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始業式の翌日。 五時間目 六時間のロングホームルームを使用して、文化祭の出し物について話し合いをしてるんだ。
前で仕切ってるのは、一学期に引き続きクラス委員の渉と長谷川だ。
「 この時間は、十月の中旬にある文化祭の出し物について話し合います。なんか意見ありますか?」
司会役の長谷川が教室中を見渡すと、すっと一人の女子が手を挙げた。昨日ひなに詰め寄った信田だ。
「 はい、私メイド喫茶がやりたいです」
「 メイド喫茶。他には?」
その他、コスプレ喫茶や無難なたこ焼きや綿菓子などの食べ物の屋台という意見が並んだ。
この三つが候補となり、多数決となった。メイド喫茶がたこ焼きや綿菓子と圧倒的な差を付けた。なのでうちのクラスはメイド喫茶だ。
長谷川が最終的に意見をまとめようとした所で、意見が出た。
「あの自分で言っといてなんだけど、メイドだと女子ばっかりが表に出る事になるじゃない? だからメイド&執事喫茶にしたらどうかなって思うんだけど」
「 いいね。メイド服着た服部の横に執事の服着た音無くん並ばせるの。桜野くんみたいにドSな執事とツンデレ系のメイドさんいいかも」
なんか変な方向に話し合いが進んでるんですけど。
信田をはじめ一部の女子と若干名の男子が盛り上がってるよ。
メイド喫茶に乗り気じゃなかった連中までもが、その気になってるし。
――もしかせずとも、俺に執事やらせるのが目的なんじゃないか?
結局最終的にメイド&執事喫茶になった。
ただし、執事役に名乗りを上げたのは、男子じゃ誰もいやしなかった。
なんか納得いかなないが決まったのでやるしかないな。
だけど問題は、二日間あるうちの二日目だ。
うちの学校の文化祭は二日間に渡って行われるけど、一日目は非公開で生徒と先生のみなんだけど、二日目は一般公開され、保護者や他校の生徒なんかも来るんだ。
その日に、俺の家族やひなの家族が来た時の反応が恐い。多分死ぬほど大笑いされるに違いない。
そう思うと、胃の辺りが重くなる俺だった。




