表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
服部ひなさんは、厨二病が、治らないようです。  作者: ねこた まこと
3ひなさんが告られたもようです……そして仁くんも厨二病。
18/70

7

「離してや!」


休日の商店街に響く少女の声。ひなと入れ替わった俺が発したものだ。

周りの人に助けを求めるつもりで、発した言葉だが、面倒事に巻き込またくないのか、通りががった人は、皆素通りしていく。


くそ、見た目は、優男のくせに意外と力がある。『 君との素晴らしい未来』とか聞いていてドン引きするような話をしてたと思えば、いきなり腕を引っ張りやがる。


「 ――大人しくこっちへ来てくれないか? さっきから三人の男が、僕達の後をつけてるんだ。」

「 嫌です! 大体今日のデートだって乗り気じゃないし、告白だってお断りしたでしょう! 」

「 僕は、納得いかないな。君の好きな人というのは、音無 仁の事だろ? 旭ヶ丘には、知り合いがいてね。ちょっと調べさせてもらったんだよ。何をやっても、()より劣った駄目なやつって言うじゃないか。そんなやつ、君には、ふさわしくないね。」

「 なっ」


――どうせ俺は、雫より劣ってるよ。悔しくて、唇を噛みしめてたら、背後から三人分の怒りのオーラを感じた。



「 悪かったっすね。妹より劣ってて。」

「 あんた、仁の事何も知らない癖に、好きな事言ってますね。 仁が劣ってるんじゃなくて、仁の妹が規格外なだけですよ。」

「 ひ、じゃない。仁! 林原くん?」

「 ひな、そがな( そんな)アホな奴からはよ離れろや。」


演技じゃない怒り浸透しきった声で、俺が新井先輩から離れる前に強引に手をひなは、引っ張り見せつけるように、抱きしめる。あまりも自然な行動だけど、かなり恥ずかしい。思わず下を向いてしまう。


「 黙って聞いとりゃ、好き勝手な事言うてくれるじゃないですか。拓人の言う通り、俺の妹は規格外なんすよね。いわゆる天才ってやつで。凡人の俺がアイツに敵う訳ないでしょ。どっから、情報得たのか知らないけど、他人の評価だけで、俺の事知ったつもりにならんといてもらえます。つか、こいつ俺のもんなんで、今後一切関わるのやめて欲しいんすけど。」

「 君こそ!勝手な事言ってるじゃないか。服部くんの意思確認してないじゃないか!」


――自分の事棚に上げるなよ。

そんな事を考えていたら、渉が’’ニタア”っと凶悪な笑顔で、新井先輩に近付く。


「 新井先輩。あなたがそれ言いますか。

俺の(つら)忘れた訳じゃないですよね?」

「 お前は、橋田渉」

「 お久しぶりです。先輩。いやー、あの時の事件以来っすね。俺の彼女 長谷川真央にストーカーして事を認めて土下座した時以来ですかね。」

「 うう。」


長谷川にストーカーしてた?? 初耳だぞ。


「 マジで?キモいな。」

「 うわ最悪だな。渉の彼女にストーカーしてた挙げ句に、今回は服部さんを無理やり彼女にしようとしてたって。」

「 実はさ、仁達からこの話聞いた時から、どうにか復讐出来ないかなって思ってたんだよな。真央からは、復讐しないでねって言われてたけどさ、俺的には納得出来てなかったからな。今回の事に便乗したんだよ。ごめん」



両手をあわせて謝る渉。普段人を悪く言う奴じゃないから、ずっとこんな事を考えてるとは思わなかったな。


「 いや、別に。謝る事じゃない。それより、はよご飯食べに行こうや。腹へった。」

「そうだね。」

「だな。」


途中から作戦とは、違う流れになったけど、結果オーライってことでいいのかな。

渉の爆弾発言で呆けたままの新井先輩を残して、俺達は、商店街を後にした。

ひなは、抱きしめてた俺を離したけど、その代わり手は、ずっと握ったままだった。絶対にはなさない。そう言ってるかのように。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