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土曜日の午後。自宅の最寄り駅である中島駅で拓人と待ち合わせをしてるんだけど、余計な人物が一人。
「 ひな何でおるん?」
「 別にええじゃん。 おっても。」
半袖の白いTシャツに七分丈のデニムパンツ姿のひなは、そう言って帰らない。
拓人から相談を請け負った身としては、
破天荒女を遠ざけたい。何を仕出かすかわからないからだ。
――まあ、破天荒って言うんなら、雫も似たようなもんだから、こいつがいても大丈夫かな。
「 よっ! 仁、それと服部さん。」
何故か苦笑いしながら、改札口から拓人が出てくる。なんでかと疑問に感じてたら、拓人の後ろに、ぴったりとくっついて歩く女の子。 俺の妹の夕陽だ。
身長145センチと小柄な体と肩の手前まで伸びた髪と大きな目が特徴の女の子だ。
「 着いてきちゃったんだよ。」
「 拓人さんだけ行くのズルい。俺も仁に会いたいから、着いてきた。」
眉をへの字に曲げて話す夕陽。俺に会いたいってのは、嬉しいけど、セリフの冒頭がお兄ちゃん気になるんだけど。
「 夕陽。拓人の事いつの間に、下の名前で呼ぶようになったのかな? 」
「 昨日から! 」
さっきと売って変わって、満面の笑みで答えるのは、どうしてかな? 大体拓人の恋の悩み相談じゃなかったか?
ジロリと、どういう事だよという意味を込めて親友を睨んでやると、親友は目を反らす。――とことん話してもらおうじゃねぇか。
「 いやぁ、そのね。うん。」
「 ここで話すのもなんじゃし、仁の家に行こうか。ねっ? 」
「……わかった。」
ひなの一言にどこか救われたような顔の拓人。その拓人の手を嬉しそうに、握ってる夕陽。――お兄ちゃん気に入りません。会わない間に、なんでそんなに仲良くなってんのかな?
自宅までの数分間モヤモヤした気分だった。
「 拓人、洗いざらい話して、もらおうかいのう。」
自宅のダイニングキッチンに入るなり、俺は、拓人に尋問を始めた。
「 あんたーね、やめんさいや。なんぼ (いくら)気に入らんいうても、そんな態度で、林原くんを問い詰めんのよね!林原くんが話づらいじゃろうがね!(話づらいでしょ)」
ひなは、お茶を俺と拓人に出しながら、まっとうなツッコミを入れた。
「 わかっとるけど、俺には、べったり引っ付かんのに、なんで拓人には、あんなにべったりなん! 納得いかんのよね!」
そう夕陽は、拓人の側に座ってニコニコしてるんだ。――そりゃ夕陽の兄貴になってからは、日が浅いけど、妹なんだから、男の子と一緒にいるのを見て面白いはずがない。
夕陽は、もともと俺のいとこだ。詳しい話は、またするけど、色々あって、最近男の子から女の子になったんだ。それが理由ではないけど、夕陽はうちの養女になった。
「 それで、この間話した事なんだけど、君の妹を好きなった。というか、ご覧の通りなんだけど。」
「 うんうん。ウチラと同じように付き合う事になったってとこか」
ひなが俺の代わりに返事してるし。
「 うーん。半分正解かな。」
「「どういう事?」」
俺とひなは、同時に質問してしまう。
「 付き合ってるのは正解何だけど、付き合うように仕向けたのは、瞳子さんなんだ。」
「 ありゃまあ。」
「 母さん。」
俺とひなは、それぞれ呆れともなんとも言えない声を出してしまった。
「 あのさ、1から説明してくれん? 」
「 うん。」
拓人は、こうなった経緯を話始めた。




