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青い空が見たいだけ  作者: 中園秋
第一章 『屋上での関西弁』
2/5

屋上の恐怖

第二話です。

一話はあまり面白みがなかったかもしれませんが、少しお話が展開していきます。


先生が教室に入ってきて、すぐに出席確認が始まった。




「えぇっと…また佐原はいないのかぁ」


いつものことだ。

毎回先生たちはそう言うが、誰も探しに行こうとはしない。行ったところで無意味だとわかっているからだ。


佐原孝明(さはらたかあき)

学校一の不良と呼ばれる彼は、うちのクラスの人間だ。でもあまり教室にいることはなく、居たとしても毎回寝ている。顔を見たことなんてクラス写真以外であっただろうかと、疑問に思ってしまうほど少ない。


「今日こそは授業に出てもらわんと、単位がなぁ……。そうだ野木」


「…え? あ、はい」


「お前探してこい」


「…は?」


 自分でも分かるぐらい、間抜けな声が出た。

突然呼ばれて返事をした後先生はなんと言った…?


「佐原の奴を探してここに連れてきてほしいんだ。お前成績いいから少々授業抜けても平気だろ」


 笑いながら言う先生。

普通の高校では自分のことは自分でしなければならないが、ここまで生徒のことを考える学校は普通ないだろう。

そしてこの学校の先生方は自由だ。たとえ授業を抜け出していたとしても、怒ったりしない。逆に探しに行くだろう。そんな先生の一人が私に…探して来いって…。


「大丈夫だ。佐原の奴は…多分屋上だな。頼むぞ」


「は、はい…」


行きたくないなんて言えなかった。






「(どうして私…? しかも理由が成績がいいからって何それ…。もうこの学校本当にわけわかんない)」


 心の中で愚痴を言いながら黙々と屋上へ続く階段を上がる。

もちろん心の中で思ったことは、自分の別の人格の二人には筒抜け。

昔は嫌だったけど、本人たちは一切気にしていないのでもう気にはならない。



この学校が自由というのは入学式での校長の話でなんとなく分かっていた。


 最初校長先生は、この学校のモットーは自由だと言っていた。

そしてその校長の話の短さ。本当に尊敬しそうだ。

もちろん自由だからと言って煙草を吸ったり、お酒を飲んだりする生徒のことは、しっかりと叱っていた。全校集会を開くほどではないが。

制服も基本的に自由。それなりの格好をしていれば、怒られることもない。それにこの学校には制服を着崩すような人間はそんなにいない。もちろんそれも度が過ぎれば、お叱りを受けることになっている。

受けた人は二度とそんなことはしなかった。しっかりとした制服を、次の日には着て来ていた。


どこまで説教が怖いんだか…。



 そんなことを考えているうちにも屋上に到着。来たことなんてなかった。前に好奇心で来てみたが開いていなかった。

でも先生は


「佐原がいるなら必ず開いてるから行ってみろ」


とかなんとか…。

根拠はいったいなんなんだろうか?


「どうか佐原が居ませんように…」


 居なければ授業に戻れる。そう願い扉の取っ手に手を掛けた。ぐっと押すと思いのほか軽く、むしろ引っ張られる感じで扉が開いた。そして勢いのまま前に倒れそうになったとき、鼻を何かにぶつけた。

それもかなりの勢いがあったので、思いっきり鼻をぶつけてしまった。


「いったたたた…」


「痛いのはこっちや」


「…あ、ごめんなさい」


 少し気の抜けた関西弁とともに聞こえた声に、とっさに謝ってしまった。でも自分はいったい誰と話しているんだろう。


それにこの色は確か…。


目の前に広がる見慣れた色。自分の学校の制服のブレザーだということに気付いたのはそれからすぐだった。





睨まれているような感覚が

目の前の男から発せられていると分かったのは、その数秒後…












少しお話が進展したと思います。

やっと男の子の出番です。

これからお話がもっと進展していくと思うので、また読んで下さると嬉しいです。

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