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ソード・オブ・ナイツ  作者: ロドニー
傲慢の迷宮
2/17

1話 「世界への門出」

テスト前ですので更新遅れます

「起立!!礼!!」


そう教卓に立つ先生が告げると同時に、俺は鞄を担いで全速力で教室を飛び出した。

それはもう先生より速い、まさに電光石火の如しだったであろう。


「西野!待ちなさいっ!!」


「今日という今日は!!今日だけは待ちません!!というか待てませんっ!!」


「駄目だっ!!夏休みの課題を貴様は何か月延長する気だ!」


「二年半です!!!」


「卒業しとるがな!!」


しかし、教師陣からは逃げられるはずはなく、俺はマンマと捕まってしまう。


「鬼!鬼畜!バカ!阿呆!」


「教師に対して何たる暴言を………」


俺の隣に立っている教師は、西蓮寺サイレンジ 智代トモヨと呼ばれているこの学校唯一の20代後半の三十路前の教師であり、白髪のマドンナと呼ばれ、学校では人気者だ。


スタイルはそこそこで、白髪のマドンナ通り髪色は白髪である。

しかし、生徒に問答無用で暴力を振るうという、何たる鬼畜スタイル。

俺のような貧弱系生徒から見れば悪魔である。


「BBA!ババア!!未だに20代と年齢詐称で合コン参加してるババア!!」


「殴るぞ西野?」


と、このような年齢の煽りをすると、殴るぞ?と、聞く前に殴られるのである。

ちなみに、俺は夏休みの宿題を提出していない事で目を付けられているのである。


ちなみにサマーバケーションは三か月も前の話で、今や生徒はいつ、雪降るのかな?の会話で持ち切りである。

しかし、そんな雪の会話を俺にする権利はない。


何故なら、俺の夏は終わっていないからである。俺の心はまだまだ夏休みだ。


「なので明日だします!!」


「あっ!こら逃げるな西野!!」


俺は全速力で教室から飛び出るが、ほんの数分で捕まってしまう。


この鬼畜ババア教師!!陸上の顧問してるからなのか、滅茶苦茶足が速い!この非力な足で逃げるのは至難の業である。

しかし、人類はそのような生き物から逃げるためにこの頭を神より授かったのだ。


静留シズルごめんね?逃がさないわよ」


「な……なんで飛鳥アスカがここに!?」


尼藁アマワラ 飛鳥。胸はCクラスで俺の幼馴染であり、数少ない女友達。

可愛らしいふわふわとした桃色の髪は学校では恐ろしいほど目立つ髪型であり、この学校ではキューティクル四天王と呼ばれるほど可愛い。

俺も光栄である、そのおっぱいを俺の為に揉ませろ。


だが、そんな事はどうでもいい。


こいつは……俺の弱点を知っている………!!!


