挿話 ひなさんと仁くん、友人の秘密を知る。
長谷川ん家から俺の家へと戻った俺ら。
俺の部屋で、さっき聞いてしまった話について話してる。
「あの会話の事黙っとったほうが、ええよね?」
「 ん、まあの。言わんほうがええじゃろう。絶対今の関係が壊れる」
「 ほうじゃね。中2からの付き合いじゃし、親友と思ってるからね 」
そこまで言って、ひなは首をかしげた。
「 でも、真央はうちらの秘密知っとるよね?」
「 あれは、たまたま、お前や俺の血吸うとこを目撃したけぇじゃろうが。それに今回のとは、ちょっと性質が違うじゃろ多分。まあ、長谷川がさっきの事に気づいとったら、なんか話してくるじゃろ。それまでは知らんふりしとこ」
「 そうじゃね」
とまあ、今日の所は話はそれで済んだんだけど、翌日。長谷川があっさり話ししてくれた、というかあれは尋問だ。
「 お早う。真央」
「 お早う。ひなに仁くん」
翌日。俺とひなは、新年会の会場である学校近くのカラオケ店に、集合したんだ。約束の時間より、十分くらい早かったんだけど、長谷川は一番に来て待っていた。なぜか、怖い微笑みを称えて。
「 昨日、家に来てプレゼントだけ置いて帰ったのは、なんでだ?」
今の長谷川は、まるで男みたいだ。某探偵少年のセリフじゃないけど、見た目は、女子高生。中身は男子高校生って感じがするな。
さすがのひなも、長谷川の変わりように、ビビりつつ話しかける。
「 えっと、真央さん。口調が違うんじゃありません?」
「 そうだな。ここで話すのも、なんだから、中に入ろうぜ。渉が待ってる」
と長谷川は、俺らを促し、カラオケ店に向かう。もうすでに部屋をキープしてるという事なので、そのまま長谷川に連れられるまま部屋に入ると、渉が気まずそうな顔して待っていた。
「さて、二人の話聞こうか」
長谷川はそう切り出した。口調からすると、バレてもいいやって思ってるのかな。
まあそれはともかく、俺とひなは、昨日の事を話す。ひなの提案で、サプライズをしようと、長谷川の家に行った事。そこで、『 イヤ、俺が生まれ変わってさ』と言ってる長谷川を目撃して、気まずくなり、帰った事を話した。
ハアーっとため息をついて、長谷川は、再び話し始めた。
「 お前らさ、異世界転生とかの類いって信じる?」
「 えっと、異世界転生?って、ネット小説とかラノベで、流行ってるあれ?」
ラノベオタクのひなは、そう訊きかえしてる。確かに巷のネット小説は、異世界転生とか流行ってるけど、長谷川自身がそうだと言いたいんだろうか?
冗談にも程がある。って、吸血鬼の俺が言える事じゃないか。ひなの義妹に至っては、ネコミミ娘だしな。
「 頭がおかしいんじゃないか。って思うかも知れないけどな。俺は、一度死んで、転生したんだよ」
俺もひなも、黙って話を聞く。淡々と話す長谷川。元は、男子高校生だった事。
だけど、今から三年前。高校一年だった長谷川は、双子の妹ともにトラックに退かれて死んだけど、「 もう一度人生をやり直す権利」を得て、今の姿になった事を話してくれた。
「 ただな、勘違いしてほしくないんだが、この姿になったのは、『 だって 見てみたいんだもん 真央が、女の子になって生活したら、どうなるのか』ていう妹の理不尽な理由からなったんだからな」
「 ……なんか、私みたい 」
「 そうかも。でもひなのがましかな。あいつの場合、気に入らないと鉄拳が飛んできたからな」
長谷川はその頃を思い出したのか、苦い顔になったけど、「話、それたね」といつもの口調に戻して話を続けた。
「 ちなみに渉が知ったのは、私が告白してからね 」
「 あっそうなん、そいや、さっきまでなんであの口調だったん?」
俺の質問に、長谷川は答える。
「 ああしゃべった方が、納得してもらい易いかと思ってね。女の子らしいしゃべり方で、元男でーすって言うのに抵抗あったんだよね」
「 なるほどね 。でもあん時、男口調で話してたのはなんで?」
「 あれは、俺がリクエストしたから」
さっきまで黙ってた渉がそう言った。
「 でも、真央の秘密知っちゃって、悪いような気がするね」
と言ったひなに対して、長谷川は首をふった。
「 仁くんやひなの秘密知ってるのに、私の秘密しゃべらないのも、フェアじゃないって思ったから、話ししただけだから」
と鮮やかな笑顔の長谷川。晴れ晴れとしてるな。
これをきっかけに、俺らともっと仲良くなれそうだと、思ったのだった。




