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ソード・オブ・ナイツ  作者: ロドニー
傲慢の迷宮
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9話 「溶岩地帯の探索」

「はぁ!はぁ!!」


逃げ纏う少女の持久力スタミナは既に0に近いほど、減少してしまっていた。

しかし、少女は背後から聞こえる足音が聞こえると、それに気づかずに走り出す。

誰もいない暗黒の森の中、少女の持久力が残酷にも0になる。


「い……こ…来るなっ!!」


「………」


男は無言で亡霊のように近づいていく。

少女の震えはその男が近づくたびに大きくなる。


「こ……来ないでっ!いやっ!いやぁああ!!!」


「………!!」


男は握っていた剣を無情にも振り下ろす。

しかし、それで少女の体力ヒットポイントが減ることはない。

減少するのは、少女が身に纏っていたコートだけだ。


「いやぁ!見ないで!!」


「………!」


男は裸になった少女の肌を嘗め回すように眺め、悪魔の笑みを見せる。







「はっ!」


俺は背後から近づいてきていた、『溶岩スライム』を体を捻じり、斬りつける。

そして、そのまま『バックステップ』を使用し、後ろに下がる。


先程、俺が立っていた場所には『溶岩スライム』のマグマが吐かれている。

あれはダメージこそは大したことないが、火傷状態という状態異常になり、体が熱くなり5秒毎に体力を30減少させられるので、中々辛い物があるのだ。


しかも、その火傷は水の中や氷などの道具を使用しなければ治らないのだ。

俺は今、そんな道具はないし、こんな熱々の溶岩地帯に水などあるわけがない。


よって、絶対に避けなければならない。


「ぷぎょおお!!」


飛び掛かってくる『溶岩スライム』。

ちなみに、触れても火傷状態になるので厄介である。


「えいっ!」


そんな『溶岩スライム』を小型ナイフで七連続攻撃をし、四散させるカルト。

あの時よりナイフ捌きがかなり上達している。


「カルトも随分とナイフの扱いに慣れてきたな」


「はい!でも、そろそろこの武器の耐久値がなくなってきてるんです」


「確かに、あの森でもずっとあの武器だったからな……。鍛冶屋で叩き直すか新しい武器を作るか?」


「いえいえ、鍛冶屋さんに頼むことにしますよ」


「気に入ってるんだな」


「友達が……くれた武器ですから」


「ふーん」


「会って、この武器でルシファーと戦ったよって言いたいんです」


「今のお前なら大丈夫だよ。安心して背中を任せられる」


「って事は、昔は背中を預けてるのに任せてなかったんですか!」


「えっと……」


「ああ!図星だ!もうセイリュウさんなんて知りません!」


「悪かったよ!だってお前あの時まだまだ『餓えた狼』に苦戦してたんだもん!」


「もう……、でも今は任せてくれてるから許します」


「そう言ってくれると助かるよ……」


俺は剣を強く握り、目の前にうようよと現れ始めた『溶岩スライム』を切り倒していく。

カルトはそんな俺の斬り残しを倒してくれる。


「どきなさいあんたらっ!」


「は?」


「ふぇ?」


その瞬間、ユメカは背中の大剣を抜刀し、空を切り裂いた。

切り裂くと同時に、飛びだしてくる風の刃こそ、ユメカが持っている隠しスキルである『真空斬シンクウザン』である。


リーチは15mと長く、威力もかなり高い。

風の刃を飛ばし、15m先のモンスターをなぎ倒すスキルだ。

弱点と言えば、放つ時の隙と放った後の隙くらいだ。


「ってうぉおおおおお!?」


「きゃぁああああ!!」


俺はカルトを押し倒し、その場にしゃがみ込む。


「バカかてめぇ!?俺たちがいるのに普通発動するか!?」


「あーら残念。あわよくばセイリュウをと思ったんだけど」


「このキルプレイヤー未遂がっ!」


「それよりも私の目の前で女の子を押し倒すとはいい度胸ね」


「え?」


ユメカの大剣の剣先が俺の顔に向けられる。

そしれ、俺の下には俺の下敷きになったカルトがいた。

顔が赤いのは熱さのせいだよね?でも、この熱い地面の溶岩地帯に手を付けてるけど、全然熱くならないんだ。


寧ろ、冷や汗を掻いて寒くなってきたよ。


「こ……ここここ……こういうば……ばば……場所ではだ…だだだ……駄目だと思います…///」


「うぉおお!!?すまんカルト!!」


俺は急いで立ち上がり、カルトと距離を開ける。

確かに、カルトは可愛い。

だけど、早まるな少年セイリュウよ……。


「あんた殺すわ」


「お前元凶じゃないか!!」


「セイリュウ様……」


「呼んでねぇーよ!」


「ぐるぁああああ!!!」


俺たちが騒いでいると、巨大な岩が小さく動く。

そして、それが動くと周辺が小さく揺れる。


「なに!?」


「リンネ!」


「これは恐らく、『溶岩ゴーレム』です!」


「『溶岩ゴーレム』だと!?何でも溶岩つければ解決すると思うなよ運営!」


「『溶岩ゴーレム』は硬化したマグマを纏った6mほどの巨大な魔物です!その硬い体は剣による攻撃を全て弾きます。攻撃を通るようにするには、ドロドロの新しいマグマを付着させるしかありません」