「静留いいのかな?今日来るはずだったゲームを真横に叩き割ることだってできるんだよ?」


「よーし!心の夏休みにも終止符を打つぞ!!」


「その意気だ。先生は雑務で離れるから尼藁、後は任せる」


「わかりました~」


「悪魔どもが……」


それから4時間を勉強に費やす事で、俺は夏休みに終止符を打つことができた。

さようなら、俺のサマーバケーション……こんにちわ、哀愁を漂わせる俺の秋。


「そんなに走っても帰りの電車は一緒だよ~」


「気持ちの問題だっ!!くっそぉおお!!今日届くのにぃいい!!」


俺は自分が学生である事を強く恨んだ。


「そんなに今日は大切なの?」


「当たり前だっ!!なんてったって今日は我が家にSONが届く日なのだから!!」


「またゲーム……」


「待ってろよぉおお!!俺のオンライン世界!!」


俺は電車に乗車し、駅からの帰路も全速力で駆け抜けた。


「ひぃ、ふぅ、みぃー」


「何を数えてるの……おかえり静留」


「母さん今日の晩御飯は部屋の前に置いといて!!」


「えっ?あっ!ちょっと!!」


俺は無尽蔵?にあるであろうゲームへの魂スタミナを使い、階段を全速力で登る。登り終えた後に本気の息切れをしその場に数秒立ち尽くしたのは内緒だ。


尽くし終わり、俺の部屋に入ろうとすると、隣の部屋の扉が開く。


「あっお兄ちゃんちっす」


「おう」


俺はそれだけ言って自分の部屋に入った。


妹の事はゲームが終わってから説明するねb


「ちょっとひどくない!?」


俺は真っ暗な部屋で一際巨大なカプセルのとあるボタンを押した。

するとカプセルが開く。俺はその中に迷いなく入り、設置してあった内部パーツを体の至る部分に装着していく。


両足、両腕、そして頭にヘルメットである。俺は手探りでもう一度、ボタンを押すとカプセル内は真っ暗になり、開いてあった扉が閉まる。


そして、俺の意識は奪われた。


しかし、すぐに目覚める。だが、世界はまるで違う。


真っ白な無の空間だった。先程の暗黒とはまるで正反対である。


「ようこそSONの世界へ、早速ですがあなたの名前を教えてくれませんか?」


「うぉお……普通に飛鳥より可愛い……」


俺の目の前に立っている背中に翼を生やした、青空の髪と不思議な瞳の色をした少女はニッコリ、と俺に向かって笑顔を向けてくれている。

それだけでも、俺の心は奪われそうになった、だが、俺は欲望を理性で抑え込む。


「俺の名前は……」


俺は色々なオンゲーをしているが一貫して同じ名前を使う癖がある。

たまに違うゲームであった人とあったりするのだが、それもまたオンゲーの醍醐味という奴だ。


「俺の名前はセイリュウだ」


静留の静をセイと読み、留をリュウと呼んでセイリュウ。これが中々に気に入っている。


「セイリュウ様ですね、ご登録完了しました。次はあなたの種族を教えてください」


と、少女がそう俺に笑顔で質問すると俺の眼前に五つの画面が現れる。

これは先日に説明した型の事だ。俺は迷いなく人類を選択する。


やはり、臨機応変に応用できる種族がいいよね。


「セイリュウ様は人類ですね。それでは次に武器の選択です。最初はこちらの七種類からしか選択できません。これら以外にも武器は存在するので自分にあった武器をチョイスしてください」


「おっと……?こりゃあすげぇ……」


そう言葉を漏らしてしまうのも仕方がないのだ。


何故なら少女と俺の間にはオブジェクトと化した武器が七つ、地面に突き刺さっているのだから。

もう、これだけでも俺は感動している。


左から、双剣、二刀流、片手剣、短剣、弓剣、拳銃、両手剣、のようだ。


双剣と二刀流の違いを説明しておくと、双剣は二つでワンセットの武器であるが、二刀流は二つの片手剣が必要となるのだ。


そのため、二刀流は最初から選択してしまうと、どちらかの剣の耐久値が壊れてしまった場合片手剣になるのだ。

つまり、武器を多く持たない最初から選ぶのは有意義とは言えない。


だから俺は無難に片手剣を引き抜いた。


すると選択画面が現れる。


俺はYESを選択すると六つの武器はその存在を消した。


「重さを選択してください」


「+20くらいで」


この武器の元々の重さは50である。


「重さを加担しました」


「うん、これくらいだな」


「それでは次に能力値等の説明に移らせてもらいます」


「丁寧な可愛い妖精さんだなぁ」


気のせいか、少し妖精さんが照れた気がした。


ん?気のせいだよな?


「あなたの視界の左側に常に表示されている緑色のバーはあなたの体力ヒットポイントです」


体力ヒットポイントね……」


「そして、下にある黄色いバーは持久力スタミナです。持久力スタミナはなくなると一定の速さで走れなくなり、スキルや激しい攻撃が不能になります。体力同様に大切な物ですので常にご確認ください」


「わかりました」


「その二つのバーの下に設置してある歯車ギアがメニューボタンです」


「これかな?」


俺は二つのバーの下にあった歯車を左手でワンタッチすると歯車が視界の真ん中に大きく表示される。

その歯車の歯の一つ一つにメニュー事項が表示されている。


最初の歯には道具アイテム、その上の歯には武器ウェポン、下の歯には能力スキル、武器の上の歯には記録メモリー、能力の下の歯には設定だ。


道具アイテムに関しては即出し道具アイテムが15個まで選択可能で、それに選択されている道具アイテムは口に出すと現れます」


「なるほど」


「それでは試してみましょう、ドリンク、と発言をお願いします」


「ドリンクっ!」


俺は決め顔でそう言うとドリンクが宙に現れる。俺はそれを掴み取る。


「それは吞んでくれて構いません。そして、スキルですが自動で発動されるものもあれば、口に出すことで発動するスキル、選択をすることで発動するスキルもあります。それはこれからの戦いで順次覚えて、活用していきましょう」


「わかりました!」


「これで初期設定を終わります。他に質問はありますか?」


「このゲームで性行ってできますかっ!!」


とある人は言った。

このゲームで非童貞になった、と。


「可能です」


「マジですか!?18禁ゲーかよ!!」


「但し、両者の合意が絶対条件です。それと処女でも。処女膜などの再現はできません。快楽も現実ほど再現はできません」


妙に細かいな、このゲーム。

まぁ、そんな事は俺にとってはどうでもいいことだ。


「妖精さん!!俺とヤりましょう!!!」


「えええ!?」


ナビゲーターの妖精さんが、ここに来て始めての動揺を見せる。

このゲームで童貞を卒業可能とは、本当になんという素晴らしいゲームだ。


「申し遅れました……性行為モードは18歳以上でなければする事は不可能です」


「な……なんだってー!!」


俺の全身に雷が迸る、そんな衝撃が襲う。


「あなたは未成年ですね、すいません私はする事を許されていません」


「くっ!!その発言!俺が18歳ならいいんですね!!」


「しかし、私はここまでご付き合いになります……」


「そ……そんな……こんな天使のような可愛い妖精さんはここだけだと……」


と、俺がそう発言した瞬間に辺りが光り輝く。


「な……なんだ!?」


「プレミアムナビゲートモード発動します。セイリュウ様、私は今を持ってあなたのナビゲーターです」


「な……なんでや」


「あなたが可愛いと三度発言したからです」


「そんなお得モードがあったのか!!!」


なんという製作者の遊び心!!


「って事はこれから妖精さんとずっと一緒ですか!?」


「はい、そうなります。私の事はリンネとお呼びください」


「リンネさん!!やったぁあああ!!!」


「しかし私は戦闘能力などは皆無。本当にナビしかできませんのでご了承ください」


「はい!わかりましたっ!!」


「それでは早速ですがSONの世界へ行きますか?」


俺の視界の中央には二つの選択肢がある。


俺は迷いなくYESをタップし、青い閃光と一緒に姿を消した。

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