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服部ひなさんは、厨二病が、治らないようです。  作者: ねこた まこと
6 仁くんとひなさんの夏休み

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広島から帰って数日。ひなの機嫌が治ってない。その証拠に。



「 たく、ひなのやつ今日も連絡してこん!」


課題を済ませた俺は、ベッドに寝転がりスマホをチェックする。

今朝、無料通話アプリでメッセージを送った。「既読」は付いてるのにな。もしかして、噂に聞く「既読スルー」か?マジかよ。


「だいたい、夕陽と拓人が付き合ってるの渋々了承してるだけで、納得出来ないんだよ」

「 心が狭い人ですねー。だから、ひなお姉ちゃんに愛想つかされるんですよ」

「ミッミカン? なんでおるん?」

「なんでって、夕陽がこっちの戻って来たて聞いたから」

「 じゃけ言うて」



ミカンははいつぞやみたいに天井にくっついているんだ。……ヤモリじゃないんだから。

そもそも、いつの間に入ってきたんだろう?

俺がそんな風に考えていたら、ミカンは壁を伝っておりてきた。


「んしょと。今、どうやって入ったんだ。とか思ったでしょ? 普通に玄関から入りましたよ。だけど、仁さんの反応見たくて天井にくっついてみました」

「 あっそ、にしても。夕陽がこっちに戻って来たって言うとったけど、朝陽兄さん何にも言うてなかったけどな」

「 そりゃそうですよ。夕陽が思いつきで、今日来る事にしたんですから。彼女が家を出たってメールくれた時間から計算して、家を出てきたつもりだっけど早かったみたいですね」


ミカンはそう言うと、何故か俺の手を引っ張り部屋から出ていく。抵抗しようかと思っても、よく見たらミカンの意思に背いた行動を取ると、電気が走るという魔法がかけられていた。下手に抵抗しないほうがいいな。

そのまま一階へ連れていかれると、夕陽がいた。


「 ただいま、仁」

「 おっお帰り」


ニヒーと上機嫌な笑顔で俺に挨拶してきた。

何故思いつきで帰って来たんだろう?


「 あのね。この服ね、拓人さんが可愛いって誉めてくれたんよ。だから仁に見せに来た」


ニコニコ顔の夕陽。確かに可愛い。白くて袖口がフワリとしたTシャツに紺のスカート。シンプルな組み合わせだが、そのシンプルさが夕陽の可愛いさを引き立ててる。

だけど、拓人に誉められたというのが気にくわない。


「 別に見せにこんで(来ないで)ええじゃろ。だいたい、拓人にお前の秘密を話しとらんのじゃろ? 拓人にお前の秘密話したらどんな反応するかの?気味悪がられるかも」


と言って後悔した。だけど後の祭り。

夕陽の大きな両目にみるみる水滴がたまる。

ヤバい。地雷踏んだ。


「 うわあーん。仁の馬鹿。そんくらい分かっとるよ。俺がいっちゃん(一番)気にしとる事言わんといてや」



グシャグシャの泣き顔のまま夕陽は、家を飛び出してしまう。

――俺はなんて事言ったんだ。夕陽が言う通り、夕陽自身が気にしてる。心が狭い。ひなに愛想つかされるのも当たり前だ。


俺は夕陽を探しに外へ出ると、すぐに見つかった。

玄関先に植えられてるハナミズキの側でぐずぐず泣いていた。


「 夕陽、ごめん。俺が悪かった」


夕陽が無言で抱きついてきた。しばらくぐずぐず泣いてたが、しばらくすると元通りの夕陽になって許してくれた。

――パーケンダッツのアイスクリームを買わされたけど。

なおこの様子は、ミカンの携帯のカメラでばっちり録画されており、ひなに見せられたてた。

まあだからじゃないが、ひなの機嫌も元通りになり、こちらとも和解は出来たのだった。








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