「厄介な!……って来るぞ!!」


大きな岩は姿を現し、巨大な黒い岩石の魔物となる。


『溶岩ゴーレム』


「森の帝王なんかより、遥かにでけぇ!!」


「でかすぎです!!」


「ゴゴゴ……!」


『溶岩ゴーレム』はその腕を振り下ろす。

俺たちはそれを飛んで避ける。

しかし、『溶岩ゴーレム』その剛腕な一撃により、地面の硬い岩が砕け、俺たちに襲い掛かる。


「ぐぁ!」


「きゃぁ!!」


「くっ!!このっ!!」


ユメカはその大剣を振るい、風の刃を『溶岩ゴーレム』に向けて解き放つ。

しかし、風はその硬い体に弾かれる。


「ウソでしょ!?」


「ユメカ!避けろっ!!」


「ゴゴゴ!」


「あぐぁあ!」


「ユメカっ!」


『溶岩ゴーレム』の拳をかろうじで避けるが、ギリギリだった為に風圧で吹き飛ぶユメカ。


「野郎っ!!」


細かい石がユメカに小刻みにダメージを与えたのか、ユメカの体力は半分ほどまで減っていた。

しかし、『溶岩ゴーレム』は標的をユメカにしたのか、倒れているユメカに襲い掛かる。


「カルト!!ユメカに回復アイテムを!!」


「セイリュウさん!?」


「お前の相手は……俺だデカブツっ!!」


俺は氷層の剣の鋭い刃が当たるように、剣を振るうが『森の帝王』の時より硬い振動が返ってくる。

こいつ、硬すぎる……!


「ゴゴゴ!!」


「セイリュウ様!!」


「わかってる!!『ライトステップ』!!」


俺は緊急で右に避けるが『溶岩ゴーレム』が拳を振り下ろし、その時に砕けた細かい石粒は避けられない。

さらにいうと、『ライトステップ』と『レフトステップ』は持久力スタミナに減少がかなり大きいのだ。


あまり連発はしたくないのだが、あの二人からは距離を置かせなければならない……。


「セイリュウ様!『溶岩スライム』の落とすドロップした、『熱々な液体』さえあればあいつに攻撃が通ります!」


「なに!?それを早く言えよ!!」


「申し訳ありません。弱点検索をしてたもので…」


「それでもナイスだ!」


俺は逃げながらも咄嗟のように、メニューを開き、『熱々な液体』を取り出す。

数は見ていないが、結構あるようだ。


「これか……」


俺は小瓶に入った、溶岩のような液体を凝視しながら襲い掛かってくる『溶岩ゴーレム』に向けてその小瓶を投げる。

小瓶は『溶岩ゴーレム』に触れると同時に割れ、中身が『溶岩ゴーレム』に掛かる。


「どりゃぁあああ!!」


俺はその掛かった部分に向かって、鋭い刃を振り下ろす。

かなり柔らかくなっていた。


「いけるっ!!うぉおおお!!!」


「ゴォオオオオオ!!!」


俺は休むことなく、連続攻撃を浴びせ続ける。

『溶岩ゴーレム』は斬られたことがあまりないのか、一撃一撃でかなり怯んでいる。


「とどめだぁあああ!!!」


「………ゴ…ゴゴ……」


『溶岩ゴーレム』は後ろに倒れ、体を四散させる。


「凄いですセイリュウさん!」


「カルト、ユメカは?」


「無事よ……まさか、あんたのような男に助けられるとは思わなかったわ」


「なんだよ、素直に礼は言えないってか?」


「流石はセイリュウ様です。見事な剣戟かっこよかったです」


「はい!流石はセイリュウさんです」


「そう?あははは!!照れるなぁ!」


「……ありがと」


「なんか言ったか?」


「何でもないわよ!!というかお約束すぎるわ!!」


こいつは何を言っているんだ?





「号外!号外だよっ!!」


始まりの街に号外と書かれた紙がばらまかれる。


『防具破壊!夜道を襲われる女性プレイヤー!!』

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