異世界での食事
〇1章の3〇
もし俺が転生したとしよう。
それで亀になってしまったのも仕方がないし、もうどうにもならないだろう。
まだまだやりたいこともあったし、大学受験の勉強も無駄になってしまった。
残念だが、クヨクヨ過去を考えても何も産まないのだ。現状を把握するのが今1番大切なのだ。
自分の身体の変化はわかった。
だが、ここがどこなのか!
そうここはどこなんだ!?
もしここが日本なら、いや地球ならまだ良いだろう。
だがしかし異世界だったら?
そこが問題なのである!
転生したとしたら、異世界っていうのが王道だしそういうラノベは大好物でした!!
異世界であってほしい。
あんな死に方をしたんだから異世界であるべきだ!
俺の頭には剣と魔法、エルフやドワーフなどの亜人それにドラゴンやスライムなどのモンスター達、如何にも異世界!これがthe異世界!!そんな風景が浮かんでいた。
そうだ!
モンスター!それに魔法!!
鑑定とかステータスとか魔法を使ってみたい!
モンスターであるなら進化して最強になりたい!
だがしかし現実は無情かな。
声が出せないから詠唱は出来ないし、いくら心でステータスと言っても何も起こりはしない。
さらにどこからどう見ても自分はただの亀である。
特にモンスターらしい所はない。
大きさ、色、形、どれをとっても普通の亀だ。
いや、亀なんてミシシッピアカミミガメしかわかんないけど、体色は全体的に緑、それに薄い黄色のラインが入っている。足は水かきが付いていて、水陸両用みたいな感じだ。甲羅は深緑色で淵が薄い緑だろうか。
うん普通の亀だな。
モンスターらしい所は全くない。
まじかぁ〜
ここ異世界じゃないんかな?
テンション下がるわぁ〜
太陽が頂点を越して下がり始めているので、もう昼下がりだろう。
随分と確認に時間を掛けてしまった。
これからどうしようか?
生きていく上では、衣食住は大切であろう。
だが今の俺は亀、衣は要らないのである。
とりあえず食住を確保しよう。
食はその辺にある草とか食べてみよう。
お腹が満たされたら住めそうな所を探してみよう。
亀って食べれないものとかあったかな?
ていうか、どの草に毒があるか分からないのは問題だな。まずは他の亀を探してみるのがいいのかもしれない。
そこで、湖の周りを歩いて探してみることにした。
俺の記憶が正しければ、亀は1回に何個も卵を産むはず。周りには俺の兄弟が出たであろう穴がある事だし、孵化した時間にそんな差は無いはずだ。すぐに見つかるだろう。
歩くこと15分といった所だろうか。
遂に第1村人もとい第1亀を見つけた!
姿形も俺と似ている。我が兄弟だろう。
兄弟は、水辺で何か食べていた。
ハサミがあるからカニかエビだろう。
ハサミが4個ある事だから2匹食ったのか、意外と大食漢なのだな。俺も早く食事にありつくとしよう。
さっさと食べて住めるところを探しに行く。そう思っていた時期もありました。
さっき兄弟が食べていたものと同じハサミを持っているエビがいました。
だがエビ一匹に対してハサミが4個付いている。
透明感のある身体は普通のエビだが、ハサミが4個不自然でしかない。
これはひょっとして異世界説あるかもしれない。
いや、過度な期待は良くない。
このエビが奇形とか新種な可能性だってあるのだ。
あっ!一匹キラキラと虹色に光る魚に食われた!
なんだあの魚?
ウロコ1枚1枚が宝石みたいになっているんだが?
ありがとうございます!
間違いなく異世界です。
やったぜ!!