1
「目が覚めたら、女子にされてた俺」の裏話というか補完的な話です。
ひなの騒動から数日たったある日の事。
「 なんじゃ、これは。」
課題も復習も終えた俺は、ベッドに寝転んで、スマホで動画を見ていたら、拓人から、無料通話アプリで、メッセージが送られてきたんで、開いてみたら、上のセリフになったんだ。
――だって、涙目のひなに、俺に抱きしめられて、うつむいて真っ赤な顔のひなの画像。ってこれ全部入れ替わってた俺じゃねぇか。
いつの間に撮ってやがんだよ。こんな画像!
俺は、即座に拓人の野郎にメッセージを送ってやる。
『 拓人 てめー、いつの間に画像撮ってやがんだよ。つか、イチイチ送ってくんな!』
怒りを表すスタンプを付けて、メッセージを送った。程なくして、拓人から返信された。
『 ごめん。あの勘違い野郎と話してる間に、ちょっと撮っちゃった。』
土下座ポーズのスタンプ付きで、返信してきた。――なんかあるな。照れ隠しなのか何なのかよく分からないんだが、拓人は、時々こういう訳の分からない悪乗りをしてくる。大概、悩みがある時だ。それも恋愛絡みの。
『 拓人、お前また誰か好きになったん?俺達のめちゃめちゃな計画に乗ってくれた礼じゃないけど、相談にのろうか?』
ストレートだが、こうやって訊いたほうが、何気にプライドの高いあいつは口を割る。
『 そうだよ。非常に言いづらいけど、君の妹を好きになったんだよね。』
とご丁寧に画像付きでメッセージを送ってきた。って。
「 なんじゃ、これは。」
本日二回目だぞこのセリフ。肩につくつかないまで伸びた髪。クリクリとした大きな目。ただ、少々不機嫌なのか眉間にシワがより、口はへの字に曲がった顔の女の子。一番下の妹 夕陽だった。
てっきり雫だと思ってたけど、よくよく考えてみたら、雫の性格を知っているあいつが、間違っても雫を好きになる訳がない。
「 そういや、三城病院で会った娘と仲良くなったとか、言ってたな。」
俺は、拓人に詳しい話を聞きたいという旨のメッセージを送信した。
『 今度の土曜日の午後に僕がそっちに行くから、駅で待ち合わせしよう。」
まるで、デートのお誘いみたいだな。
まぁいいか。了解とだけ打つと、メッセージを送信した。




