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服部ひなさんは、厨二病が、治らないようです。  作者: ねこた まこと
8 秋から冬へ。寒いけど、二人はアツアツです。

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12月の中旬。無事期末テストも終わり、あとは、冬休みを迎えるだけになったある日。俺は、拓人に誘われて、地元である桃宮市の駅前商店街へやって来ていた。


「 付き合わせて、ごめん。女の子にプレゼント買った事ないから、どんなのがいいのかさっぱりで」

「 ええよ、別に。どうせ俺もひなにプレゼント買わんといけんし」


そんな会話をしながら、商店街の外れにあるファッションビルへ向かった。

駅前商店街は、靴から下着に至るまで、揃える。

若い人向けのお店も多い。だから、ひなや夕陽にあげるプレゼントを買いにくるのには、持ってこいなんだ。

だけど、俺らが買いたい物は、ファッションビル内のとあるお店じゃないと、手入らないんだ。



「 だけどさ、今から行くところ。男二人じゃ肩身狭いかも」

「 じゃけど、この辺じゃあの店しかないんじゃろ?」

「 うん」


そんな会話を交わしながら、俺らがやって来たのは、ファッションビルの一角にある女の子向けの雑貨屋さんだ。

8割いや9割は、小学生から高校生くらいの女の子ばっかりだ。

たまに男の人もいるけど、保護者とか彼氏って感じだ。

拓人が言ってたように、男二人だと入るのが厳しい空間だ。

でも、ひなや夕陽が喜ぶ顔がみたいなら、仕方ない。


俺と拓人が、意を決して、女の子だらけの空間へ足を向けた時、1人の勇者が舞い降りた。



「 あっれー、音無くんに林原くんどうしたの?」


私服だったので、一瞬誰かと思ったけど野村だ。どうやら1人で買い物中みたいだな。



「 野村。いやな、ひなや夕陽に渡すクリスマスプレゼントを買いにきたんよ」

「 あっなるほど。で、買う物は、決まってるの?」

「 髪止めが欲しくて。でも選び方がいまいちわかんないんだ」

「 そっかリョーカイ。あたしと一緒にこっちに来て」


と言われるまま、女の子の群れの中を突っ切る。野村が連れてきた場所は、髪止めを扱うコーナーだ。隣は、ネックレスやイヤリングといったアクセサリーを扱うコーナー。多分ここが一番女の子の比率が高い。だけど、野村がいるお陰で、ここに居ちゃいけないという罪意識は、半減された。


「 うーん。ひなも夕陽ちゃんも、ごちゃごちゃした感じの物はさけた方がいいかな。特に夕陽ちゃん、話に聞く限り、あんまり派手なのは駄目っぽいね 」

「 あっうん」


確かに。夕陽の場合、元男の子というのもあるんだけど、可愛いすぎる物や派手物は、好きじゃない。


「 となると、この辺がいいかな」


野村が示したのは、リボンが付いたゴムだ。リボンと言っても、小さな子がつけるような感じではなくて、大人っぽいデザインが多い。色も紺やシックな赤が沢山あるんだ。


「 あっこれがいいかも」


そう言って、拓人が手にしたのは、ベロア素材の赤いリボン付きのゴムだ。

赤といっても、暗めな赤で、シックな感じだ。夕陽に似合いそうな色合いだ。

それにしても、拓人のやつ即決だな。

俺は、少し迷った。

紺のリボンと白いリボン。紺なら間違いがないんだけど、白いリボンもいいかなと思うんだ。でも子供っぽいかな。

でも、白いリボンには、思い出があるんだ。――ひなが覚えているかどうか怪しいけど。まぁいいか。白いリボンの方にしよう。


俺は、白いリボン付きのゴムを手に取ると、レジに向かった。

店員さんに、自宅用かプレゼントか訊かれたので、プレゼント用と答えて、ラッピングしてもらった。


野村に俺らは、礼を言って別れた。


クリスマス当日が楽しみだ。喜んでくれるといいな。そう俺は、思ったのだった。




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