リクルート
広報的な仕事に関わる中で「意外性がない」とダメ出しされ。書籍に頼るものの、書籍のチョイス自体もこれまた意外性がなく、結果行き詰まる。
<そんな才能はわたしには無いよ…>
と嘆きたくなる瞬間が幾度か訪れ、ほとほと困り果てたわたしは思い切って「出来ません」と言ってしまおうかと。そのタイミングで先輩から激励のお土産をいただいてしまったり。
声高に主張したいところは、どうも尻すぼみになりそう。それくらい揺らいでいる。夕方のニュースでネモフィラのスカイブルーが満開の光景が映し出され、憧憬にも似た想いが押し寄せる。
<こんな場所に行ったら心が晴れ渡るんだろうなぁ>
ため息混じりの心の声は日が長くなった時節の黄昏にそのまま溶け込むかのよう。そのまま現実逃避気味に旅に出るイメージに身を委ねた。レトルトカレーで済ませたその夜、早々に寝床に向かい寝つきもそこそこ良かったものの変な夢を見てしまった。
気がついたらゲームアプリでよく見るようなキラキラ宝箱が目の前にあった。「おっ」と思って開けようとしたら鍵が掛かっている。すぐに運よく近くに落ちている小さな銀色の鍵を見つけた。鍵穴に差し込んで回そうとしたところで、夢から覚める。
という何とも残念臭のある一幕。窓からの朝日が差し込むベッドにて、<中身は何だったんだろう>とモヤモヤしたまま一日の始まりを迎えたわたしは本能的に『誰かに優しくして欲しい』という気持ちが湧き起こってくる。『やさしさ』はこの世界には売っていないのだろう。たぶん、買うものでもないし。
『やさしさが欲しいです』
時代の流れに抗えず少しだけ利用するようになった生成AIに初めてそんな愚痴を聞いてもらう。瞬時にこんな回答が返ってきた。
『体調の優れない日は無理をせずご自愛下さい。アロマを焚いたりヒーリング系の音楽をかけて過ごすのもリラックスには効果があります。ヒーリング系の音楽では数日前に『MIRAIエンターテインメント社』からリリースされた『アンビエント音楽』が効果的だったという報告を見かけます。試してみてはいかがでしょうか?』
わたしとしてはAIさんに『よしよし、貴女は頑張ってますよ』的なメッセージを貰いたい気持ちの方が強かったのだけれど、意図せずこういう提案をされると一瞬どうしたらいいのか分からなくなってしまう。もう一度同じ文を入力したら、気持ちを汲んでくれたのか無難なメッセージで励ましてくれた。そんな流れでぼちぼち朝食の準備を始めると、AIが紹介してくれた『アンビエント音楽』という聞き慣れないワードが気になってきた。リズムやメロディーというよりは音の質感や空気感を重視するジャンルのことらしいのだけれど、確かにリラクゼーションには効果があるらしい。
「『MIRAIエンターテインメント』?聞いた事ないや」
それよりも検索してもろくに結果が表示されない『MIRAIエンターテインメント社』なるワードを突然語り出したAIさんの意図が掴めない。AIの錯覚…『ハルシネーション』と呼ばれる現象なのかもと思ったけれど、音楽アプリで調べて見たところ確かに数日前にリリースされたアンビエント音楽が存在することが判明。ただ、SNSで調べても誰もそのことを語っている人がヒットしない。
<AIだからこういうこともあるのかもね…>
その時は興味が湧かなかったのが本当で、とても微妙な気持ちで朝食を摂ったのを覚えている。幸い快晴の日だったので勇気づけられるように出社して、プライベートで何か良いことがあった上機嫌だったらしい上司に今の案件で悩んでいる旨を相談できてようやく一筋の光が射し込むのを感じた。
「最初は誰だってうまく行くわけじゃないから、じっくり取り組むといいよ」
そう言ってもらえたときに、個人的にはもう少し広い視野で物事を見てゆかないとダメなんだなと理解できたような気がする。
