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クリスマスが終わり、昨日、広島から帰った来たんだ。年末まで予定はない。
大掃除とかお正月の準備もしなくていい。
課題も広島にいる間に終わらせてしまった。だから今日は暇なんだ。
ただ昨日、行きと同様、美紀枝さんの車で帰るはずたった夕陽を、朝陽兄さんが引き留めたんで、夕陽がこの家にいるんだ。
夕陽がかまってって、言うかもしれないな。その時は、相手してやればいいって思ってたんだけどねぇ。
今の状況はいかがなモノかと思います。
リビングのこたつで、寛いでいるんですけど、夕陽が俺にくっついてくるんです。――正直、ある種の拷問ですよ。
油断してると、夕陽の胸に手とか当たりそうなんだ。男の子だった時なら問題ないけど、夕陽、今は女の子なんだ。
兄とはいえ、男に体をくっつけるなんてやっちゃ駄目だ。
「 ……夕陽さん、離れてくれませんかね?」
「 ん~」
「 ん~って、こまい子( 小さい 子)じゃないんじゃけ」
「 ん~ 」
不満そうな声を出しつつも、夕陽は離れてくれた。
それにしても、今日はいつになく、甘えてくるな。どうしてだ?
まぁいいか。夕陽もたまには、甘えたくなるんだろう。俺は、そう結論づけて、そのまま、こたつで寛いでいた。
だけど、ものの数分もしない内に、夕陽が、くっついてきたんだ。
「 だから、夕陽離れんさい」
「 ん~、頭痛い 。体温計どこ~?」
「 えっ、えっ? ちょっと待っとって」
ヤバい。頭痛は夕陽の病気のサインだ。
さっきも甘えてたんじゃなくて、体がダルくて、どうしようもなかったんだ。
もしかして、朝陽兄さんが夕陽を引き留めたのも関係あるのかな。
体温計を探しあて、夕陽に渡してやると、夕陽は自分で計った。
「 37℃ 」
体温計に表示された数字が、夕陽にとって、家で大人しくしてれば、良くなるレベルなのか、それとも入院を必要とするのか、俺にはわからない。
兄妹といっても、普段は離れて暮らしてる。正直わからない事だらけだ。
雫か晶ならわかるんだろうけどな。
とりあえず、朝陽兄さんに帰ってきて、貰うしかないな。
「 朝陽さんの言う通りじゃったか」
「 ひなさん。いつの間に」
さん付けで思わず呼んじゃったけど、なんでいるんだ?
ひなの手には、イレブンイレブンとドラッグストアのウオマツの袋が提げてある。
「 夕陽が熱出しとるかもしれんけぇ、様子見に行ってくれって、朝陽さんに言われてきてみゃ、妹の一大事にオタオタしよる仁がおるしねぇ」
と言いつつ、ひなは、ぐったりとこたつに身を預けてる夕陽を軽々と抱っこして、部屋へ連れていく。なんか遊び疲れた子を連れていくお母さんみたいだ。
「 ごめん。俺じゃなんもわからんけぇ」
「 そうでしょうよ。今日明日は、優さんも、瞳子さんもおらんのでしょ?じゃけぇ、夕陽を引き留めたんよ」
ひなは夕陽をパジャマに着替えさせ、ベッドに寝かせると、キッチンへ向かった。
「朝陽さんからの伝言。熱が37℃くらいなら、とりあえず様子みて。上がるようなら、すぐ連絡してくれって、まあ3時くらいまでには、帰るらしいよ」
「 わかった」
3時か。今は、お昼だから三時間くらいあるな。
「あと、ご飯はお粥だけしといてね。食べたがらなかったら、無理に食べさせんで、いいって。でも水分は取らせてね、ら。経口補水液とお粥、ここに置いとくけぇ」
ひなは、そう言って、イレブンイレブンとドラッグストアウオマツの袋を置いて、帰った。
正直なところ、ひなが来てくれたのは、ありがたい。
俺が料理しない事(というか出来ない事)を見越して、レトルトのお粥や経口補水液を用意してくれるし、俺がわからない事を適切に教えてくれたしな。
ひながいないと、俺は駄目なんだとつくづく思ったのだった。




