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服部ひなさんは、厨二病が、治らないようです。  作者: ねこた まこと
4 仁くん妹の夕陽ちゃんの事情。
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4


「 あっそか。皆、泊まったんじゃった」


俺のベッド下に、床にひいた布団の上で、学校指定のジャージを着た三人の男女が死体の如く転がってる。

俺の家に泊まった長谷川と渉。それとひなだ。


7月の初めの週末。差し迫った期末試験に備えて、俺の家に集まっての勉強合宿だったんだけど昨日は金曜日。部屋のテレビで野球中継を視ながら、地元球団の応援に夢中になって、ほとんど進んでない。


「 んっ? 朝? 」


床にひいた布団から、ノゾノゾと起きる長谷川。かぶっていた毛布を丁寧にたたみ、一つ伸びしてから立ちあがった。

――さっきから、気になって仕方ないんだけど。



「 お早う。長谷川。つか起きとる?」

「 お早う。仁くん。うん、起きてるよ、ほら。」


ほらって、目開いたつもりなんだろうけどさ、ほとんど開いてないじゃん。目開いてないのにどうやって動いてんだろ? 謎だ。

俺が、そんな事を考えてる間も長谷川は、器用にまだ意地汚く寝ている渉やひなを、踏まぬようふらふらと、部屋から出ていく。

余談だけど、年頃の男女が同じ部屋で、雑魚寝状態なんて、問題ありなんだろうけど、俺らにやましい事なんてしてない


そのうち、ひなと渉も起きてきて、顔を洗い、ひなと長谷川は、朝食の準備、俺と渉はその手伝いなんだけど、手伝い中、俺は、失敗する度にひなから何度もお尻に蹴りを食らった。一応彼氏なのに、扱いがひどい。



「 いつになく、豪華な朝食だな」


朝食の準備が出来た頃、起きてきた朝陽兄さんはそう言う。


いつもは、トーストと目玉焼きだけど、今朝は、ご飯に焼き魚と味噌汁。それに、プレーンオムレツに温野菜サラダがテーブルにズラリと並べられてる。

ひなと長谷川が、お互い得意な物を作った結果こうなった。

組み合わせにやや難がある気がするけど、美味しそうだ。


「 そういや、いつも週末は、冷蔵庫すっからかんなのに、今日は、珍しく野菜や玉子がきちんと入っとったね。なんで?」


いつも週末、この家に来て、おかずの作りおきをしてくれてるひなが、朝陽兄さんに、質問してる。


「 それは、真央ちゃんみたいな可愛い娘がご飯を作ってくれるって言うから、はりきって、買い物してみた」

「へー、そっすか」


朝陽兄さんのセリフをサラリと、長谷川はスルーした。そういや、長谷川って、たまにこうやって、男っぽいセリフが出るときがあるよな。どうしてだろ?


そんなやり取りの後は、スムーズに朝食を終え、片付けのあと、皆で勉強してた時だ。


「 仁、スマホ鳴っとるよ。」

「 サンキュー 誰じゃろ?」


ひなから受け取ったスマホの表示を見ると、親父だ。――珍しい、メールもしてこないのに、なんかヤバい事でも起きたか?


「 もしもし、どしたん?」

『 仁、試験前で悪いんじゃが、今すぐに帰ってきてくれ。夕陽が倒れた。』


スマホから聞こえてくる親父の声が、震えてる。夕陽には、生まれた時から原因不明の病気による発熱でしばしば入院してる。

親父が震えた声を出すくらい、夕陽の容態はよくないんだろうか?


「 わかった。すぐに帰る。」


俺は、スマホでの通話を終えると、渉達に事情を話して、勉強会を中止した。

俺は、取るものもとりあえず、実家に向かったのだった。




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