい。手続きは、終了しました。」
「 ありがとうございました。」
俺らは、受付から離れると、ギルド内にある預金所に向かう。ようするに銀行みたいな所だ。ここにお金を預けておけば、世界中にあるギルドでお金を引き出し可能だ。
「 あー。終わった。そろそろ、向こうに帰ろうか」
「 ひな、その前にヴァネッサさん所に行かんと」
「 あっほうじゃった 」
俺らは、ギルドをあとにし、アルジェの町を歩く。ギルドがある町の中心地から、少し歩くと寂れた地区に出る。
その一角に、大きくてメルヘンな家がある。家の前には、光輝く腰まで伸びた金髪。エミリアさんに負けないくらい見事な体型を、黒いワンピースで包み、頭には、三角帽子。ザ魔女といったスタイルの女性だ。
「 待ってたよ。ジンにヒナ」
ニヤリと魔女。いやヴァネッサさんは、俺らを出迎えてくれる。
「今日の依頼は上手くいったのかい?」
「 ええ!仁のおかげで、焼き鳥になりかけたけど、大丈夫でしたよ」
「 ああ、そうかい」
俺らは、こうやって成果を話ながら、家の中へ入っていく。
「 クロヤミカラスの駆除は、上手くいったみたいだし。次はタヌキモドキとか、良いかもな」
「 タヌキモドキですか?」
そりゃどんな魔物だ。本当、この世界ビミョーな名前の魔物が多いな。
「 まあ、名前通りなんだが、ただサイズは、熊くらいある魔獣だ」
「 それって、俺らのランクで受けれる依頼じゃない気がしますが」
俺の力説に、ひなもうんうんと力強く頷いてる。この世界の冒険者のランクは、E級 D級 C級 B級 A級 S級の6つの等級があり、ランクを上げるにはクエストをこなしてポイントを貯める。
クエストも等級が上がれば、当然危険度や難易度も上がる。
駆け出しで、にわか冒険者な俺らは、一番下のE級だ。
だから、タヌキモドキの駆除は荷が重い気がするんだけど。
「 大丈夫だ。バカデカイが、物凄く弱いんで、E級やD級の冒険者にも倒せるんだ」
「そうなんですか。じゃやろうか、ひな」
「うん。あっヴァネッサさん、いつになったら、ミカンのリボンの素材について教えてもらえるんですか?」
「 まだ早い。リボンの素材について知りたきゃ、せめて、D級になりな」
「 うう。わかりました」
話が一段落ついた所で、俺らは、日本へ戻ったのだった。