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週末、購入していた書籍の読書に集中する為に近所にあるレンタルスペースを利用することにした。以前資格の勉強をしていた際にも利用したことがあって静かな環境を好ましく思っていた。入室してしばらくスマホを操作して、ぼちぼち読書を始めようかと思った際にある『違和感』を感じた。
<なんか…静か過ぎる…>
今回は資格の勉強のようなものではないし、メモを取ったり色々考えながらの時間なので空調以外は完全に『無音』のその環境は逆にやりづらい。これだったらBGMのあるカフェで読書をしていた方がいいなと感じ、『場所を変えようかな』と思ったときわたしの脳裏に『アンビエント』というワードが突如として思い出された。ルーム代のこともあり、スマホを操作して『MIRAIエンターテインメイント社』からリリースされたという音楽を少し視聴してみた。
♪ ♪ ♪
特徴があるわけではないけれど『自然豊かな場所』の音を取り入れた「邪魔をしない音楽」という印象。「あ、意外と悪くないかも…」なんてことを思い、クレジットも残っていたのでその場でダウンロード。びっくりしたのは曲の長さ。ダウンロードした曲は本当に『作業用』なので30分。スマホのスピーカーに任せて再生みたらとてもしっくり来る感じ。
<そうそう、こういう感じ。ちょっとオシャレじゃない?>
ちょっと上機嫌な気持ちで読書を再開できて、曲が終了するまでほとんどノンストップで気持ちが続いた。せっかくだからと別の曲もダウンロードしてみて、結局レンタルスペースにはBGMが流れ続けた。書籍を一冊しっかり読了できて充実した気持ちで部屋を出る。帰宅する前にお弁当を買い、何故かボリューミーなものを選んでしまった為に食後ウトウトしてきて気付いたら眠ってしまっていた。
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あ…これは夢の中だ。とすぐに分かった。だって目の前にとても背の小さな人が2人立ってるし。
聞こえますか?ボク達はあなたに要請された妖精です。ボク達こんなことしか出来ませんが、一生懸命考えた『ショートコント』をお楽しみ下さい!!ショートコント『隠し芸』。
「はい?」
『いやーこの間さ、友だちに『隠し芸』見せてもらったんだよ』
『へぇ〜どんな?』
「それがさ、公園に小学生がいてさ」
『うんうん』
『じゃあ、ボク『隠し芸』やるから見ててね!ってその子に言ったの』
『ほぉ』
『そしたらさ、その子に妖精の国に来てもらったわけ』
『え?どういうこと?』
『小学生もそう尋ねたんだって』
『そしたら?』
『これがいわゆる『神隠し』だから、『隠し』芸ってね!』
『妖精だけに!?』
『大丈夫、ちゃんと公園に戻ってもらったから』
『そういう問題か!?』
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わたしの戸惑いを他所にそそくさと始まった自称『妖精』による奇妙なショートコントは、妖精の設定を活かした芸でよく考えられているとは思ったけれどどちらかというと妖精さんの『顔芸』が面白かった。なぜそんな夢を見たのかはよく分からないけれど、その必死な姿を思い出して夢ながら癒された。その日以来、不思議と夢見は良くなった気がする。寝る前にアンビエント音楽を掛けてリラックスする習慣ができたのと関係があるのかも知れない。
先日、ネモフィラが咲き誇る場所が夢に出てきた。えも言われぬ美しさだった。
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未来創造社はこの度エンターテインメント事業に乗り出した。事務所である『MIRAIエンターテインメント社』に所属するアーティストの一人、『めらねったー』は謎多き人物である。社内での噂によれば、最近某県にあるUFO研究所に出入りしていたとかいないとか。ただ、作品の供給もネットを通じて行われる為その姿を直接見た者はいないらしい。未来創造社の創設者の子孫にあたる人物ではないかと語る上役もいるとかいないとか。




