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どうしよかな。――やっぱりあの必殺技を使うしかないか。
俺は、目をキラキラさせてる雫に必殺技を放つ。
「 見せてもええけど、ひなの血吸うんでよ。それでもええんなら見せちゃるけど?」
「 え?」
雫の顔色がみるみる青ざめる。俺の一言に同様してるみたいだ。――そろそろかな。沈黙する事約1分。
「 いやぁ。そんなん ( そんなの )見とうない~。あたしのお兄ちゃんが、よその女の人の血吸うとこなんか見とうない~。」
雫が絶叫してる。効果は抜群だ。俺はさらに追い討ちをかけてやる。
「じゃろ? お前には黙っとったけど、俺の血をひなが吸うんじゃけど、雫、お前。俺らがそうしよるとこ見たい?」
「 もっといやぁ! もういい! いぬる。(帰る) バイバイ」
「 おう。早よ、帰れ帰れ。親父達によろしく言うといて。」
うわーん。お兄ちゃんの馬鹿~。と捨て台詞を残して、雫は去っていった。
やっと静かになった。雫を遠ざけるには、やっぱりこの方法が一番だ。
「 なあ、仁。今の何だったんだ? 妹さん何か叫びながら、帰っていったけど。」
「 ああ。雫は、極度のブラコンなんだ。俺が、自分以外の女の人と仲良くするのとか想像したりするとな、ああやって、俺から逃げていくんだよ。」
「 えっ、そうなの? 自分以外の女の人のとこに行かないようにしたりするんじゃないの?」
質問した渉じゃなくて、長谷川がそう訊き返す。
「マンガなんかのブラコンな妹なら、そうするんだろうな。でもあいつは、何故か俺から逃げていくんだよ。」
「 そうなんだ。」
長谷川は、呆れとも感心ともつかない声を出した。――気持ちわかるけどな、音無雫ってそういうやつなんだ。極度のブラコンで、しょっちゅうお兄ちゃん。お兄ちゃんって言ってる癖に、俺が女の人と仲良くしてるという想像をしたら、何故か俺から逃げていくんだ。
「 でも、ブラコンなの雫だけじゃろ。下二人にいたっては、お兄ちゃんって呼ばんじゃん。それどころか、いっちゃん(一番)下の妹は、仁って呼び捨てしとるし。」
「 いらん事言うなや。」
――そう俺には、雫意外に二人妹がいる。二人共三つ下の中一だ。但し双子じゃない。詳しい事情は、その内話します。
話はそれたけど、下の二人は、結構ドライで、用事がなければ、口すらきかないんだ。
「 あのさ、仁くんの事情は、わかったから、いい加減帰らない?」
「 ほうじゃね。帰ろ。」
長谷川やひなに促されて、俺らはようやく帰路についた。 とりあえず、嵐は去ったけど、数日後またトラブルが起こるのだった。




