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服部ひなさんは、厨二病が、治らないようです。  作者: ねこた まこと
8 秋から冬へ。寒いけど、二人はアツアツです。

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11月の終わり。12月を目前にして、世間はイルミネーションがキレイだのクリスマスだと騒がしいけど、その前に期末テストが待っている。

今日は休みだし、ひなと二人で勉強の約束してんだ。

――だけどさ、約2名程、君らなんでいるのって人がいるんだよ。


「 拓人。お前学校違うじゃろ、なんでおるん?(いるの?)」

「 妹と妹の彼氏に、勉強教えてくれって言われるのが、嫌で避難してきたんだ。僕も期末近いからね。仁のとこならゆっくり勉強させてもらえるかと思ってさ」

「 あっほうなん。で、夕陽はいるの?」

「 俺は、雫ちゃんから逃げてきたの……勉強してて、わからない所を教えてもらおうとしたら、お礼にゴスロリの服を着ろって言われたから。それが嫌で勉強道具を持って、避難してきたん」


なるほど。そりゃ逃げて正解だ。

雫の事だ、夕陽を着せ替え人形にして遊ぶだろうな。遊びに行く予定の無い休みは、勉強に当てたい夕陽としては、たまったもんじゃないよな。


だからじゃないけど、四人で勉強会という形になった。

ちなみに、俺の部屋には真ん中に折り畳み式のテーブルと俺の学習机があるのみ。だから、俺の学習机には、俺とひな。折り畳み式のテーブルには、拓人と夕陽を使って勉強をする事になった。


俺とひなは、お互いにわからない場所を教え合い、拓人と夕陽は、拓人が時々夕陽の勉強を教えるという形になったんだけど、まあなんというか、この空間やたらめったら、空気が甘い。

第三者が見たなら、口から砂を吐きまくりそうだと言われても、仕方ないかもしれない。


「 拓人さん、ここ教えて」

「 ここは、この公式当てはめるんだ」

「 わかった。ありがとう」


拓人と夕陽を観察してたら、二人のほのぼのとした光景に、思わずほわんとしてしまう。

特に、拓人が終始和やかな笑顔なんだ。

普段はクールなイメージだから意外に感じてしまった。


こっちはこっちで、


「 ねー、仁。これ何ていうんじゃったっけ?」

「 あん、日本史の教科書見いや」

「 わかったって、日本史の教科書忘れたけぇ、見して?」

「 しゃあないの。ほれ」

「 わーい。仁ありがとう」


ひながめったに見せない、可愛い反応が見れた。

そんな感じで、勉強会は進んでいった。





「お前ら、ラブラブな空気を醸しながら、勉強するのもええが、頭に栄養与えるの忘れなや」


とノックもせずに、部屋に入ってきた朝陽兄さん。スーパーで買ってきたらしいピザと、ウーロン茶のペットボトルを提げてる。

どうやら、お昼ご飯を持ってきてくれたらしい。

めったに、こんな気を使わないのに、珍しい。――槍が降ってきそうだな。

最もそう思ったのは、俺だけじゃないらしく、夕陽がこう言った。


「 兄貴がこう事するなんて、珍しい。明日、台風来るかも」

「 そんな訳なかろう。俺だって、ちいたあ(ちょっとは)気きかすわい」


心外だと言うような顔で、朝陽兄さんは、ウーロン茶のペットボトルを床へ置く。

拓人と夕陽が勉強道具を退けて、朝陽兄さんから、ピザを受け取り、容器を開けた。


「 俺は下におりるけぇの。足りんかったら、冷蔵庫から好きな(もん)出して食べぇや」

「わかった、ありがとう」


朝陽兄さんは、部屋から出ていった。

意外な光景に驚いて、呆けてた俺らだったけど、ひなが、ピザのトレーの蓋を開け始めた。



「 冷めん内に食べようか」


ひなが、そう言ってウーロン茶を紙コップに注ぐ。

我に返った俺は、あわててそれを手伝った。


ピザを食べながら、ひなが思い出したように、口を開いた。


「 急な話じゃけど、クリスマス。私の実家でクリパやるんじゃけど、林原くんと夕陽も来ない?」

「 えっ、僕が行っても大丈夫なやつ?」

「 勿論。パーティーって言っても、身内だけの無礼講。じゃけ大丈夫」

「 じゃ、お邪魔させてもらおかな」

「 良かった。うちの親に伝えとくね」


ひなは、早速スマホでメールした。


「 そいや、なんでひなのお母さん、クリパに拓人や夕陽を呼ぶ事にしたん?」

「 んー。母さんや父さんからしてみりゃ、夕陽って娘も同然じゃん。あの家族が亡くなった後、しばらくは、家の親が面倒みてたからね」

「 あっそれで」

「 そっ、娘に彼氏が出来たら、絶対家に呼ぼうって決めとるって言ってからね。じゃけ、林原くんを呼んだんじゃない」


ひなは、クールに答えた。ひなの両親。特に政治さんは、娘に彼氏が出来たら、ものすごく喜ぶという珍しいタイプだ。

だから、娘も同然の夕陽の彼氏にちゃんと、会っときたいという気持ちがあるのかも。


でも、政治さんはかなりの変わり者だから、拓人がどんな目に会うのかと思うと、今から楽しみじゃない、心配な俺だった。


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