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「 ひながデートかあ。」
ミカンの情報だと、相手は例の告白してきた先輩らしい。
ひなとのデートどうにか阻止出来ないかな? 自室のベッドでゴロゴロしながら、あーでもないこーでもないと考える。
打開策につながる方法はないかと、スマホで、デート 好きな人って検索かけたら、「 失敗しないデート必勝法」とか、
「 俺は、この方法で彼女の心を射止めた」とかばっかりで、全然参考にならないし、「 俺はこの方法で彼女の心を射止めた」なんて成功談を読んだら、心が折れた。
腹立ち紛れにスマホを放り投げた。
そのままふて寝を決め込むと、しばらくうとうとしていた。
スマホがピルピルと鳴る。画面を見ると、「林原拓人」の表示。――珍しい。いつもなら、メールか無料通話アプリで連絡してくるのに。
「 もしもし?」
『 よお、仁。』
「 なんだよ、急に。何か用事か?」
『 別に。大した用事じゃないよ。ただ、例の事が気になったのと、後、お前に知らせたい事があってな。』
「 ほおー? 要するに嫌がらせで、わざわざ電話してきたんか?」
『 別に嫌がらせじゃないよ。その調子だとまだ告ってないな。」
クールな拓人にしては、いやに声が弾んでるからつい嫌みっぽく返してしまう。
「告ってなくて悪かったのう。それらより、知らせたい事ってなんじゃ。はよ話せ。」
『いや、本当に大した事じゃないんだけどな、今日、クラスのやつの見舞いに三城病院に行ったんだよ。そこにさ、可愛い女の子がいて、その子と仲良くなったんだ。』
「 へー。そりゃよかったな。」
三城病院か。朝陽兄さんの勤め先じゃないか。ついでに言えば、俺の一番下の妹も入院してる。
「 どんな娘なん?」
『 目がくりっとしてて、ショートより少し長いくらいの髪がふわふわしてて、もう僕のもろタイプの娘。』
「 へー。そうかい。えかったのう。( よかったな)そりゃ。」
ああぶり(すげー)ムカつく。仲良くなった女の子の話とか。こっちは、ひなのデートをどう阻止したろうか悩んどるのに。拓人の嬉しげな声を聞きながら、俺はそう思ってた。
『 それは、そうと。仁。告るのに何か方法は考えたのか?』
「 考えとらん。それどころか、例の先輩とデートに行くらしい。」
『 マジか。』
「で、それを阻止したろうかと画策中。」
『 はは。阻止するより、お前とえーとひなさんだっけ? その娘と入れ替わった方が早くないか。お前がひなさんになって、相手を失望させるような行動するとかな。』
「それだー。サンキュー拓人。」
『 えっ? はっ?ちょっとまて。今のは』
拓人が言い終える前に、俺は、通話を終える。そうだよ。その方法があったよ。
拓人は、冗談のつもりで言ったんだろうが、俺には可能だ。
以前ひなが使った『 入れ替りの魔法』
あれから、色々調べて、ひながやった方法より遥かに楽な方法で入れ替りが可能な事を突き止めてる。
俺は早速その方法を試す為に、ひなに連絡を取ったのだった。




