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ソード・オブ・ナイツ  作者: ロドニー
傲慢の迷宮
15/17

14話 「主人公気取り ‐前編‐」

テスト前です!

久しぶりに書いたので文脈が可笑しかった場合は指摘お願いします!

両目を開くと、最初に視界に入ったのは無機質な天井だった。

しかし、俺はこの場所に見覚えがあった。


ここは確か、閉じ込められた最初の一週間の為に取った宿だ。

俺は眠っていたのか……。その理由を思い出すために俺は記憶を遡る。

そして、全てを理解した。俺はガルディアの体力バーを半分も削る事もなく、惨敗したのだ。


「だけどこの部屋は俺とカルトしか……」


「目を覚ましたんですね、セイリュウさん」


ベッドの横にある椅子には、浮かない顔をしているカルトがいた。

ユメカの姿は見えない。つまり、最後のあの声は俺の幻影ではない。そして、俺の推測では……。


「くっ!」


「待ってください!もう無理です!」


「まだだ!俺はまだ!!」


「愛剣も失って、ユメカさんも捕まってしまったんですよ!?」


カルトはその後の言葉を紡ぐ。全ては俺の考えなしの特攻が悪い。そう言いたいはずなのに。

それに恐らく、ガルディアもバカではない。狩り場も変えてしまっているだろう。


「畜生……」


何もできなかった。

俺はなんで、どうしてこんなにも弱いのだろう。力も、心も……。


「セイリュウさん。ユメカさんは言ってました」


「『守護者ガーディアン』を一人で倒して天狗になってたんだ俺……」


「セイリュウさん!聞いてください!」


「カルト?」


「全てはセイリュウさんに託すって」


「俺に?お前もわかってるだろ?俺はあいつの体力バーを半分減らすこともできなかったんだぞ?そんな俺に何を託すって言うんだ……」


「これです」


そう言ってカルトが具現化した道具アイテムは紅の輝きをしている宝玉だった。

その輝きは夕日のように儚げで美しい色彩を放っている。


「これは……『溶岩結晶』か?これをどうするってんだ?」


「ユメカさんは言いました!私はセイリュウを信じるって!!だから、これを握ってください!そして、もう一度剣を握ってあいつと戦ってください!」


「これを……俺に…?」


「はい」


俺はカルトから『溶岩結晶』を受け取る。

その溶岩結晶はゲーム内だというのに、仄かな熱を感じた。暖かった。

『溶岩結晶』の放つ熱に、ユメカの俺を信じる気持ちを刹那に感じる。


それは俺の考え過ぎかもしれない。

だが、立ち直る理由にしては、俺にとって充分の理由だ。


「立ち直りが早いのが、俺の取り柄だよな優香……」


そう俺の長所を馬鹿笑いしながら言っていた妹の姿を、カルトに重ねながら、俺はゆっくりと立ち上がる。

少し体が痛むが、そんなものは関係ない。


「セイリュウさん……!」


「ありがとうユメカ」


一度目が駄目なら、二度目に挑戦するだけだ。

そう言い聞かせたのは他でもない自分ではないか………。


何を俺は諦めようとしているんだ。


「今助けるから……待っててくれよ…!」



俺は手の中の『溶岩結晶』を強く握りしめる。

その度に暖かい熱が俺の全身を駆け巡った。






「いやぁ、実に素晴らしい体だねハルカちゃん」


「こ…の……下種がっ!」


ハルカは弱った口調で舐めまわすように、裸になったハルカを見ている中年の男に言い放つ。

中年の男は突き放されたように言われ、ニヤリ、と、笑みを見せてからハルカの胸を鷲掴みにした。


「ぐっ///」


「手足を拘束されて口答えしかできないもんなぁ!!無様だなぁ!!!」


「お前らなんか……!!」


「おい」


「ひぃ!?ガ……ガルディアの旦那……」


「俺のおもちゃに触るな。お前らには他のおもちゃを与えているだろう」


「すいやせん……」


「旦那、その肩に担いでいる女は?」


そう聞かれ、ガルディアは悪魔のような表情を見せる。


「おいハルカ。お前の大切な仲間だ」


「……え?」


そう言われ、ハルカの表情から血の気が引いていく。

ガルディアは肩に担いでいたユメカをハルカの足元に投げ捨てる。


「ユメカ!?ガルディア……あんたっ!!」


「抵抗するもんだからなぁ……痛ぶっちまった……。死んではいないと……思うぜ?」


そう悪魔の形相をハルカに向ける。


「貴様ぁああ!!!」


「まだそんな顔ができるのかお前……。本当に壊し甲斐があるなぁ!!はっはー!」


そう言ったガルディアの表情に少し怖気付くハルカ。それほどまでに、この男は狂いきった狂気を具現したかのような男だった。

ユメカは先程から動かない。ハルカはそれがたまらなく心配だった。


「流石はアイドルだよな……、いい声で鳴いてくれたぜ……。悲鳴ってのはいい……体を……心を満たしてくれる……」


「狂っている……お前は狂っている……」


たまらなく狂気に狂いきったガルディアに恐怖という感情を飛び抜けた何かを感じ、後ずさりしてしまうハルカ。

自分は何という狂者に捕まってしまったのだろう……。


「ふふっ……」


「あ?」


「ユメカ!?無事だったのか!」


「ハルカ……こそね……」


ユメカは体が痛むのか、弱弱しい声で小さく呻くように呟く。

だが、ガルディアはユメカの笑みが気にくわなかったのか、剣をユメカの眼前に突き刺した。


「おいユメカ?何が可笑しい」


「可哀想なのよ………あんたのその狂気に染みた顔が悲壮な表情に変わると思うと可哀想で仕方ないわ……」


「ふんっ!!」


ガルディアは大きく足を振り上げ、ユメカの腹部を蹴り上げる。

ダメージこそはなく、痛みもそれほどでもないが、今の弱っているユメカには多大な痛みだった。


「カハッ!!」


「ユメカ!!やめろっ!ガルディア!!」


「てめぇーをショック死させる事だってできるんだぜ?」


「あんたのその慢心した表情が……崩れるのが楽しみで仕方ないわ……」


「くだらねぇージョークは嫌いだ」


ガルディアは『痛覚倍増剣ダメージショック』をユメカの首筋に当て、大きく振り上げる。


「やめろぉおおおお!!!」


「最高の痛みで死に狂いな」


ザシュッ!と鈍い音が暗黒の部屋に響き渡る。

ハルカはその音と同時に現実から目を逸らす。


「不意打ちとはやってくれるなぁ……」


「遅いのよ……バカ……」


「真のヒーローってのは遅れてくるもんだぜ?」




「真のヒーローってのは遅れてくるもんだぜ?」


「自分は主人公じゃないって言ってたじゃない……」


「今だけは主人公ってのを気取らせてもらうよ。だから絶対に勝つ」


「あ……そ……」


ユメカは安心したのか、何も話さなくなる。

気絶しているのか確認したいが、俺の目の前には巨大な壁が存在している。

それを断ち切らない限り、俺はユメカに近づく権利、いや明日がある可能性すらない。


「誰に勝つって?」


そう、ガルディアという巨大な壁だ。

読んでくれてありがとうございます!

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