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1話目

前作を読まなくても読めるようにしたため、最初は前作の別視点から始まる形となってしまいました。本格的なストーリーに入るまでこの序章または前作を読んでお待ちいただけたら光栄です。

 初恋はいつかと聞かれたら小学三年生の夏と俺、長谷川はせがわ哲希てつきは答える。近所に住んでたこともあり親同士が仲が良く、そのせいか子供同士も仲が良く保育園ではいつもべったりだった幼なじみの彼女、生野いくの知奈美ちなみ

 その夏は雨の日が多く、台風ではないかと思うくらいの強い雨風がよくあった。きっと彼女は覚えていないのだろう。いつもお姉さんのように俺を引っ張ってくれた強い彼女が泣いて俺にすがってきたことを。彼女のお気に入りの傘が川に飛ばされたんだっけ。確か俺は自分の傘を彼女に押し付け川まで行き彼女の傘を拾い上げたんだ。

 親にはものすごく怒られたけど構わなかった。だって、知奈美が笑顔になってくれたから。

 その時初めて恋に落ちたんだ。


 小学五年生の秋、突然引っ越すことになってしまった。何でだったかは思い出せない。ただ、小学校の校区外の地域だった。後で知ったがこれから通うはずだった中学の校区外でもあった。会おうと思えば会える距離……とも言い切れず、俺は当時サッカークラブに、知奈美は少女バレーのチームに入っていた。だから、会うことはできなかった。

 最後に見た彼女の顔はあの雨の日とは違い、いつものようにお姉さんの顔だった。


 転校先では三門みかど周平しゅうへいというやつと一番の仲良しになった。少しダルそうにしているのが彼の通常運転で、ついおせっかいに接してしまった気がする。今思えば知奈美のようになっていたんだと思う。彼はそんな俺を気にせずいつものペースで接してくれたんだと思う。結果、いつもお前ら一緒だよなと周りから言われるくらいの最近知り合ったとは思えない親友になれた。


 そんな彼、周ちゃんと呼ぶようになった彼とは高校も同じだった。クラスはさすがに離れたが芸術の選択や体育では同じだったし関係は一切崩れることはなかった。

 むしろ、同じクラスにあの知奈美がいたことに驚いた。向こうも気づいてくれた。

 中学でどんなに美人の子に告白されようとも一切揺るがなかった知奈美への恋心。彼女も少しは意識してくれているだろうか。あれから身長は伸びたし声も低くなった。子供の頃から成長していった男女の違いは目でわかった。

 けれども、彼女の内面は何一つ変わっていなかった。いや、変わらなさすぎていた。

「あ、哲希じゃん。久しぶりー。いやあ、身長伸びたねー。何センチあるの?」

 そう言って昔のように肘で軽く小突いてくる。あの時と変わらずお姉さんのように。

 その時俺は悟った。

(もしかして恋愛対象として見られてない……?)

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