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今日から夏休みだ。部活に大量の課題もあるけど、明後日はひなと遊びに行く約束もあると喜んだのものつかの間。俺の部屋には居なくていい人達がいる。
「 雫、晶なんでお前達がおるん?」
「 いちゃいけん?」
「 夕陽がいなくて暇なんだもん」
「 あのな」
夕陽以外の妹達だ。暇だから、買い物にでも連れ出すつもりか? 現にこいつらの服装、遊びに行く時用の服だ。いつもなら、二人ともTシャツにデニムパンツ。だけど、遊びに行く時しか穿かないスカート穿いてるんだよ。
だが俺にはそんな暇はない。
特に今日と明日は、課題を少しでも片付けておきたい。
だから実家に戻ってほしい。さてどうしたものか。
――とりあえず頼んでみるか。
「 なぁ今日はお前らの相手しとる暇ない。じゃけ、帰って」
「「 えーイヤ」」
やっぱり。こいつらいっつもそうだ。
普段俺に対する扱いが酷いくせに、俺が相手出来ないもしくはしたくない時に限って、こうやってすりよるんだ。
「嫌じゃ言うても駄目! 俺は今日明日で
出された課題を少しでも片付けときたいじゃけ、帰れ!」
ピシャッと言ったせいか、二人はシュンとなった。だけど、それも一瞬だ。
「 ひな姉と遊びに行く約束があるけぇ、課題片付けときたいんじゃろ? 」
「 えーそうなん?」
「 えーほうじゃ、いけんか? ひなと遊びに行く約束があるけぇ、課題片付けたいんじゃ。当たり前じゃろ」
開き直りそう答えてやる。どうせ難癖つけて、俺の邪魔する気なんだろうな。
まあいい。こっちにも最終兵器あるし。
「 彼女と遊びたいだけで、課題片付けるのって変だと思う。ねー晶」
「 うん」
やっぱりなー。こういう時、夕陽がいたなら『 別にいいじゃん。二人とも勉強せんのでしょ? 俺も一緒にするから、二人とも邪魔せんといて』と言ってこいつらを遠ざけてくれるんだけどな。
今はその夕陽もいない。だから最終兵器のお出ましだな。
「 まあ、おってもええよ( いてもいいよ) その代わり、ひなん家の草刈り手伝いに来てくれるよな? 」
「 えっ?」
「 暇もて余してるんじゃろ?ええじゃん。ひなと遊びに行くけどな。その前に、草刈り手伝いせんといけんのよ」
「 草刈りって、服部家が所有してる農地の?」
「ほうよ。他にどこの草刈りするんね?」
「うっ」
二人とも黙りこむ。服部家の所有してる田んぼ。先祖代々受け継がれてきたらしいが、今お米は作っていない。だから、原っぱ化してしまってる。
周辺の山と一体化を避ける為にも定期的に草刈りする必要がある。
服部家の人々が総出で作業しても、終わる広さじゃない。だから毎年、人手を募るんだけど、今年は足りてない。
こいつらを引っ張り出そうかなと思ったんだ。
「やっぱり帰る」
「 うん、あの服部家の人々に指示されながら作業するくらいなら、家に帰ります」
と言ってこいつらは退散した。
人手は逃したがまぁいい。服部家の人々の人使いの荒らさときたら半端なものじゃないからな。
こうしてこの日俺は1日課題に専念出来たのだった。




