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鮮血の王  作者: 夜兎神
1/6

一話

懲りずに新作投下していきます。

 血。

 壁も床も天井も、血で塗られた空間。

 本来なら凄まじい悪臭がするはずなのに、俺は甘い匂いだと感じていた。


「よく来たな、後継者よ」


「は……?えっと」


「混乱しているだろうが、落ち着いて聞け」


「あ、はい」


「俺は素質のある人間を集め、燻っている才能を開花させて、俺の後継者としてとある世界に送り出している」


「俺が、素質のある人間の一人だと?」


「そういうことだ。その代わりに、俺の望みを叶えてくれ。俺と同じような〝王〟に才能を開花させられた後継者が五人いる。そいつら全員の血を飲め。それで後は好きに生きていい」


 色々と現実離れした状況に頭が混乱してくる。


「質問いいか?」


「構わないぞ」


「まずアンタ誰?」


「俺か。俺は鮮血の〝王〟だ。簡単に言えば吸血鬼の王だな」


「次、他の王?について」


「そうだな。神聖の王、融炎の王、氷海の王、紫電の王、大地の王。それと俺を合わせて六人だな」


「じゃあ次、血を飲むってどういうことだよ」


「は?そのままの意味だが?」


「いや、絶対不味いだろ」


「何言ってんだ、吸血鬼になったお前が血を不味く感じるなんてあり得ないぞ」


「……おい、勝手に俺の種族を変えるな」


「まぁまぁ。その分人間の頃よりスペックは上がってるはずだから」


「……。最後に、俺の開花した才能って?」


「……悪い、もうお前の肉体の構築が終わった。魂は肉体に引っ張られるからもう時間がない。ま、向こうに行けば力のことはわかるようにしてある。それじゃ、健闘を祈っているよ」


 その言葉を最後に、視界が真っ赤な部屋から緑溢れる森に切り替わった。



 パーカーのポケットに違和感を感じて手を突っ込むと、紅色の端末が入っていた。

 電源を起動すると、文字列が表示されていった。


 ——————————————————

 城川 裕

 Lv : 1

 種族 : 吸血鬼・真祖


 生命力 : 40 / 40

 魔力量 : 80 / 80


 筋力 : 30

 耐久 : 20

 敏捷 : 30

 器用 : 20

 魔力 : 40


 固有スキル

 ・解析

 ・隠蔽

 ・吸血

 ・鮮血の王

 ・弱点克服

 ・—————

 ・—————

 ・—————

 ・—————

 ・—————


 スキル

 ・体術Lv2

 ・直感Lv3



 習得可能(50ポイント)

 ・剣術 100

 ・槍術 100

 ・生命力回復速度上昇 200

 ・魔力回復速度上昇 300

 ——————————————————


「ゲームじゃねぇか」


 試しに【鮮血の王】をタップすると、詳細が表示された。


 ——————————————————

【鮮血の王】


 ・固有スキル


 ・吸血した対象の強さに応じて、経験値、ステータス、スキルポイントがそれぞれ増加する。


 ・出血して一分以上経過した血液は対象外。


 ・対象の所有スキルを確率で一つ奪う。


 ・血を吸った分だけ傷を再生できる。


 ——————————————————


「ふむ……」


 使ってみないと、凄いのかがわからないな。

 そんなことを考えていると、正面から大きくて緑色の何かが向かってくるのが見えた。

 咄嗟に草むらに隠れて、固有スキルにあった【解析】を使ってみる。


 ——————————————————


 Lv : 32

 種族 : アースドラゴン


 生命力 : 51,200 / 51,200

 魔力量 : 10,240 / 10,240


 筋力 : 2,240

 耐久 : 1,600

 敏捷 : 960

 器用 : 320

 魔力 : 320


 固有スキル

 ・飛行


 スキル

 ・土属性魔法Lv4

 ・体術Lv4


 ——————————————————


「よし、逃げよう」


 そう結論付け、森の奥へと走り出そうとして、


 ———目が合った。


 人だ。

 鎖骨辺りまで伸びる濃い藍色の髪に、透き通るような水色の瞳。

 一言で言えば、美少女だった。

 解析をかけてみると、


 ——————————————————

 雨宮(あめみや) (よう)

