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服部ひなさんは、厨二病が、治らないようです。  作者: ねこた まこと
8 秋から冬へ。寒いけど、二人はアツアツです。

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10月の終わり。中間試験も終わったとある昼休み。

久しぶりにどっかに行こうかという話になったんだ。だけど、ひとつ問題があるんだ。


「 どっかに行こうかって言うたは、ええけど。どこに行こうか?」

「 秋なだけに、安芸の宮島?」

「 うわっ!さぶ。バリ寒いわ!」


ひなはそう言って、椅子に引っかけてたカーディガンをセーラー服の上に羽織ってる。


「 仁の親父ギャグはええとして、宮島は遠いじゃろ。うーん、ここらで遊べる所言うたら、中島水族館くらい?」

「中島水族館って、バスで一時間位の所にあるんじゃったっけ?」

「 うん。私は中学の時、遠足で行ったけど」

「ほうなん。でどうじゃった?」

「 普通。あっでもスナメリが、ぶり( すごい)可愛いかったよ」

「 ふーん」


俺は適当にうなずきながら考えていた。

水族館か。いいかも知れない。

隣町のショッピングモールや桃宮市の駅前商店街は、服や靴から雑貨まで一通り手に入るし、若者向けのお店が充実してるから、デートの場所としては最適なんだけど、俺もひなも中学から何度も行ってるから、正直飽きてるんだ。

たまには違う所もいいかも知れない。


「 ひな、水族館にしようや。俺、中島水族館って行った事ないんよね」

「 ほうなん。じゃ行こう!」


かくして、俺はひなと水族館へ行く事が決まったのだった。


―――


月が変わり、十一月最初の連休。

俺達は、バスに乗って中島水族館へとやって来た。

中島水族館は、テレビで見るような大きな水族館と違い、こじんまりとした水族館だ。

だけど、県内唯一の水族館という事もあってか、主に家族連れで賑わっていた。

ちなみに今日の俺達は、学校の制服だ。

ひなは、紺のセーラーカラーに赤いリボンタイのセーラー服。その上には、十一月から解禁になった紺のカーディガンだ。

俺は、普通の学ラン。ただ家族連れが多いから目立ってるかも知れない。



「 前来た時も思ったんじゃけど、なんで普通の魚を見たら、真っ先に美味しそうって思っちゃうんだろうね」

「 俺なんか、さっきカキ筏のコーナーを見て、これ食べれるんかなって思ってしもうた 」

「 ほうなん」


二人でそんな会話を交わしながら、展示を見て回る。

魚に関しては、食べれるだ食べれないだという、なんとも食い意地の張った感想を述べてた俺達だった。

だが後半の展示は主にひなのテンションが違ってた。

動物大好きなひなにとってはパラダイスらしく、はしゃぎまくってた。


「 コツメカワウソ!可愛い 動きがぬるぬるっとしとる」

「 ぬるぬるっとって、どんな動きやねん」

「 ええじゃん! あっスナメリ!行こう」

「 あーハイハイ」


ハイテンションなひなに、若干引きずられるように、俺は、スナメリの水槽へ向かった。


「 スーナーメーリー」

「 ……何じゃい、その喜びの表現の仕方は」



周りからクスクスと笑い声が聞こえる。

セーラー服姿の女子高生が、べったりと水槽に引っ付いて、「スーナーメーリー」なんて言ってたら、注目の的だろう。

でもひなは、気にならないらしく。

五分くらい、水槽に引っ付いていた。


「 満足したー」

「俺は、恥ずかしかった」


そんな会話を交わしながら、ペンギン、トドのコーナーを回っていく。

途中ふれあいコーナーなる物が、あったけど、生き物に触りたくないという理由からそちらは、スルーした。


「 うひゃひゃ!満足、満足」

「 そりゃ、ようござんした」


例のうひゃひゃ笑いをしながら、お土産コーナーで、物色するひな。

スナメリのぬいぐるみと栞を自分用に買い、クッキーを買って、実家に送るように手配してた。俺は、妹達に何か買おうかと思ったが、雫も晶も可愛い物とは無縁だ。唯一、夕陽が最近ぬいぐるみ集めに夢中とかって母さんから聞いてたんで、ひなが買っていたスナメリのぬいぐるみを買った。

今度実家へ帰った時にでも渡そう。


「 ねーねー。仁」

「 何?」

「 これあげる」


帰りのバス。ひながお土産の入った袋から、スナメリのストラップを渡してきた。


「 ちなみに、私とおそろい」


とスマホを見してくる。スマホケースのストラップホールからは、笑顔のスナメリがぶら下がっている。


「 婚約したけど、指輪無いし、じゃけど、指輪はしたくないんよね。だから、ストラップにしてみました」

「 あっほうなん。ありがとう」


ひならしいチョイスだ。俺は、スナメリのストラップをスマホケースに付けてみた。

ひなは、ご満悦そうな笑顔で俺を見ていた。


後日、スナメリストラップを発見クラスメイトに見つけられ、からかいのネタにされたのだった。





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