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服部ひなさんは、厨二病が、治らないようです。  作者: ねこた まこと
ひなさん、幼なじみをTSさせる。
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「こうして、俺は、吸血鬼になった」のエピソードから始まります。


「なんで、こうなった。」


俺、音無仁(おとなし じん)は、鏡に写った己の姿を見て呟く。

鏡に写ってるのは、俺本来の姿ではなく、幼なじみ兼再従姉妹(はとこ)の服部ひなの姿だ。

肩甲骨まで伸ばした髪。猫のようにややつりあがった目。紺のセーラーカラーに赤いリボンのセーラー服。

何度確認しても、見慣れた服部ひなの姿だ。

夢じゃないかと、頬をつねり、ついでに、胸も触ってみる。


――夢じゃない。頬は、痛いし、胸は、ムニョと柔らかい。



「 まさか、あの時入れ替わったのか?」


そう呟き、俺は、数時間前の出来事を思い出していた。



「 仁~。ちょっと来て~」


昼休み。友人の橋田渉と駄弁っていたら、ひなが可愛い声で手招きしてる。

いつもは、無言で手招きするのに、ああ呼ぶって事は、何か企んでるな。無視しようかとも思ったが、機嫌を損ねると何されるか、分かったもんじゃない。

「 渉。俺、行ってくる。」

「 おう」

俺は、半ばやけくそな気分で席を立ち、ひなの元へ向かう。

ひなは、周りから見れば、極上の、俺からすれば、悪魔の笑顔で、俺を迎える。

チラッと、渉の方を見れば、渉は、ニヤニヤと笑いながら、成り行きを見守ってやがる。チクショー、他人の事だと思って、面白がってるし。

「 ひな、なんね?(なんだよ?) 」

「 別に、いつものあれ頼もうかと思うて」

「 なんじゃい。なら、普通に呼べや。あんな声出すなや。」

いや、ビビりながら来た意味ねぇし。まったく。

「 別にいいじゃろ。ねっそれより、いつもの所いこ?」

「 あーハイハイ」

俺は、ひなの手を取り教室を出る。クラスの奴らの視線が集まるが、気にせずさっさと出る。廊下に出ると、非常階段に向かう。人が来ない事を確認すると、二人並んで座る。

「 ねっ早く」

「 わかっとる。ちょっと待て」

俺は、学ランを脱いでワイシャツのボタンを外すと、ひなが脱がしてくる。

「 お前。ちょっと待てって!」

「 もう、待てん」

ひなは、俺の肩を掴むと、首に、噛みついた。

そのままズズっと俺の血をすする。

「 ごちそうさま。」

ひなは、満足気に口を拭う。ひなは、何を隠そう吸血鬼だ。俺とひなの祖先は、異世界からやって来た吸血鬼。今では、ほとんど普通の人間と変わらない。たまに、魔法が使える人間が生まれるくらいだ。ちなみに、俺も魔法が少し使える。

だが、ひなは違う。先祖がえりした吸血鬼。だから、時々こうやって、俺の血を吸っている。この事は、ひなの両親と兄。それと俺の両親と現在同居中の従兄弟、渉と渉の彼女もある事情から知ってる。

「 ねぇ、仁。頭がボーッとせん?」

「 うん。まあ、って、お前何か」

したんかと言う前に、俺の意識は途切れた。



そして今、保健室のベッドで目が覚め、先生に服部さんと呼ばれて、あわてて、トイレで自分の姿を確認したところだ。

「 服部さん。大丈夫?」

「 ふぇい。大丈夫です」

振り返ると、養護教諭である山本先生がいた。なかなか戻って来ないから様子を見に来たのかも知れない。

どうでもいいが、慌てたにも関わらずちゃんと、女子トイレに入った俺って、ちょっと凄いかも。

「 先生。ひな大丈夫でした?」

「 ええ、大丈夫よ。音無くん」

トイレの外から、俺の声がする。完璧に俺に成り済ましているが、恐らく俺と入れ替わったひなだろう。

トイレから出ると、俺を見るなり、ひなは、ニヤリと笑う。

お前何をしたんじゃーと罵声をあげようとしたが、声が出ない。パクパクと口が動くだけだ。

ひなの奴ご丁寧に、魔法で、声を封じてやがる。

ひなは、山本先生と一言二言交わすと、しれっと俺に鞄を手渡した。

「 ひな、帰ろうで。」

声を封じられてる為、こくりとうなずいて、山本先生に頭を下げてから、ひなと家路についた。

俺は、これからどうなるのか、ちゃんと戻してくれるのか、そんな事を考えながら、ひなの後をついていった。

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