プロローグ
…俺はいったいどうすればいい…?
俺はいったい何をすれば正解だったんだ…?
あの時、あの手を引いていれば…あの時、注意深く言っていえば……俺が傍にいれたら…俺が…もっと…早くわかっていたら…こんなことには…。
今更…という後悔と罪悪感が俺の全身を包み込み息の破調を狂わせる。
…そうだ、彼女はもういないのだ。もう彼女のあの笑顔、あの周りを張りつめる声…それが、もう聞けないし見れない。
なぜなら、彼女は、今…
…腕はそれぞれバラバラになって…胸に…剣が刺さって血まみれになっていて…それで……
俺の目の前で、死体となって…
「…は……はは…はははははっははははっはははっはははははははははははははははははは!!!」
俺は笑っていた。ただひたすらに…
不思議と吐き気などは無かった。ただ今ある現実から目をそむけ、憎悪を滲ませていた…
あれ?
此処って現実だったけ…此処って異世界だったよな…?
…そうだ、此処は異世界だ…だったら夢オチってあるよな…
…こんなことなんて現実じゃないだろ?俺が好きだった…彼女が死ぬ理由なんて無いもんな…?
そうだよ…これは夢なんだ。これは夢なんだ。これは夢なんだ。これは夢なんだ。これは夢なんだ。これは夢なんだ。これは夢なんだ。これは夢なんだ。これは夢なんだ。これは夢なんだ。これは夢なんだ。
…わかってる…これは夢じゃない…この異世界に来たときに嫌になったほど、思い示させられたじゃないか…!
「わかってる」その言葉を繰り返し呟き、心をいったん落ち着かせる。
彼女は死んだんだ…息を吹き返すことももうないんだ。彼女がもう推理することも無いんだ。
「……………………。」
俺は立ち上がり、彼女の白い頬に触れる。
冷たい。俺の震える手に触れた感覚は、とても柔らかく…そしてとても冷たかった。
…やはり彼女は死んでいるのだ。
「…くっ…!」
一瞬、心臓が跳ね上がった。憎しみが燃え上がり、自分を一瞬だけ制御できなくなった。…冷静になれ…俺。
彼女の表情は変わらないし、彼女はもうしゃべらない。俺に上から目線のようないつものしゃべり方で訊いてくる俺へのヒントや推理は聞かせてもらえない…
だったら俺がやることは一つしかない…
考えることだ。
考えろ。考えろ。彼女のように頭の回転が速い訳ではない…俺はただ何かを覚える事が得意なだけだ…それでも…
それでも、推理しろ。今起きていることを全て…
推理しろ。そしてこのクソッタレな事件の犯人を捜せ…
そして…その犯人を…
殺す。