プロローグ
今日は12月24日。クリスマスイブだけど私はいつものように一人で仕事をしています。そろそろ日付が変わる頃。今年も一人ぼっち。両親が他界してからはいつも一人。もう慣れたけど。でも23にもなって恋愛まで未経験になるとは思ってなかったなぁ。淡い片想いならあったけど。真面目すぎて誰も近づかないのよって高校時代の友達に言われたっけ。中学卒業とほぼ同時に両親を事故で亡くしてからずっと一人暮らし。保険やらなんやらで生活には困らなかったけれど金の亡者のように親戚やら知らない人やらが群がってこようとして…私は心を閉ざしてしまったから。本音は誰にも言わない。弱いところを見せたら何もかも奪われてしまうと思って。確かに生活には困らなくなったけれど孤独な生活を送ることになってしまった。それでも上辺だけは仲の良い友達もできたけれど。成績も良かったから一緒にいると都合が良い・・・なんて裏で言ってたらしい。私もある意味彼女を利用してたのかもしれない。一人でいると教師がうるさかったから。高校卒業してからはまったく連絡を取ってない。少し寂しいけれどその程度。でもときどき…こんな日は誰かに甘えたり友人と騒いだりしたくはなる。一人でも平気・・・。でも・・・寂しすぎるね。
終電でマンションに帰る。今夜は自炊する気にならないからコンビニで何か買って帰ろう。定番でチキンとサンドイッチかな?クリスマスイブだし。あと一人用のケーキも。気分だけでもクリスマス味わいたいからね。
夕食を取りシャワーを浴びてベッドに横になる。明日は日曜だし…少しくらい寝坊しても良いかな?
『特別にクリスマスプレゼントをあげよう。目が覚めたらこことは別の世界にいるよ。心配しなくても行き来は自由にできるようにしているよ。君が望む能力も授けておこう。もしその世界が気に入ったのなら永住するのも良いし別荘地として活用するのも良い。君が心を許す人ならこの世界に招待することも可能だよ。どうか・・・幸せな人生を歩んでほしい。私にできることは・・・こんなことしかないのだからね。』
変な夢を見ました。白い髭を生やした老人が出てきてプレゼントといって異世界の洋館をプレゼントしてくれたのです。夢だけど・・・どうしてこんな夢見たのかな?
・・・夢・・・だよね?ものすごく寝心地が良いベッドと布団なんだけど。私のベッドはこんなにふかふかしてなくて布団だってもっと安物のはず。まだ夢見てるんだよね?
そっと目を開けると天蓋つきのベッドが真っ先に目に入りました。ここ私の部屋じゃない。いつの間に移動したの?他の家具だって高級品で私のワンルームの部屋とは大違い。誘拐でもされたのかしら。あれ?テーブルに手紙が置いてある。私宛の手紙みたい。訳のわからないまま立ち尽くしてても仕方ないから読んでみよう。