第9章 地方都市での影の勢力・さらなるドタバタ編
ルンフェルドの街は、一見平穏を取り戻したように見えた。
しかし、影の中では別の騒動が進行していた。
「フフフ……あの魔力源、手に入れば国王も驚くだろうな」
薄暗い路地で、黒装束の一団が密談している。
そのリーダーらしき人物は、顔を半分隠し、狡猾そうな笑みを浮かべる。
「……リード・フェルンガルトという平民が、今回の騒動の中心だったそうだ」
「……平民? それなら、計画は簡単かもしれん」
一方、リードは塔の騒動の後、市民たちの感謝に囲まれながらも、いつも通り畑に戻っていた。
「ふう……やっぱり、畑が一番落ち着く」
ミリィは横で小さくため息をつく。
「リードさん……スローライフって、いつも騒ぎとセットですね……」
その時、街の広場で突然、大きな爆発音。市民たちは悲鳴をあげ、リードも目を見開く。
「……またか」
リードは杖を握り、街へ急ぐ。どうやら、影の勢力が塔の魔力源を狙って動き出したらしい。
街に到着すると、黒装束の一団が魔力源の残滓を狙って魔法を放っている。
だが、リードの前に立つと、彼らの魔法はことごとく吸収され、あらぬ方向へ飛んでいく。
「おっと……そこは俺の縄張りだ」
リードの軽口とともに、街中の魔力が一瞬で落ち着き、黒装束たちは慌てふためく。
まるで子ども相手にいたずらされるかのような状態だ。
「あの……まさか、あの平民が……」
リーダー格の男がつぶやく。
「……くそ……この町では、俺たちの計画は通用しないのか!」
リードは笑みを浮かべ、杖で軽く空中の魔力をかき回す。
魔法の奔流が彼の周囲で踊り、街の上空には虹色の光が輝く。
まるで祭りのような光景に、見物していた市民も自然と拍手する。
「……やれやれ、平和な畑に戻る前に、また一仕事か」
ミリィが肩越しに小声で言う。
「リードさん……こうなることはわかっていたんですか?」
「いや……さすがにここまでコメディになるとは思わなかったな」
結局、黒装束たちは逃げ出し、街は再び平穏を取り戻す。
リードは再び畑へ戻る途中、空を見上げながら小さくつぶやく。
「……スローライフって、いつになったらできるんだろうな」
だが、その後ろには、次なる騒動の予感を告げる小さな影がすでに忍び寄っていた。
平穏な日常は、リードの手の届かないところで、次々と揺らされていくのだった。




