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服部ひなさんは、厨二病が、治らないようです。  作者: ねこた まこと
7 文化祭だよ。全員集合。

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文化祭二日目だ。今日は、一般にも公開され、学校内には保護者や他校の生徒らしき人も沢山いる。

うちのクラスのメイド&執事喫茶は大好評だ。

お陰様で本日は昨日以上の忙しさです。



「 お嬢様、行ってらっしゃいませ~」


俺は、すっかり板についてしまった笑顔でお客様を送り出す。

ひっきりなしにお客は来てたけど、今はお昼前だ。メニューにマフィンくらいしか食べ物が無いから、しばらくはお客来ないかもな。

なんて事を考えながら、気を抜いていたら、声をかけられた。



「 仁、よお似合っとるで」

「 本当に。ドラマに出てた桜野くんみたいよ」

「 そうねー。ひーちゃんがいないのが、残念だけどね」


うちの両親とひなのお母さんだ。

やっぱり来たか。午後一であるイベントに出るから見に来てくれって、頼んだから来るのは当然か。


その事を思い出すと胃の辺りが重くなるけど、とにかく今はメイド&執事喫茶の当番に集中しなきゃ。


平常心をフル活動させながら、親父達を案内する。


「 ご主人様、お嬢様。お帰りなさいませ! お席はこちらでございます」

「 どうも」


案内された席に、笑いを必死にこらえながら、三人は席に着いた。俺が緊張してるのを丸わかりなんだろうな。

一応事前にメニューは教えていたからか、三人供さっさと注文をしてくれた。

三人の応対を終えると、当番に戻ってきた野村と交代する。去り際、野村がニッと笑い、頑張ってねと言ってきた。

余計にプレッシャーなんですけど。



―――



俺は昼を食べると、体育館へ向かった。

入り口には、『中高生(なかこうせい)の 告白大会! 飛び入りも可』という看板が立て掛けてある。

昔、バラエティー番組でやってたコーナーを真似したのが始まりらしい。

以来、うちの学校の文化祭ではメインイベントになってるらしい。

一応飛び入りの参加も認めてるけど、そこまで勇気のある人はいないみたいだな。事前に申し込んだ人だけみたい。


まあその方がありがたい。ひなとは婚約者という間柄だけど、実は俺からひなに告白はしてない。

6月のあの事件から、自然と付き合うようになっただけだ。


だから、この場であらためて告白しようという訳だ。



『 さあ、今年も告白大会の時間がやってまいりました。 今年は、どんなドラマが待ち受けているのでしょうか。始めは、1年3組の音無仁くんです。どうぞ。』


司会を務める実行委員から名前を呼ばれて、俺はステージに上がった。

うわあ。ぶり(すごい)緊張する


在校生はもちろんの事。ちらほらいると一般の人も俺に注目している。

当然俺の両親とひなのお母さんもいる。



その中1人、ひなが仏頂面で俺の事を見ている。

俺は深呼吸をして、中央に据えられたマイクを持って立つと大声でひなに告白する。


『 服部ひな。小学生の頃から好きでした。めっちゃ、ヘタレな僕ですが付き合って下さい』




シーンとするなか、ひなが仏頂面のまま人をかき分けて、ステージに向かってくる。


慌てた実行委員がひなを遮るが、ひなはひと睨みして、実行委員を遠ざけた。


ヒラリとひなは、ステージに上がると、俺の手からマイクを奪い、ステージの壁際まで俺を追い込むと、いわゆる壁ドンのポーズになって、こう言った。


『 付き合っても、ええで』



歓声が体育館に響く。こうして、俺の生まれて初めての告白は幕を閉じた。


しばらく俺は、女に壁ドンされた男として噂されたのは言うまでもなかった









文化祭編は終わりです。次はひなの幼い頃の話を挟んで、本編に戻ります。

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