異世界の住処
〇1章の4〇
あれから何時間たっただろうか?
もう日はだいぶ傾いてしまっている。
先ほどようやく一匹捕まえた。
特に美味しいって程ではない。
野性味溢れた味だった。
早く住処を探さなければ、兄弟は俺がエビを取っている間にどこかに行ってしまった。
寂しくなんかないやい!
住処としてまず大事なのは、雨風が防げるところであろう。それにどこに外敵がいるかもまだ分からないのだから、なるべく目立たず侵入出来るところが少ない方がいいはずだ。
そういうことを考えていたら見つけた!
少し崖のようになっている湖の岸に、俺が丁度入れるくらいの穴があった。中は2,3m真っ直ぐな通路になっていて直径2mだろうか?そのくらいの広さがある半球の空間になっていた。
元々は何かの巣であったのだろうか?
いい物件だ!
身体が大きくなったら使えなくなりそうだが、しばらくはここを住処としよう。
今日は疲れたし、もう寝よう。
寝始めてから何時間かたっただろうか?
俺は異変に気づいた。
身体に何か巻きついている?
目を開けて見てみると、うわぁ!なんだこいつは?
一言で言うなら紫色の蛇だろうか?
蛇のくせに鰭みたいなのも付いているが、大体蛇なので蛇でいいだろう。
そいつが俺を締めあげようとしている。
幸い甲羅のおかげで、締めあげられることはないだろうがその大きさが問題だ。
優に2mはあるだろうか?
空間がこいつの身体で埋まっているように思える。
どうしようか?
脱出は無理そうだし、噛みつかれたら毒を喰らいそうだな。とりあえず甲羅の中に引っ込んで見よう。
甲羅の中にいる時は俺に対して何も出来ないようです。まぁ、俺も何もできないけどな。
根比べと行くか!
随分と時間がたった気がする。
蛇は俺が知らない間に寝ているようだ。
正直蛇は瞼がないので分かりずらい。
とりあえず攻撃してみようかな?
首元に噛み付いてみよう。
亀の首は良く伸びる、それを生かして噛みつかれないように首元に噛み付いた。
「シャアアァァアアーー!」
蛇が怒っているのだろう。
俺に尻尾を打ち付けている。
だが、奴は身体が大きいのでそこまで大きく動くことはできない。
まぁ体の芯に響く痛みはあるんだけど、我慢できる範囲だ。そうして噛み付くこと40分くらい、とうとう蛇は動かなくなった。
亀って噛む力が強いのか、最後には外皮を噛み砕き骨まで到達してしまった。
そういえばエビの殻も簡単に噛み砕けたな。
しかしこいつはどうしようか?
まぁ明日以降の飯にでもするか?
デカすぎて出口塞がれたしまぁ仕方がないだろう。