 Lv : 1

 種族 : 人間


 生命力 : 2,000 / 2,000

 魔力量 : 3,000 / 3,000


 筋力 : 300

 耐久 : 200

 敏捷 : 100

 器用 : 200

 魔力 : 300


 固有スキル

 ・神聖の王

 ・神聖魔法


 スキル

 ・剣術Lv3


 ——————————————————


「えっ」


「あ、良かった、やっと人に会えた……」


「あー……アンタ、さっさと逃げた方が———」


 逃げた方がいい。そう口にする前に、俺は彼女を突き飛ばした。


「な、何を———」


 直後に、左半身が軽くなる。

 左腕を喰われた。


「う……ああああぁぁぁぁ!!」


 想像を超える灼けるような痛みに気絶しそうになるが、できない。

 気絶という逃げ道が消え、壮絶な痛みを味あわされる。


 だが、あのドラゴンだろうか、背中に強い衝撃を受けて、俺は意識を失うことができた。


 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「あっはははははははは!!まさか一分経たずに死にかけるとは!」


 また、あの血だらけの部屋に立っていた。


「いやー、にしても運が良かったな。神聖の王の後継者が解析スキルを持ってなくて。もし持ってたら速攻斬られてたぞ」


「えぇ……もしかして、俺って他の後継者と敵対関係な感じ?」


「そうだ。いや、吸血鬼な時点で人類の敵だからな?」


「あぁ、そういえば俺って吸血鬼なんだっけ」


「おいおい、しっかりしてくれよ。老人ホームの予約でもしとくか?」


「いらんわ!ってか、もう俺助からないんじゃないのか?」


「いや、まだ大丈夫そうだぞ」


 そういって鮮血の王はモニターを取り出す。

 そこには、倒れ伏す俺と、血だらけのドラゴンと、高速でドラゴンを切り刻んでいるあの美少女が映っていた。


「何だこれ。どういう状況だよ」


 彼女のステータスはアースドラゴンに劣っていて、こんな圧倒的な戦闘が出来る筈がない。


「多分、スキルの力だろうな」


「いや、ナチュラルに心を読むな」


「後継者はぞれぞれ、『〜〜の王』ってスキルを持つんだが、彼女は特にチートな『神聖の王』だ。発動時には全ステータス十倍、敵の攻撃の軌道が事前に視える、そんな頭のおかしい効果のスキルだな」


「本当に頭おかしいな」


 だが、それならこの状況も頷ける。

 ドラゴンから流れ出た血が、俺の方までやってきていた。


「お、もうお前は意識を取り戻せるぞ。ほんの少しだが血を口にしたからな」


「そうか?それじゃ、俺は行くな」


「おう。二度とこんな風に死にかけるんじゃねぇぞ」


「ああ」


 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


 口内にある血を飲み込んだ瞬間、左腕が生え変わった。


「これは人のこと言えないな」


 気づくと、アースドラゴンは死に絶え、あの美少女も居なくなっている。

 誰もいないことを確認すると、俺はアースドラゴンの傷口へ牙を突き立てた。


「うまい」


 なんというか、その一言しか出てこなかった。

 ポケットの中で振動する端末を見ると、レベルアップしていた。


 ——————————————————

 城川 裕

 Lv : 30

 種族 : 吸血鬼・真祖


 生命力 : 133,200 / 133,200

 魔力量 : 150,000 / 150,000


 筋力 : 3,250

 耐久 : 2,220

 敏捷 : 1,610

 器用 : 1,580

 魔力 : 2,500


 固有スキル

 ・解析

 ・隠蔽

 ・吸血

 ・鮮血の王

 ・弱点克服

 ・飛行(new)

 ・血液魔法(神聖の王吸血特典)

 ・—————

 ・—————

 ・—————

 ・—————


 スキル

 ・体術Lv2

 ・剣術Lv3(new)

 ・直感Lv5(2up)


 習得可能(1830ポイント)

 ・魔力感知 100

 ・槍術 100

 ・土属性魔法 100

 ・光属性魔法 200

 ・生命力回復速度上昇 200

 ・魔力回復速度上昇 300

 ・見切り 500

 ・心眼 1000

 ——————————————————


 どう考えても、飲んだ血の中にあの美少女の血が混ざっていたのだろう。固有魔法が一つ解放されている。


「よし、ちょっと試してみるか」

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